女坂 新潮文庫 改版

円地文子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101127026
ISBN 10 : 4101127026
フォーマット
出版社
発行年月
1993年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
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追加情報
:
16cm,254p

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読書メーターレビュー

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  • やいっち さん

    四半世紀以上前に読んだ。「明治初期、世に時めく地方官吏・白川行友の妻・倫(とも)は、良人(おっと)に妾を探すために上京した。妻妾を同居させ、小間使や長男の嫁にまで手を出す行友に、ひとことも文句を言わずじっと耐える倫。彼女はさらに息子や孫の不行跡の後始末に駈けまわらねばならなかった。」明治の女……妻が正妻の立場を守るための凄絶な、狂気に近い戦い。

  • みっぴー さん

    字が小さい、会話が少ないので読みにくいことを除けば、他の皆さまが仰るとおり傑作です。これほどまで精密な心理描写を見たことがない。心理描写が八割がたを占めるので、自然と会話が少なくなるのも道理なのですが(^-^;)封建的な家で、高級官吏の夫に尽くす倫。夫の命令で、妾を自ら選ぶために上京する場面から始まるのですが、もう目が離せない。妻であり、母であり、家政を取り締まる女支配人でもあり、この人の才覚がなかったら白川家はどうなっていたのか。現代なら、絶対企業家になって成功するタイプ。坂道はやっぱり上りだったか。

  • ケイ さん

    舞台は維新後の明治。封建的夫婦の形が残っている。夫の為に自尊心を殺して妾を探し、裏切りに苦しみ歯軋りする倫。その耐える姿より、甲斐性があり勝手気儘な夫を誰も責めず好きにさせているのが腹立たしく、身悶えするように読んでいた。倫が体調を崩し、夫に心の変化が表れてから、私の心もうねるようだった。潔癖で冷たく見えた倫は、実は妾やその子、そして我が子や孫を気配り母性愛に溢れていて、それが夫にもふりかかったのだと思えた。夫婦の最後の会話、それは他人を介したものだったが、その会話文、とくに夫の言葉には胸が詰まる。

  • こうすけ さん

    先日読んだ短編がとてもよかった円地文子。夫の妾を探しに上京するところから始まる、明治時代のある女の一代記。イダイケ夫人の挿話や、ギリシア悲劇『エディプス王』への言及にみられるように、あらがいきれない業や宿命を、西洋的な神ではなく、日本的な家制度から描いていく。若い妾や女中、息子の嫁にまで手を出す夫との対決のゆくえとは。短編でもそうだったが、この作者の結末のカタルシスはすごい。決して長くはない分量で、どっと重くのしかかる読後感。

  • 松本直哉 さん

    三人の着飾った女たちが菖蒲園の花を愛でる場面のあでやかさは谷崎の細雪の姉妹の花見を想起させるが、この三人が姉妹ではなく、二人は妾、あとの一人は息子の嫁だがどうやら舅の手がついているらしく、しかも全員が一つ屋根の下に住んでいるとなれば、その関係は重く複雑で隠微なものとなり、その後異母兄妹が恋愛の手前までゆくところなど、谷崎よりはむしろ源氏物語の世界だが、舞台は明治であり、光源氏にあたる男は男根的な暴君にすぎず、その支配下で屈辱に耐えてきた正夫人が雪の降る長い坂をとぼとぼ登る終盤にはそぞろ涙を誘われる。

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