佐野眞一(ノンフィクション作家)

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遠い「山びこ」 無着成恭と教え子たちの四十年 新潮文庫

佐野眞一(ノンフィクション作家)

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101316376
ISBN 10 : 4101316376
フォーマット
出版社
発行年月
2005年05月
日本
追加情報
:
514p 15cm(A6)

内容詳細

昭和23年、山形の寒村に赴任した新任教師が世に問うた、作文集「山びこ学校」。そこに描かれたそのひたむきな子たちの姿は、大反響を呼び、戦後民主主義教育の金字塔とまで讃えられた―。20代で教育界の寵児となった男と43人の教え子たちのその後40年。高度成長、教育変革、そして日本人の意識の変化…。昭和という時代に翻弄されながらも懸命に生きた、それぞれの人生の証を追う。

目次 : 「そらはら」の子供たち/ ジャーナリスト人脈/ 「母の死とその後」/ 檀那寺の跡とり/ 翻弄される山村/ 素足の卒業式/ 幻の「きかんしゃ」発掘/ 谷間の英雄/ 村からの追放/ 都会に出た十一人/ 江一の沈黙/ 藤三郎の闘い/ 明星の無着成恭

【著者紹介】
佐野真一 : 1947(昭和22)年東京生れ。出版社勤務を経てノンフィクション作家に。主著に、宮本常一と渋沢敬三の交流を描いた『旅する巨人』(大宅賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 遥かなる想い さん

    山形県山元中学の子供たち43人のその後を 追った作品である。庶民のありのままの 戦後史でもある。 当時25歳の無着という教師は その後 どういう人生を辿ったのか? 一躍教育界のスターとなった無着の苦悩の後が 丹念に描かれる。戦後教育の変遷を辿る旅とも 言える作品だった。

  • ころりんぱ さん

    山びこ学校を読んで感動し、その後の40年を追ったというこの本を手に取ったのですが、予想と全然違う着地点…でも…というか、だからこそ面白かったし読んで良かったです。山びこ学校は国家主体の教育が機能を失った戦後に彗星の如く現れた教育実践の書だったのだということがよくわかりました。無着先生と子どもたちのその3年間は真心のこもった本物の教育だったと思います。が、マスコミに取り上げられ有名になったことで社会のあらゆる権力に翻弄され、その客観的価値が変わってしまったように思いました。

  • アナクマ さん

    『山びこ学校』の著者と教え子たちを追い、戦後民主主義教育と村人の辿った道を描く。◉5章_昭和初期の山形県(上山市)山元村。中学生徒43人中、6人兄弟以上が29人。彼らの生まれた前年 昭和9年は冷夏で「養蚕農家に年間528円あった収入は174円に」。小中380名のうち「白米を常食としている子供は10名」。娘を一人売れば「年季4年で…親の手に渡るのは150円」。満州への〈棄民〉も多く「県単独の開拓団・分郷計画を組んだのも山形県が最初だった」。その頃に生まれた彼らが敗戦直後に記した文集が『山びこ学校』となった。

  • きいち さん

    昨日読み終わった『山びこ学校』の各編が次々と思い出されてもう止まらない、500ページ一気に行ってしまった。級長・佐藤藤三郎の答辞、そして江一への言葉のシーンでは、思いっきり涙腺が緩んでしまった。◇無着への「神話外し」のルポルタージュではあるが、教育の成果とは確かに、何十年もたって後、受けた生徒の生活の充実と世の中への寄与(受けなかった場合との差)で測られるもの。短期的には、その場所では、評価されない可能性はある。その教育の価値の高さが実感できるのは、著者があきらめずに43人全員を追いかけてくれたおかげだ。

  • アナクマ さん

    6章_山村の状況つづき。解放されなかった山林が村民の不公平をさらに広げた。下草も粗朶も炭焼きも、戦前の主従関係を温存させた。「あれは家の手伝いもせず学校にばかり行って困ったものだ」「とうちゃんばころして さかずきなのよこしたてだめだ」卒業生43人の寸評は圧巻。◉7-8章_卒業生と文集『きかんしゃ』の捜索開始。これにあわせて、『山びこ学校』を語るな・聞くなの障壁、社会科学的切り口や〈とにかく英雄/生贄を作りだすジャーナリズム〉の接近、そして「保守・革新の両陣営からもみくちゃにされ」た所以などを掘り下げる。

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