マーラー 輝かしい日々と断ち切られた未来 叢書 20世紀の芸術と文学

前島良雄

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784871985727
ISBN 10 : 4871985725
フォーマット
発行年月
2011年06月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
312p 音A版

内容詳細

目次 : 〜本書で覆される、通説、俗説、伝説、神話...。 / 真実を検証し、これまでにないマーラー像を提示。〜 / 【目次】 / 第 1章:誕生、幼少時代 / 第 2章:修行時代 / 第 3章:さすらう音楽監督 / 補足1 初期交響曲について / 第 4章:ヴィーン時代・前期 / 第 5章:結婚と新しい仲間 / 第 6章:ヴィーン時代・後期 / 第 7章:運命の敏 / 第 8章:新しい生活 / 補足2 ≪大地の歌≫の歌詞について / 第 9章:嵐の予感 / 第10章:断ち切られた未来

【著者紹介】
前島良雄 : 1955年、名古屋生まれ。音楽評論家・翻訳家・予備校講師。国際マーラー協会会員、日本シベリウス協会維持会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
1
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
マーラーに関して世情流布している多くの「...

投稿日:2012/08/14 (火)

マーラーに関して世情流布している多くの「暗い」伝説を払拭する、まことに注目すべき著書であります。私自身、早くからマーラーと死に関する様々な言説になじみ、この本を読んだ後でもそのイメージを完全にはぬぐい去れない状態ですが、しかし、特に死の直前の様子に関する叙述は、あまりにも元気でエネルギッシュなマーラーの姿を活写していて、大いに刮目すべきところであります。さて、この著作は、おそらくは先立って前島氏が取り組んできたお仕事を踏まえて成り立っているのでしょう。ですから、前島氏にとっては、もう言わずもがな、当然の前提になっているところがあって、たとえばアルマの『回想録』の眉唾ぶりなどがそれに当たりましょう。ところが一般的にはそれこそが各種マーラー・イメージの「刷り込み」の元なわけですから、そこはもう少し丁寧に初学者向けに『回想録』の偽りたる所以を解説してほしかったですな。第五章あたりでも、『回想録』の記事を否定するための直接の反証文献を明記してほしかったですね。アルマの捏造だ、ウソだ、とだけ言うのではなく、この文書・この手紙からはアルマの発言が違うことが分かる、とかね。それなしには前島氏の発言も説得力を持ってきませんやね。そこがちょっと残念です。また、たとえば有名な「ドレスデン書簡」に関する解釈も、必ずしも前島氏の言うところ、納得できない気もします(148〜154ページ)。やはりこの手紙は、書き方は鄭重ながらも、(相手の足元を見据えた)高圧的な内容ではないでしょうかねえ。「家父長的」とか「男尊女卑」とかいう見方は全く的外れですが、正直相手の「惚れた弱み」に付け込んだ態度じゃありませんかな。そこまでは言わなくても、せめて同業者を妻にはしたくなかったマーラーの「意地」のような気もしますね。ま、それはさておくとしましょう(私の感想が正しいと限らないしね)。あと、ケアレスミスを二つほど。50ページには、マーラーがハイドンの『四季』を指揮したのはカッセル(ミュンデン?)での演奏が唯一、という文があります。ところが79ページを見ますと、ハンブルクで『四季』を6回指揮していると書かれてあります。これは50ページが間違いですかね。次。142ページの最終行。アルマ・マリア・シントラー(一八四二〜一八九三)とありますが、これではアルマは夫グスタフよりも年上になっちゃいます。次のページにありますように、この生没年はアルマの父、エーミ−ル・ヤコプのものですね。ま、なんにせよ、啓発されるところの多い、マーラーの音楽のファンなら必ず目を通すべき、注目の書物であります。ぜひ、みなさま、どうぞ。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • あやてい さん

    マーラーの生涯をたどりながら、「悲劇の作曲家」という作られたイメージを覆していく。いっそ小気味よいのだが、自分自身のマーラー像の大幅修正を迫られて戸惑っているところでもある。孤高の人ではなく自分の演奏に同時代の作曲家を積極的に取り入れて行ったことなど。死に向かう苦悩と葛藤、そして諦念というイメージが定着した第9をどう捉え直すか、いまものすごく頭を抱えている。

  • めっちー さん

    今までのマーラー像はアルマの伝記による所が多かったが、その伝記も嘘が多いというのが解り、マーラーの手紙や言動でマーラー像をひっくり返すのは良かったが、「本当にそうなの?」と思う所が少なからずあった。

  • Decoy さん

    通説・俗説が次々と覆されるのは気持ちがいいくらいであるが、マーラーの指揮者としての凄まじい売れっ子ぶりや、同時代作品にも目を配った意欲的なプログラミングなどの方が、より興味深かった。

  • 千葉さとし さん

    クラシック音楽が好きで、マーラーの音楽に惹かれるものがある人、必読の書ですよ、本当に。マーラーについて「語る」本は家族や同僚、同時代人や演奏家に評論家など等本当に多い。だがしかし、本書ほど徹底して事実をして「その時代最高の指揮者、オペラからコンサートへとその活動領域を移そうとしていた」「作曲家としても十分に高く評価され、その音楽は巷間語られるイメージとは切り分けて捉えるべき」と教えてくれる本は他にない。この音楽家について、これまでの私たちが「羅生門」状態に陥っていたことに気づかされますよ?(笑)

  • hr さん

    第8交響曲に関する箇所を拾い読み

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

アート・エンタメ に関連する商品情報

おすすめの商品