【中古:盤質AB】 フラジャイル〜男声によるレクィエム　ジングフォニカー

フラジャイル〜男声によるレクィエム
ジングフォニカー

ユニークな選曲による注目盤の登場。カウンターテノール１名、テノール２名、バリトン１名、バス=バリトン１名、バス１名という計６人の男声歌手により、死を悼む音楽を中心に歌い上げた内容です。
　収録作品は、ルネッサンス期フランドルの作曲家、ピエール・ド・ラ・リューのレクィエムと、近現代に書かれた死を悼む音楽７曲、黒人霊歌１曲と、ドイツ民謡１曲というもの。
　スティングの「フラジャイル」は、国際法違反のアメリカによるニカラグア政策のため、1987年に非業の死を遂げた若きアメリカ人技術者ベンジャミン・アーネスト・リンダーを悼んで書かれた曲で、エリック・クラプトンの「ティアーズ・イン・ヘヴン」は、4歳で自宅の窓から転落死した息子コナーの死を悼んで書かれた曲。ワイルのベルリン・レクィエムは、ドイツ政府によって虐殺された女性革命運動家、ローザ・ルクセンブルグの死を悼んで書かれた曲...　といった具合に20世紀のさまざまな哀悼音楽を収録していますが、興味深いのはその楽曲配置です。
　アルバムはピエール・ド・ラ・リューのレクィエムの冒頭曲によって開始されますが、以後は交互に近現代曲とピエール・ド・ラ・リューのレクィエムの各楽章が配されるという構成になっており、宗教声楽曲にグレゴリオ聖歌を挿むスタイルを想起させますが、ここでは５００年のときを超え、ジャンルを超えてそれがおこなわれているのがユニークなところ。
　死を悼んで書かれた音楽、それぞれ個別の魅力と、時代を超えてどこか通じ合うような大事な部分について、ジングフォニカーは表現したかったのかもしれません。
　合唱はいつもながら各パートがくっきりとうかびあがる透明な美しいもので、作品の静謐な魅力を見事に引き出しています。（ＨＭＶ）

【収録予定曲】
・ピエール・ド・ラ・リュー(1460?-1518)：レクィエム
・スティング：フラジャイル
・エリック・クラプトン：ティアーズ・イン・ヘヴン
・クルト・ワイル：ベルリン・レクィエム - ポツダムの柏の木々の下で
・ラウタヴァーラ：死に寄せるセレナーデ
・ルートヴィヒ・トーマス(1957〜)：わが青春は既に過ぎ去り
・ハンス・シャンダール(1960〜)：天空の死のささやき
・クヌート・ニューシュテット(1915〜)：わたしは平安をあなたがたに残して行く
・黒人霊歌：深い河
・ドイツ民謡：月は昇りて

　ジングフォニカー（声楽アンサンブル）
　　ミヒャエル・マンタイ(Bs-Br)
　　ダニエル・シュライバー(T)
　　ヘニング・イェンセン(T)
　　マルクス・ガイトナー(C-T)
　　クリスティアン・M・シュミット(Bs)
　　ベルノ・シャープ(Br)

　録音時期：2009年10月15〜18日
　録音場所：ミュンヘン、ゼントリンク、昇天教会
　録音方式：デジタル（セッション）