三条実美 維新政権の「有徳の為政者」 中公新書

内藤一成

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784121025289
ISBN 10 : 4121025288
フォーマット
出版社
発行年月
2019年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
248p;18

内容詳細

三条実美(1837〜91)は、過激な攘夷派公家、七卿落ちで知られる。維新後は右大臣・太政大臣として新政府の頂点に立つが、政治手腕に乏しく、無能という評価すらある。だがそのような人物が、なぜ維新後18年間も、大久保利通や伊藤博文ら政治家を従え、難局に対処できたのか。本書は、時代の寵児として脚光を浴びた青年期から、苦難の長州・太宰府時代、新政府内での役割など、その生涯を丹念に追い、実像に迫る。

目次 : 第1章 公家の名門に生まれて(近世の朝廷と三条家―徳川幕府支配のなかで/ 世に出るまで―父三条実萬と勤王少年時代/ 安政の開国問題―朝廷の浮上と焦点化)/ 第2章 尊攘派公卿としての脚光(文久政局への登場―尊王攘夷運動と土佐藩との連繋/ 時代の寵児―勅使として江戸へ/ 過熱する攘夷、八月一八日の政変による失脚)/ 第3章 長州・太宰府の日々(七卿落ちと長州藩―禁門の変、下関戦争の敗北/ 太宰府での艱難辛苦/ 幕末政局と太宰府―薩長盟約、攘夷論の転換)/ 第4章 明治新政府の太政大臣(維新政権の頂点へ―復古革新の象徴的存在/ 天皇親政の模索―動から静へ/ 明治六年の政変―留守政府トップの苦悩/ 明治八年の政変―島津久光とのたたかい)/ 第5章 静かな退場―太政官制から内閣制へ(迫られる制度の改変―太政官内閣の変質/ 現実化する天皇親政/ 伊藤博文の台頭―内閣制の発足と太政官制の終焉/ 内大臣へ―立憲政治のための自制)

【著者紹介】
内藤一成 : 1967(昭和42)年愛知県生まれ。青山学院大学博士(歴史学)。現在、宮内庁書陵部編修課主任研究官・国際日本文化研究センター共同研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    色んな謎が次々に解決する:三条はなぜ過激な攘夷に走ったか、七卿落ちから太宰府での不遇、全くタイプの違う岩倉具視と握手した経緯、太政大臣という役職の意味、明治六年の政変での卒倒事件の真相、島津久光追い落としの意味、太政官制から内閣制移行における役割など、三条実美を切り口として幕末・維新の動きが鮮やかに理解できた。個性が強く人格的に問題のある人たちが多い明治維新が成就したのは、三条実美という「無私で高潔な別格の為政者」がいたからこそだと実感できる。歴史の教養に乏しい私にぴったりの、とても勉強になる一冊だった。

  • skunk_c さん

    明治六年の卒倒で低評価でありながら、明治初期政府のトップに座っていた人物の評伝。江戸末期には過激な攘夷派で七卿落ちしながら、明治政府では藩閥政治の中にあって、調整役として立ち振る舞っていた姿が浮かび上がる。太政大臣は清華家という格式の高さから就任したようだが、周囲から揺さぶられながらもスジを通そうとしていたとのこと。少し認識を改めた。幕末、特に京都の政治史、明治8年の島津久光を軸にした政治混乱なども詳しく、本書を読むことで立体的に見えてくるものも多かった。金に対する清廉さは現代政治家に見習ってもらいたい。

  • サケ太 さん

    浮かび上がる気骨の人。三条実美の見方が変わる!幕末から明治にかけての彼の活動。自分は、三条実美という男について、幕末史においては『七卿落ち』で名前が出て以来その存在をあまり認識していなかった。しかし、大宰府での彼の活動や彼の家臣であった真木和泉や中岡慎太郎の活躍によって為された出来事も多く、その人脈と胆力に驚いた。明治となったあとも、政治の中枢で己の役割に徹し続けた男。島津久光の厄介さも理解できた。地味ではあるが、明治の政治闘争はかなり面白い。

  • ほうすう さん

    幕末から明治にかけて活躍した三条実美の生涯を描く。七卿落ちと明治六年の政変のイメージが強かったが、その場面はもちろん詳しく解説されている。それ以外のヶ所だと島津久光との対立は知らなかったため読んでいて新鮮で楽しかった。実美に限らないが明治時代って統治経験がさほどないのに唐突に明治政府の重鎮になるのだからすごい時代だなとは思った。

  • 田中峰和 さん

    三条実美といえば、七卿落ちで有名だが、もう一つ記憶に残るは征韓論では西郷と洋行組の大久保達との板挟みにあい、議論をまとめきれずに卒倒してしまった事件。彼は楠正成に憧れ、南朝の忠臣のような歴史的な存在となることを意識し、後世の批判に耐えられるよう、清廉潔白を旨とした。卒倒事件が有名なせいで、軟弱な印象があるが、亡命時代は命の危険さえ冒す剛直な一面ももっていた。西郷に責められて強くなったのか、薩摩の久光の策略と嫌がらせには屈せず太政大臣として初志を貫き通したのは立派。何にせよ久光を誉める小説も歴史書も皆無だ。

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