説経節 俊徳丸・小栗判官 他三篇 岩波文庫

兵藤裕己

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784003028612
ISBN 10 : 4003028619
フォーマット
出版社
発行年月
2023年07月
日本
追加情報
:
398p;15

内容詳細

かつて大道の語り芸として行われた説経節。今に伝わる演目から、後世の文学・芸能に特に大きな影響を与えた五作品を編む。語りの文体は臨場感に満ち、“病”を得た俊徳丸をかつぎ歩く乙姫、冥途から蘇った小栗判官を土車に乗せて引く照手姫など、力強い女主人公たちのすがたは印象深い。「山椒太夫」「愛護の若」「隅田川」の三篇も収録。

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • HANA さん

    「俊徳丸」「小栗判官」「山椒大夫」「愛宕若」「隅田川」の五編を収録。いずれも高貴な身が落魄し悲惨な目に遭うが、やがてその地位を回復するという大筋は共通している。違うのは前者三篇はハッピーエンドに終わるのだが、後者二編は悲劇のまま幕を閉じる点か。ただどの話も運命の転変というものを感じさせて、どこかギリシア悲劇を連想させられるなあ。あと折口信夫がこれらを指して「貴種流離譚」と評したけど、その言葉の意味が実際読むとしみじみと納得できた。それはそれとして話自体も面白いので、何百年も民衆に愛されていたのも納得。

  • アメヲトコ さん

    俊徳丸・小栗判官・山椒太夫・愛護の若・隅田川の説経節名作5編を収録。近世初期の正本を底本としているものが多く、声に出したくなる読みやすさがあります。あらすじは知っていてもこうやって読むと味わい深いですね。愛護の若の結末はなかなかの超展開で唖然。

  • spica015 さん

    本来、聴く・観る芸能である説経節がこのように手に取りやすい形で読むことができるのは大変意義深い。「俊徳丸」をはじめとするどの作品も、後の操り芝居や歌舞伎、文学、美術に与えた影響は大きく、それらを鑑賞する手引きにもなっている。現代人からすれば馴染みのない文体だが、本来語り芸であることから、旋律が感じられるし、あらすじと丁寧な校註で意味も取りやすい。『摂州合邦辻』が「俊徳丸」だけでなく「愛護の若」をも下敷きにしていることがわかった。説経節から浄瑠璃へエンタメ化されていく過程も知りたくなった。

  • さえもん さん

    俊徳丸と小栗判官は、手紙のやりとりだけをもって、一生添い遂げようとする気持ちが、現代の我々にとっては理解しがたいものになっている。山椒大夫が断然おもしろかったけど、なぜ悪役側の名前が話のタイトルになっているんだろう。

  • Kinya さん

    スーパー歌舞伎・NHKの人形劇の原作にもなった「小栗判官」、森鴎外のリメイクで有名な「山椒大夫」、狂女物の秀作「隅田川」と令和のいまもなお命脈を保つ説教節の代表作五編が収載されている。ストーリの展開は御都合主義がまかり通り、勧善懲悪がお約束だけども、その結末の心地よさと安定感ゆえに長く民俗芸能として生きながらえたのでしょう。

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人物・団体紹介

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兵藤裕己

1950年名古屋市生まれ。専門は日本文学・芸能論。埼玉大学、成城大学を経て、学習院大学教授。文学博士(東京大学)。1996年に『太平記〈よみ〉の可能性』でサントリー学芸賞、2002年『〈声〉の国民国家・日本』(のちに『〈声〉の国民国家』に改題)でやまなし文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当

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