ユーリー・マムレーエフ

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穴持たずども ロシア語文学のミノタウロスたち

ユーリー・マムレーエフ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784560093924
ISBN 10 : 456009392X
フォーマット
出版社
発行年月
2024年01月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
306p;20

内容詳細

生と性、死と不死、世界、神、自我をめぐる「異常者」たちの物語。神秘主義やエゾテリスムを湛えるソ連地下文学の巨匠マムレーエフの怪作

【著者紹介】
ユーリー・マムレーエフ : 1931‐2015。1931年、モスクワの精神科医の家庭に生まれる。55年に林業大学を卒業し、57‐74年にかけて夜間学校で数学を教える。学生時代から執筆を始め、エゾテリスムに彩られたその形而上的な作品は地下出版で仲間内に広まった。58年には自身のアパートで伝説的なサロン「ユジンスキー・サークル」を組織し、多くのアンダーグラウンドの文化人たちが訪れた。74年に妻とアメリカへ亡命、コーネル大学でロシア文学を教え、83年にはフランスへ移り、東洋言語文化学院等で講義を行う。哲学的著作も著している。アンドレイ・ベールイ賞等の文学賞のみならず、その文学的功績に対して国家友好勲章が授けられた

松下隆志 : 1984年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。岩手大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヘラジカ さん

    この作家の目には世界がどう見えているのか。屡々微妙に異なった意味で使われる”世界観”という言葉で考える。猥雑で目まぐるしい程にテンポが良く、狂気を狂気と思わせない独自の道徳律や哲学によって推進する紛れもない怪作。難解は難解だが、凡そ我々常人の理解を期待していないような隔絶感がある。読んでいて思い出したのは筒井康隆の「最悪の接触」。絶対に理解しえない異星人や怪物(もとい異人)の世界観とはこういうものなのかもしれないと思った。物語性のあるソローキンやペレーヴィンと比べるともっと濃度の高い原液っぽい。

  • マリリン さん

    何とカオスな!! 登場人物全てが頭からダイブしたり、よろめきながら堕ちたり、彷徨いの果てに浸かったり…、哲学的色彩の中に狂気が宿るとんでもカオスな世界を彷徨う登場人物たち。人間である事に背きたくなったのか鳥に変身したニキーチチ、殺っちゃいたい気持ちが強いフィヨードル・ソソノフ、自らを慰める手段が独特なクラーワ等登場人物の理解を超える嗜好が何とも。タイトルから当時の社会が垣間見えるが“穴”は多様。ソローキンの作品のように情景の美しさは感じないが文体に惹かれるのは訳者の力量か。ロシア文学の力を感じる。

  • そふぃあ さん

    穴持たず(露:シャトゥーン)とは、冬ごもりに失敗して空腹のまま森を彷徨う危険な熊のことであり、「境界的な精神状態」を象徴しているそう。狂気的な人物しか出てこない。人間の姿のまま鶏に変身したアンドレイ・ニキーチチ老人が印象的だった。

  • taku さん

    さあみんな集まってー、奇人祭が始まるよー。通底しているものは何だ? 人を殺っちゃったり、人をやめちゃったり、哲学的思考で悦に入っちゃってたり? 誇張があるにせよ、現実を蓄えられない穴持たずの連中が、多々いておかしくない時代背景から生まれた作品だと想像する。何を考え何をしているのかは書かれても、理解は別。パッパパラパー的な狂気と、タッタタラリラ的な解とも快ともつかない感じがあり、怪作の名にふさわしい。フョードルとアリョーシャの名から、カラマーゾフは意識しているだろう。アリョーシャは同じ役割をさせようと

  • ポテンヒット さん

    狂度120%。ヤベー奴しか出てこねえ。唖然・呆然としながらも何とか読了出来たのは、語り手が冷静だからか。穴持たずとは、冬に巣ごもりする穴を見つけられなかった獰猛な熊のこと。登場人物もロシアの体制や現実に身の置き場がなく、自身の内部へと突き進むしかない者たち。著者はエロフェーエフとも親交があり、ソローキンやペレーヴィンに影響を与えたといわれるが、これを読むとソローキンが純文学に思える。物語で唯一まともなのがアリョーシャで父親と共に現れるが、カラマーゾフへのオマージュなのだろうか?ドストエフスキー再読しよう。

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ユーリー・マムレーエフ

1931‐2015。1931年、モスクワの精神科医の家庭に生まれる。55年に林業大学を卒業し、57‐74年にかけて夜間学校で数学を教える。学生時代から執筆を始め、エゾテリスムに彩られたその形而上的な作品は地下出版で仲間内に広まった。58年には自身のアパートで伝説的なサロン「ユジンスキー・サークル」を

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