映画とは何か 映画学講義

加藤幹郎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784892571107
ISBN 10 : 4892571105
フォーマット
出版社
発行年月
2015年02月
日本
追加情報
:
305p;19

内容詳細

映画論の名著がよみがえる!
吉田秀和賞を受賞した『映画とは何か』(2001年)が、著者による全面改訂と書き下ろしの新章を追加し、『映画とは何か 映画学講義』として装いもあらたに刊行。


今回の刊行にあたり、序章「映画(film)のコミュニケーション変遷史」、終章「映画の身体性/身体性の映画」、II章補遺「ハリウッド裁判映画」を書き下ろし(全56ページ)。


『サイコ』の精妙な分析に始まり、黒人専用劇場映画の知られざる軌跡まで、フリッツ・ラング、D・W・グリフィスなどの古典ハリウッド映画や初期映画を主な素材としながら<映画とは何か>を明晰に読み解く。


目次
序章 映画(film)のコミュニケーション変遷史
第1部 映画を見る
第I章 サイコアナリシス 映画を見る(聴く)とはどういうことか
第II章 記号の視認 亡命映画作家フリッツ・ラング
第III章 表象問題としてのホロコースト映画 映画の観客はいかなる主体か
第2部 映画史を書く
第IV章 列車の映画あるいは映画の列車 活動写真文化史
第V章 アメリカ映画のトポグラフィ D・W・グリフィスのアメリカン・インディアン初期映画
第VI章 アメリカ映画史の二重化 オスカー・ミショーと黒人劇場専用映画
終章 映画の身体性/身体性の映画

「スクリーンのうえに見たはずのものが見えていなかったとすれば、それはいかなる理由によってなのか、そしてよりよく見るためにはわたしたちはどうすればよいのか、見ること(と聴くこと)へのこのドライヴこそが、教育と探求の、そして批評と研究の出発点であろう。」(本書第I章より)
―第I章は、アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』を題材にしながら、<映画の観客とは何者か>を鮮やかに解き明かす。第II章では、亡命ユダヤ系作家フリッツ・ラングの映画に頻出するアルファベットや数字などの抽象記号の機能について明らかにしながら、ラングのハリウッド時代における映画的達成を示す。第III章では、9時間半にもおよぶクロード・ランズマンの映画『ショアー』について、<ホロコーストの表象不可能性>という前提に立脚して製作されていると喧伝されるこの映画が、看過出来ないある矛盾を抱えているということを、映画編集の視点から明らかにする。第IV章では、列車と映画との密接な関係について、初期映画の興行史を辿る。第V章はD・W・グリフィスの初期西部劇における映画文体の創造と変化を分析することで、映画話法の発展過程を記述する。第VI章は、黒人映画作家オスカー・ミショーの映画を素材として、ながらく不可視の領域にとどまり続けた黒人専用劇場映画の功績をハリウッド映画史の内に刻む。映画史をコミュニケーションの変遷史として捉えた序章と、映画の身体性/身体性の映画についての多彩な映画を素材とした論証の書き下ろしを加えた、画期的映画論。

[著者紹介]
加藤幹郎
1957年、長崎市生まれ。1986年、筑波大学大学院文芸・言語研究科単位取得退学。1987年、京都大学教養部助教授。1990-92年および2002-2003年、カリフォルニア大学バークリー校、同ロサンジェルス校、ニューヨーク大学、ハワイ大学マノア校フルブライト客員研究員。1999年、ミシガン大学客員教授。2006年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授(京都大学博士)。単著に『映画のメロドラマ的想像力』(フィルムアート社、1988)、『鏡の迷路 映画分類学序説』(みすず書房、1993)、『映画ジャンル論』(平凡社、1996)、『映画 視線のポリティクス』(筑摩書房、1996)、『映画とは何か』(みすず書房、2001)、『映画の領分 映像と音響のポイエーシス』(フィルムアート社、2002)、『「ブレードランナー」論序説 映画学特別講義』(筑摩書房、2004)、『映画の論理 新しい映画史のために』(みすず書房、2005)、『ヒッチコック「裏窓」 ミステリの映画学』(みすず書房、2005)、『映画館と観客の文化史』(中公新書、2006)、『表象と批評 映画・アニメーション・漫画』(岩波書店、2010)、『日本映画論 1933-2007 テクストとコンテクスト』(岩波書店、2011)、『列車映画史特別講義 芸術の条件』(岩波書店、2012)、『荒木飛呂彦論 マンガ・アート入門』(ちくま新書、2014)など。監修書に『映画学叢書』(ミネルヴァ書房、2010-2015)、第1巻?6巻。訳書に『知りすぎた女たち ヒッチコック映画とフェミニズム』(青土社、1992)、『わたしは邪魔された ニコラス・レイ映画講義録』(みすず書房、2001)など。編著に『映画学的想像力 シネマ・スタディーズの冒険』(人文書院、2006)、『アニメーションの映画学』(臨川書店、2009)など。

【著者紹介】
加藤幹郎 : 1957年、長崎市生まれ。1986年、筑波大学大学院文芸・言語研究科単位取得退学。1987年、京都大学教養学部助教授。1990‐92年および2002‐03年、カリフォルニア大学バークリー校、同ロサンジェルス校、ニューヨーク大学、ハワイ大学マノア校フルブライト客員研究員。1999年、ミシガン大学客員教授。2006年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授(京都大学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • かやは さん

    映画の発展形式、文化に与えたこと、人の発展にどう帰依したきたか。映画が登場する以前も人の営みはあったという当たり前のことを思い出させてくれた。かなり固い内容で読み進めるのには苦労した。映画は今までありえなかった場所からの視点を見ることができる、音楽や小説とは違う全く新しい体験だった。場所の移動という欲望も満たした。私たちは映画を初めて見た人や、列車に初めて乗った人のめくるめく体験をこの先同じように味わうことが出来るのだろうか?全ての表現方法がそろった焼き増しの世界を生きているようで、少し残念ではある。

  • Hatann さん

    月刊誌『みすず』にて「ハリウッド映画とは何か」という表題で連載された評論をもとに、映画を見ること・映画史を紡ぐことを纏める。ヒッチコック『サイコ』の分析などを通じ、観客が映画をどのように見るか、映画の大衆を惹きつけるメカニズムや技法を示す。更に、ハリウッド映画の歴史を紐解き、黒人劇場専用映画などの傍流の存在、そのハリウッド主流映画への影響を紹介する。映画は、演劇・写真・文学・音楽・絵画が合成される総合芸術であり、時代を反映するコミュニケーション媒体でもあり、米国がグローバルに覇権を維持する産業でもある。

  • hitotoseno さん

    精緻なヒッチコックの『サイコ』分析に加えてアメリカに亡命したのちもキレを失わなかったフリッツラングの技術、絶賛をもって迎えられた『ショアー』の詰めの甘さ、映画の文法を用意したグリフィスを裏面から攻撃したミショーなど映画史には欠かせないトピックをこれでもかと詰め込んだ見事な映画入門書である。中でも映画と列車の密接な関係を暴いたのには快哉を叫んだ。わかったような口を叩けば、列車ではなく客船ではあるが『タイタニック』があれだけウケたのも映画及び映画観衆築き上げたの綿たる歴史に乗っかった結果だと言えるだろう。

  • gorgeanalogue さん

    蓮實先生ほどではないにしろ、ちょっと癖のある文体だけど(短絡が多い)、とくに「ショア」批判と列車=映画論、そして黒人専用映画論(こんなこと何も知らなかった)が面白い。グリフィス論は私が無知すぎるということを置いておいても、そんなには興奮しない。サイコ論はまあまあ。終章の身体論はもう少しなんとかしてほしかった(これ、編集が悪いと思う)。

  • TOMYTOMY さん

    改訂版を初めて。 なかなか上手く出来てる。 映画を見るきっかけに。

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加藤幹郎

1957年長崎市生まれ。筑波大学大学院文芸・言語研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学博士。ミシガン大学客員教授、カリフォルニア大学バークリー校、カリフォルニア大学ロサンジェルス校、ニューヨーク大学、ハワイ大学マノア校フルブライト客員研究員、京都大学大学院人間・環境学研究科教授、日本映画学会会長な

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