春の雪 豊饒の海 第1巻 新潮文庫

三島由紀夫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101050492
ISBN 10 : 410105049X
フォーマット
出版社
発行年月
2020年10月
日本
追加情報
:
496p;16

内容詳細

ともに華族に生まれた松枝清顕と綾倉聡子。互いに惹かれ合うが、自尊心の強さから清顕が聡子を遠ざけると、聡子は皇族との婚約を受け入れてしまう。若い二人の前に、燃えるような禁忌の道が拓かれ、度重なる密会の果て、ついに恐れていた事態を招来する―。三島が己れのすべてを賭し、典雅なる宿命世界を描き尽くしたライフワークたる『豊饒の海』第一巻。自らの死を意識しつつ書かれた三島最後の作品、全四巻。

【著者紹介】
三島由紀夫 : 1925‐1970。東京生れ。本名、平岡公威。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。’49年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、’54年『潮騒』(新潮社文学賞)、’56年『金閣寺』(読売文学賞)、’65年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。’70年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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三島由紀夫がライフワークかつ作家人生の集...

投稿日:2021/03/21 (日)

三島由紀夫がライフワークかつ作家人生の集大成として書き上げた四部作『豊饒の海』の第1巻。 今さらながら簡単に説明すると、本多という男が、十代の頃から七十を越して老人になるまでに、二十歳で夭折しては生まれ変わってゆく魂を傍観し続ける話です。 三島のデコラティブな文体が好きではない人に向けて声を大にして言いたいのですが、読みにくいなと思ったところはガンガンとばして読み進めて全く問題ないので、まずはストーリーを追っていくことだけに集中して読んでみてください。 とにかくストーリーが面白すぎて、「何か面白い話、ガンガン話が展開していく面白い小説を読みたい」と思っているのにこれをまだ読んでいない、というのはもったいなさすぎると思うからです。 主人公はあくまで生まれ変わってゆく魂(『春の雪』では、本多の同級生の親友・松枝清顕)なのですが、本多もまた傍観者でありつつ主人公に限りなく近いというか、その辺の傍観っぷり(変な言葉ですみません)や微妙な立場もまた面白いです。 で、『春の雪』ですが、時は大正時代、侯爵家の若き嫡子・松枝清顕は超イケメンで方々で噂になるほど。しかし本人は何事にもやる気がなく、ただぼんやりと学校に通っています。 そんな清顕には、幼馴染の綾倉聡子がいます。聡子は伯爵家の令嬢で、美しくおっとりとした、見目麗しく心清い女性。 聡子は清顕のことを一途に想っており、清顕もまた聡子のことが好きなのですが、とにかく覇気がなくプライドばかり高い清顕はいつまでも行動を起こせません。 そんな中、聡子に宮家との縁談が持ち上がります。相手が相手だけに、縁談が進んでからは引き返せないため、清顕の両親も、話が進む前に、お前はもしかして聡子のことを好きだったりしないか?正直に言ってほしい、とあらかじめ清顕に確認をとるほど。それに対し、全然そんなことないから!と突っぱねる清顕。進む縁談。 そしてとうとう勅許(縁組に対する天皇の許可)が下りてしまった時に、「僕は聡子に恋している」と心の中で叫ぶ清顕。 読んでるこっちは、清顕ィ〜お・ま・え・という奴はぁ〜!!ですよ。 許されない恋が成立する状況になるまで行動に出ないっていうね。 そして二人の燃えるような秘密の恋が始まります。 以上があらすじですが、とにかく本当に面白い話なんですよ。伝わりますかね。伝われ〜!って佐久間一行みたいに叫びたくなるほど面白い話なんです。 私が推奨したい楽しみ方は、映画化するとしたらキャストは?と考えることです。 『春の雪』は2000年代に既に映画化されています。清顕は妻夫木聡、聡子は竹内結子が演じました。 当時劇場まで観に行きましたが、う〜んやっぱりイメージ違うなあーと思ってしまいました(※ただの個人の感想です)。 その頃私が勝手にイメージしていたのは、清顕がタッキー、聡子が宮沢りえだったのですが、当時ですら宮沢りえは聡子を演るには少し歳が行き過ぎていました。 (キャストを勝手に想像する遊び、イメージは合うのに年齢が合わない問題、ありますよね。) ここで勝手に、今私が考える『春の雪』キャストを書きたいと思います。 まず清顕は菅田将暉。菅田将暉も三十の坂が見えてきて、今十代を演じるのはちょっときつくなってきましたが、『問題のあるレストラン』とか『帝一の國』のあたりのビジュアルを想像してみてください。白くてきれいな肌、凛々しい眉、通った鼻筋、ぴったりじゃないでしょうか。時空を飛び越えて少し若返って、清顕を演ってみてほしいです。 聡子は、有村架純とかどうでしょうか。おしとやかでかわいく、それでいて芯の強い感じが聡子のイメージによく合います。 本多は柄本佑。本多はハンサムすぎる人では似合わないんですが、醜男でもダメなんですよね。柄本佑はキリッとしていて丁度良いと思います。 清顕の父には榎木孝明。もしくは吉田鋼太郎。 清顕の祖母には夏木マリ。 聡子の世話役老女・蓼科には、田中裕子にもっと太ってもらってネットリと演じてもらったら似合いそう。 …などなど、楽しい想像は尽きません。 あなたも是非どうぞ。

苺 さん | 不明 | 不明

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古典にふれることで、日本人の中に存在する...

投稿日:2021/02/23 (火)

古典にふれることで、日本人の中に存在する、日本的美意識を見出します。 人間社会のシンの問題性は、人間の中に存在するエゴや嫉妬、傲慢さや憎悪などを生み出す、不可解な情念や欲動に還元されたものです。 そして、それはまさに三島文学によって表現されているものです。

Joe さん | 大阪府 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • レアル さん

    『春の海』に月修寺という寺が登場するが、実は奈良の円照寺をモデルにして書かれているとの事で、ただその繋がりのみの興味で読んでみる事に!私自身、大正時代の縁談やそのしきたり等に疎いためか、文章は読めてもその内容の理解が追い付かず読むのに時間がかかった。こちら一言でいうと侯爵家の嫡子である松枝清顕と伯爵家令嬢の綾倉聡子の恋の物語。普通に結ばれれば良いものを、捻くれ、悲恋に燃え上がる事を好む清顕。それに振り回される聡子。悲しすぎる。否、その悲しく激しすぎるほどの恋物語の行く末を三島は描きたかったのだろう。

  • Y2K☮ さん

    聡子の清顕への恋はピュアでシンプル。だが清顕の聡子への恋は禁忌を破ることへのそれが第一義だったのかもしれない(好きだったのなら結婚できたわけだし)。ただ最初の入り口はそうだったとしても、自尊心で押し殺していた想いに嘘はなかった気もする。だからこその終盤。題に込められた意味を考えると胸が苦しくなるし、雪の日のエピソードを思い出して涙腺が緩む。華族のきらびやかな日常を絢爛な文体で生々しく描けば描くほど、見栄や建前や世間体がすべてな偽善性が際立つ。ここに三島の意図を感じた。第二部は英雄的な行動小説らしい。近々。

  • NICKNAME さん

    4部作豊饒の海の1作目了読。これらの4作は不思議な形で繋がっている物であり、すべてを読むには長い読書になりそうだ。この作品の主人公は華族に生まれ何事にも非常に恵まれ過ぎていて、ある意味腐っているのではないかという感じで読みながら、主人公に対しては怒りを覚えるのですが、最終末の方に行くと哀れみを感じてしまうのです。2部の作品は既に入手しているので早速読みたいです。

  • ともっこ さん

    お正月から読み始め、三島由紀夫の生誕日の1月14日に読み終わることができた。 高貴な世界で繰り広げられる、激しく燃え上がる禁忌の恋。 輪廻転生など仏教色が強く、かなり挑戦的な問題作であると感じた。 三島は『豊饒の海』を最期のライフワークとしたらしいが、輪廻転生という観念を信じたい気持ちがあったのだろうか、などと考えた。

  • こうすけ さん

    長らく読まなきゃと思いつつ放ってきた本作。平野啓一郎の三島評を聞いて読みたくなり、購入。読みはじめは眠くて失神しかけたけど、話が進むにつれてどんどん面白くなっていった。第一部は許されざる恋物語。いくらなんでも皇族の婚約者はタブーだ。清顕の祖母や門跡のキャラクターがよい。第二部はどんな物語になるのだろうか。

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人物・団体紹介

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三島由紀夫

1925年、東京生まれ。本名、平岡公威(きみたけ)。16歳で「花ざかり」を発表し、天稟を注目される。1947年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務した後、執筆生活に入る。1949年、『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文

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