基本情報
内容詳細
黒田清輝や森鴎外の盟友でありながら、忘却の彼方となった美術批評家・岩村透。美校初代の西洋美術史教授の彼は、一九一〇年代の日本で、百年後の「美術と社会」を見据え、美術ジャーナリズムやアーツマネジメントを展開。言論統制下に美術行政を論じながら早逝した仕事の全貌と、多分野の人々との共闘の足跡を辿る。上巻は、感興と挑戦をモットーに美術界を牽引する若き岩村の姿が蘇る。
目次 : 第1部 岩村透を読み直すために(その生涯(一八七〇‐一九一七)/ 岩村透研究の推移と問題点/ 美術批評史研究の推移と岩村透の位相―批評期区分の試み)/ 第2部 世紀転換期の美術批評と岩村透の仕事(美術批評はいかにして可能か/ 技芸家のための西洋美術史/ ボヘミアにズムの仕掛け人―「巴里の美術学生」の波及力)/ 第3部 明治大正期の初期社会主義と美術批評(坂井犀水と初期社会主義/ 岩村透と初期社会主義/ 先取られた追悼―森鴎外「かのやうに」における岩村透像)/ 第4部 前衛史観に抗して(『美術新報』改革とその戦略(一九〇九‐一九一三)/ 文展時代“小芸術”―“民藝”直前の装飾美術運動)
【著者紹介】
今橋映子 : 1961年、東京生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科・教授。博士(学術)。専門は、比較文学・比較文化。『異都憧憬 日本人のパリ』(柏書房。1993年)でサントリー学芸賞、渋沢クローデル特別賞を受賞。『“パリ写真”の世紀』(白水社、2003年)で重森弘淹写真評論賞、島田謹二記念学藝賞、日本写真協会賞学芸賞を受賞。パリ神話と外国人芸術家の関係を扱った異文化表象論、都市写真を中心とする写真文化研究などを経て、2008年以降は、日本近代美術批評を思想文化の中で問い直す仕事を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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アメヲトコ さん
読了日:2021/09/21
小谷野敦 さん
読了日:2022/01/01
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