絶対音楽の美学と分裂する“ドイツ”十九世紀 “音楽の国ドイツ”の系譜学

吉田寛

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784787273680
ISBN 10 : 478727368X
フォーマット
出版社
発行年月
2015年01月
日本
追加情報
:
332p;21

内容詳細

十九世紀のドイツは、ベートーヴェンの交響曲とともに、ついに自他ともに認める“音楽の国”へと上り詰める。フランスやイタリアに対するドイツ音楽の「勝利」は、進歩主義的な歴史叙述や、器楽を絶対視する美学によって強固な理論的基盤を獲得する。しかし、国家統一をめぐる熾烈な覇権争いは、やがて“ドイツ音楽”の理念をも引き裂くことになる。「絶対音楽」をめぐって奏でられた鋭い不協和音のなかに、亀裂の入った“ドイツ”が発する軋みの音を聴き取る。

目次 : 第1章 国民主義的音楽史の誕生―トリーストと十八世紀ドイツ音楽史(ヨーロッパにおける音楽史叙述の歴史/ 国民主義的音楽史叙述の成立 ほか)/ 第2章 “フランス”の変貌(「ドイツ人」対「新ラテン系諸民族」―フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』/ 形而上学と「ドイツ的なもの」―シェリングの学問論 ほか)/ 第3章 進歩主義的音楽史観のなかの“ドイツ”(「ドイツ的」かつ「近代的」なものとしての和声/ 音楽美学の転回点としての一八〇〇年―ヘルダーの器楽擁護論 ほか)/ 第4章 「ベートーヴェン・パラダイム」―ベートーヴェンと「ドイツ的なもの」(ドイツの「国民文化」としてのベートーヴェンの交響曲/ 「抑圧者」としてのベートーヴェン ほか)/ 第5章 絶対音楽の美学と“ドイツ”の分裂―音楽美学に見る南北ドイツの文化闘争(「絶対音楽」の美学はどこまで「ドイツ的」なのか?/ ハンスリックの音楽美学に見る“ドイツ”と“イタリア” ほか)

【著者紹介】
吉田寛 : 1973年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科(美学芸術学)博士課程修了。博士(文学)。同研究科助手、助教を経て、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授(表象領域)。専攻は美学、感性学、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 直井 さん

    とってもボリューミーで読むのに時間がかかってしまいましたが…充実した内容だったと思います。日本において「絶対音楽」といえばドイツ的なイメージを表象するキーワードの一つだけど、最初にこの言葉を使ったのはヴァーグナーで、しかもロッシーニの音楽を否定的に言うために使ったというのが、知らなくて、印象的でした。

  • 吉田恭 さん

    19世紀になると評論資料もかなり残っており、同じ音楽作品群の歴史的連なりを指して異なる物語を紡ぐ複数の論者の思惑や相互作用も見易い感じだ。

  • ヨハネス・フェーリクス さん

    ドイツ的な音楽といえば「重厚」「悲劇的」「壮大」といった表現が浮かぶ。そんな方も多いかもしれません。本書ではこのドイツ音楽のイメージが、長い時間をかけてつくられていったものであることが示されます。膨大な資料をもとにして書かれた本書は、クラシック音楽に携わる人、具体的には趣味でクラシック音楽を聴くのが好きな人、オケなどで楽器を演奏している人にとっても大変興味深いでしょう。ベートーヴェンの神話化は今日に至るまで続いているものであって、「ドイツ的」イメージの構築に大きなやくわりを果たしていると言えましょう。

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吉田寛

東京大学大学院人文社会系研究科准教授(美学芸術学)。博士(文学)。専門はゲーム研究、感性学。1973年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。2006年同研究科助手、2007年助教、2008年立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授、2015年教授を経て2019年より現職。美学会会長。主

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