花散るまえに

佐藤雫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087754667
ISBN 10 : 4087754669
フォーマット
出版社
発行年月
2023年08月
日本
追加情報
:
336p;19

内容詳細

最初に父親から教えられたのは自害の作法…細川忠興は愛を知らなかった。玉(ガラシャ)は、妻として忠興に寄り添いたいと思う。しかし父・明智光秀の謀反により、夫婦の運命は暗転。謀反人の娘となって幽閉された玉は、やがてキリスト教の愛に惹かれていく。一方、忠興は玉の心を失う孤独と恐怖から、刃を振り上げ―。本当に大切にすべきものは何だったのか。物語は歴史上もっとも美しいラストシーンへ。

【著者紹介】
佐藤雫 : 1988年、香川県生まれ。2019年、「言の葉は、残りて」(「海の匂い」改題)で第三十二回小説すばる新人賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    政治の冷酷さは夫婦の情愛など容赦なく押し流す。生き残るためなら娘婿でも討つ父に服従するしかない細川忠興と、愛情を注いでくれた父が天下の謀反人となってしまった玉の結婚は悲劇が約束されていた。玉を奪われかけた忠興は二度と手放すまいと狂気に走り、閉じ込められた玉はキリスト教に救いを求める。どこまでも不器用な夫婦が衝突を繰り返した末にようやくわかり合えた瞬間、関ヶ原へ向かう歴史の奔流が押し寄せてくる。散るべき時を悟った玉が毅然として死を選んだ姿に、政治に抗って散った本物の愛を知った忠興は号泣するしかなかったのだ。

  • ちょろこ さん

    細川忠興夫妻の愛の物語の一冊。これほど丁寧に忠興とガラシャ夫人の心情を掬い、心のすれ違いを緻密に描いた作品は初めて。この作家さんの手にかかると狂愛、偏愛という負の印象しかなかった忠興の愛が胸を打つほどの愛に変身し魅せられる。人を愛することはいとも容易い。対して愛を伝える術の難しさを思う。ましてや縛られた婚姻関係ならば尚更。すれ違いだらけの二人。忠興の愛に対して出した玉の答えに涙ぐまずにはいられなかった。お互いに苦しみを知ったからこそ得た愛。本当にこんな想いの二人と時間が…素直に思えた愛と哀の歴史のひと時。

  • のぶ さん

    戦国時代のクリスチャン、細川ガラシャを中心とした物語。ガラシャは洗礼を受ける前は玉と呼ばれており、話は玉が大名の細川忠興に輿入れするところから始まる。玉は明智光秀の子ども。世は戦国の真っ只中。忠興は玉を愛し、玉を守り続ける。やがて父・明智光秀は本能寺の変を起こし、やがて光秀も秀吉に討ち取られる。その後玉はキリスト教の愛に惹かれていく。ただストーリはガラシャとしての登場は少なく忠興の妻として仕える姿が描かれていた。戦国小説としても恋愛小説としても読める面白い小説だった。

  • ゆみねこ さん

    愛を知らずに育った細川忠興と天下の謀反人となった明智光秀の娘・玉。戦国の世に翻弄された二人の純愛は悲しい最後を迎える。美しい文章でとても読みやすかった。

  • 星群 さん

    細川忠興・玉(ガラシャ)の歪愛物語。陰を持つ人に惹かれる私は、この2人が主人公だとしって読んでみたかった本。忠興の殺傷行為を想像しながら、戦以外で何人殺してるんだろとか思いました。耳は削がないで欲しいっていうと、鼻を削ぐとか凄まじすぎるでしょ。玉の最期を知っているだけに、どんな結末にするのかと思ってたけど、そうきましたか。もし、来世があるなら2人が今度は真っ当に幸せになって欲しいと願いました。忠興が残虐すぎるから無理かな、苦笑。

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佐藤雫

1988年香川県生まれ。2019年『言の葉は、残りて』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2024年『白蕾記』で野村胡堂文学賞候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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