ミネルヴァとマルス 下 昭和の妖怪・岸信介

中路啓太

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784041074268
ISBN 10 : 4041074266
フォーマット
出版社
発行年月
2019年03月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
400p;20

内容詳細

A級戦犯容疑で投獄されたものの、不起訴処分で巣鴨プリズンから釈放された岸信介。大国のエゴがぶつかり合う戦後世界において、岸は文人政治家として、日米安全保障条約の改定や、自主憲法の制定、二大政党制の実現を目指して動き出す。だがそこには、途方もない困難が立ちはだかる。アメリカの野望。マスメディアの批判。押し寄せるデモ隊。党内外の争い。そして弟・佐藤栄作のもとで勢力を伸ばす田中角栄―。昭和六十二年、満九十歳でこの世を去るまで政治の表裏に関わり、「昭和の妖怪」と呼ばれた男の波乱の生涯!いまに連なる「昭和」に、何が起きたのか。真の独立国家再建を目指した政治家・岸を通じて描く、渾身の歴史小説!

【著者紹介】
中路啓太 : 1968年、東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を単位取得の上、退学。2006年、『火ノ児の剣』で第1回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞し作家デビュー。10年、『己惚れの砦』(文庫化時に『己惚れの記』に改題)で第31回吉川英治文学新人賞の候補に。15年、『もののふ莫迦』で第5回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。16年、『ロンドン狂瀾』が第7回山田風太郎賞の候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • サケ太 さん

    凄まじい小説だった。巣鴨プリズンで二年を過ごした岸信介。政界に繰り出すも、苦難の連続。吉田茂、池田勇人、実の弟佐藤栄作、そして田中角栄。協調や対立を繰り返しながらも、岸は理想を求めて、国のために前進し続ける。感じたのはメンタルの異様に強い人物だということ。安保闘争の時代に首相としての役割を果たそうとしたのだからかなりのものだ。綺麗なだけの政治家ではない。彼らにとっての“当然”が奇怪なものに映ることがある。だが、国のために身を粉にした人々はいた。国のための変化と挑戦。それは、現代にも引き継がれている。

  • 雅 さん

    激動の時代。上手く立ち回った奴が生き残れる。戦後間もないこの時に政治は既にショーのようなモノだった

  • かんがく さん

    東大卒、革新官僚、満州国、東條内閣、巣鴨プリズン、公職追放、党派対立、安保闘争と昭和の妖怪の生涯を描いた政治小説。昭和期の政治の担い手たちの動きが活き活きと伝わってくる。岸はいわゆるコミュ強で、現実主義者だが大きな理想を掲げ、楽天的故に傲慢に見られるなど、吉田茂との共通点も多い。弟栄作との関係も面白い。締めくくりのエリート岸とは真逆の、無教養な男角栄との対比は見事。

  • ホン さん

    戦前は満州国の発展の基礎を築き、戦後はA級戦犯でありながら不起訴となり巣鴨プリズンを出所しその後、首相までなった岸信介。その間 吉田茂、鳩山一郎、河野一郎、弟の佐藤栄作などとの確執、やりとりなど詳細に書かれてる。いろんな参考文献による凄い洞察力だと思う。妖怪の所以も頷ける。懐の深いアイゼンハワーとの会談そして親睦が日米関係をより対等に強固に良好なものにしている。この時に唱えた憲法改正案はその後の歴代の政権は反発を意識し手付かずにそのまま。今になって孫の安倍普三首相がそれを唱えてる。血は争えない。

  • tekutekukiyo さん

    巣鴨プリズンから生還し、政界に甦った昭和の妖怪、岸信介の歴史小説。 下巻のみ読みました。簡潔で淡々とした書き振りでよかったです。現在の安倍政権の精神的ルーツかも。日米問題を考えるうえでも大変参考になる。

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