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肺癌は現在日本人おいて癌死の第1位であり、今後、人口の高齢化に伴いその数はますます増加するものと推測される。また、CTの普及に伴い早期症例が増加しているが、今なお診断時、手術可能な症例は40%である。一方、最近の喫煙率の低下に伴い肺扁平上皮癌や小細胞肺癌に比較して肺腺癌の割合が増加しており、肺腺癌に対する治療戦略は重要である。
近年、肺腺癌において、多くのdriver oncogeneが発見され、それらを標的とした分子標的薬の開発が加速している。EGFR遺伝子変異に対しては、ゲフィチニブなどのEGFR-チロシンキナーゼ阻害剤が、また、EML4-ALKの融合遺伝子に対してはクリゾチニブなどが市場に導入されている。driver oncogeneなどの検索は各々の分子異常に応じたコンパニオン診断薬で行われているが、次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析技術であるclinical sequenceもいくつかの施設で実施されている。
最近、非小細胞肺癌で有効な2次治療薬が次々と承認された。EGFR-TKI耐性の原因遺伝子であるT790Mに対するオシメルチニブ、EGFR遺伝子変異がない非小細胞肺癌の2次治療として有用な抗血管新生薬であるラムシルマブ、EGFRの変異の有無にかかわらず有意に生存期間を延長する免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブである。一方、最近承認されたこれら薬剤はいずれも極めて高価であり、医療保険制度、薬価の在り方が問題となっている。本特集では、エキスパートの先生方に肺癌の最新治療の現状と問題点を実際の症例を提示して概説していただいた。
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