ヴィオラ・アルドーネ

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オリーヴァ・デナーロ

ヴィオラ・アルドーネ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784093567480
ISBN 10 : 4093567484
フォーマット
出版社
発行年月
2025年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
確実に帯が付いた状態での出荷、また初版など版のご指定はお約束しておりません。

内容詳細

理不尽と闘った一人の女性の勇気の物語

1960年代、シチリアの保守的な小村。「女は水差しだから、割った人のところにもらわれていくもの」と母親に擦り込まれた少女オリーヴァは、初潮を迎えてからは「純潔を守るため」に、地元の風習と母の教えに従い男子との交流を避け、学校も辞め家のなかで過ごしていた。しかし裕福な菓子店の息子に目をつけられ、16歳の誕生日に誘拐され性暴力を受けてしまう。当時の刑法第544条により、加害者の男はオリーヴァと結婚することで罪が放免されることになる。結婚を迫る男や周囲からの圧力に追い詰められるオリーヴァ。やがて友人や支援者との励ましに自分の本心に気づき、法廷でこの理不尽に「ノー」を突きつけることを決意する。
『「幸せの列車」に載せられた少年』のベストセラー作家が実話に想を得て描いた、一人の女性の勇気と尊厳の物語。



【編集担当からのおすすめ情報】
イタリア刑法典第544条
第1節〔暴行、又は脅迫を用いて、人に性交を強制する〕及び第530条〔16歳未満の者に対する猥褻行為〕の犯罪については、罪の正犯が被害者と婚姻したときは、罪は消滅する。(以下略)

これは、1981年までイタリアに存在していた通称「ロッコ法」という法律です。南イタリアには長い間「償い婚」という因習があり、性暴力の加害者が被害者と結婚をすることで、その罪を免れていたのです。純潔を失った女性の名誉を守る、という驚くべき観点から定められた法律で、そこには「魂の殺人」によって自分を踏みにじった相手と結婚しなければならない女性側の視点が、完全に欠落していました。
本作は、この法の廃止のきっかけとなった実際の裁判にインスパイアされた著者が、フィクションとして2021年に発表した小説です。舞台は約60年前の南部の村で、このような法律はもちろん現代の日本にはありません。ですが、性暴力によって尊厳を傷つけられた上に、声を挙げた後も「被害者にも落ち度があった」と心ない言葉を投げかけられる光景は、現在も起きている性暴力の事件に驚くほど似ていて、愕然とさせられます。性暴力は絶対に許されない人権侵害であること、それをいま一度噛みしめるとともに、踏みにじられても立ちあがろうとする少女の勇気に胸を熱くさせられる必読の書です。


【著者紹介】
ヴィオラ・アルドーネ : 1974年、イタリアのナポリ生まれ。ナポリ大学文学部を卒業。高校でイタリア語とラテン語を教える傍ら、2012年に『La ricetta del cuore in subbuglio(乱れた心の処方箋)』で小説家としてデビュー。長篇小説3作目『「幸せの列車」に乗せられた少年』(河出書房新社)がイタリア国内で30万部のベストセラーに。長篇4作目にあたる本作『オリーヴァ・デナーロ』は、《現代のヒロイン賞》を受賞し、約20カ国で翻訳出版されている

関口英子 : 埼玉県生まれ。イタリア語翻訳家。2014年に『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』で第一回須賀敦子翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • たま さん

    『「幸せの列車」に乗せられた少年』が面白かったので、この本も楽しみに読み始めた。思春期のオリーヴァの心理−自分の身に起こっていることも自分の気持ちも掴みかね、表現できかねている−はていねいに描かれ共感したが、一方1960年頃のシチリアの村があまりに貧しく因襲的で、村の経済構造、人間関係、親子関係など全然理解できず、物語に入り込めなくて苦労した。オリーヴァの父は弟を殺され、復讐しようとして軍警察に止められている。20世紀後半にヴァンデッタの風習が生きていたとは。唖然とすることが多かった。

  • がらくたどん さん

    あなたは自分を強姦した人と結婚したいですか?それがあなたと家族を救うための最善で最も配慮ある手段だと言われてどう思いますか?南伊シチリアの貧しい農家の娘とその家族が負った「嫌です」という答えの途方もない代償と満身創痍で手に入れた選択の自由という小さな当たり前の物語。「女の子は水差しなんだから、割られでもしたら、その人にもらわれるしかない」そう言い聞かされて育った少女。本当は勉強や食用カタツムリ獲りの仕事が好きな少女。宗教的家父長制由来の旧法が残る国の20世紀から取り残された南部の風は少女の声を運ぶかしら?

  • Hiro さん

    図書館の新刊コーナーで見つけて、事前情報無しで借りた。読み始めてすぐに、本当に1960年代のイタリアが舞台なのか、第一部のタイトルを見直した。先進国の中では日本やイタリアは女性の社会的地位が低いと言われている。一人一人の声は小さいかもしれないけど、社会が良い方向に変わっていけば良いなと思う。男性にとっても女性にとっても。

  • フランソワーズ さん

    ▲「償い婚」という因習。当時のイタリアの常識のなんと異常なことか。しかもカトリックでもそれを認めていたとは。▲主人公オリーヴァと父、母、双児の弟、リリアーナなど、登場人物をうまく描き分けながら、物語を完結させる。素晴らしいストーリングテーラー。▲母を筆頭に、警句めいた気の利いた言葉がいっぱいあった。

  • ぽけっとももんが さん

    ありがとうオリーヴァ。あなたのようにノーと言った人たちのおかげで、いまのわたしたちがある。とはいえオリーヴァは過去の人ではなく70代くらいだ、驚くことに。女性の幸せは結婚が大前提、そのためには男性と付き合うどころか目を合わせてもいけない。「傷物」になったら償い婚という恐怖のシステムで、加害者と結婚させられる。それが傷つけられた女性の名誉を守るためだという理不尽さ。オリーヴァとともに怒りながらあっという間に読んだ。途中気がついたけれども「『幸せの列車』に乗せられた少年」の人だったのね。あれも理不尽だった。

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ヴィオラ・アルドーネ

1974年、イタリアのナポリ生まれ。ナポリ大学文学部を卒業。高校でイタリア語とラテン語を教える傍ら、2012年に『La ricetta del cuore in subbuglio(乱れた心の処方箋)』で小説家としてデビュー。長篇小説3作目『「幸せの列車」に乗せられた少年』(河出書房新社)がイタリア

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