ユーリー・コスチャショーフ

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創造された「故郷」 ケーニヒスベルクからカリーニングラードへ

ユーリー・コスチャショーフ

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784000237383
ISBN 10 : 4000237381
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

第2次世界大戦の結果、東プロイセンのドイツ人は追放され、ソ連各地から来た移住者が新しい都市を建設することになった。廃墟のなかに「外国の息吹」を感じ、街の歴史に関心を抱く人びと。しかし、1945年以前の歴史を問うことは許されない。過去を抹消しようとする権力と、「わが故郷」への愛着を育みはじめた人びとの相克。冷戦終結後、開放された街にドイツ人たちが到来し、新旧の住人たちが出会うことになる―。

目次 : 第1部 ケーニヒスベルクの時代(ピョートル大帝からロシア革命まで/ ロシア革命から第二次世界大戦まで)/ 第2部 カリーニングラード州の成立(第二種立入禁止地区/ 残留ドイツ人/ ソヴィエトの移住者たち―カリーニングラード州への大規模移住/ スターリンのカリーニングラード州建設計画)/ 第3部 スターリニズム末期のカリーニングラード(新たな都市 新たな生活―移住者たちの日常生活/ 戦後カリーニングラード州農村の日常生活/ ドイツ人のドイツへの強制移住/ 戦後、スターリン期における「プロイセン的精神の追放」のための闘い)/ 第4部 ポスト・スターリン期のカリーニングラード(ポスト・スターリン期の記憶政治/ ペレストロイカとその後―カリーニングラードの開放)/ 結語 遺産はいかに扱われたのか―結論に代えて

【著者紹介】
ユーリー・コスチャショーフ : 1955年生。イマヌエル・カント記念バルト連邦大学(ロシア)教授。専門、カリーニングラード史、南スラヴ諸民族史

橋本伸也 : 1959年生。関西学院大学文学部教授。専門、ロシア近現代史、バルト地域研究

立石洋子 : 1980年生。成蹊大学法学部助教。専門、ロシア・ソ連史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • まると

    「戦争で住民が総入れ替えになった地域の稀有な歴史」(帯より)。ずっと気になっていたロシアの飛び地のことがやっと理解できた。似た経緯をたどった南樺太には日本の建物が今も結構残るが、ここではドイツを想起させるものは徹底的に破壊されたらしい。それでも、居住地のことを知りたいという知的好奇心は、地域が新たな歴史を歩むうちに自然発生的に湧きおこるものなのだと教えてくれる。国家間の領土問題以前に、現住する人たちの故郷がそこにあるのだと強調する著者の平和的な姿勢に共感する。北方領土問題にもヒントを与えてくれる一冊だ。

  • Mc6ρ助

    ポーランド回廊の意味を初めて理解した。とはいえ、旧ソ連が占領地域の敗戦国民を祖国に送り返したのは、彼らの深慮遠謀、日本の「北方領土」もなかなか返還とはいかないようだ。向こうはカントのお墓が残っているだけましなのかも知れないと思わせるような、旧東プロイセンのソ連占領後の歴史を俯瞰する書物。日本で出版するためにロシア語で書き下ろしたというこの本が生まれたこと自体が奇蹟のような書物でもあるのだが、さらに、なにも知らない事柄にここまで興味を持って読みすすめるという稀有な体験をさせてもらった。

  • Fumitaka

    日本人の多くはソ連圏に、「革命的」な改造が強権的に行われた、という空想を持っている。かくいう私も同様で、ケーニヒスベルクの逸話は「伝統の破壊」そのものであった。この本は口承と行政の記録から、その具体的な経緯と実態を明らかにしている。ロシア人移住者と元の住民は当初は共存し、「非ドイツ化」には地元のロシア人からも反対の声があった。ここには人治主義への警鐘が読み取れる。いかなる国家や政策も、民意を完全に代表するとは限らない。必要なのは永遠の微調整であり、政治において「迅速さは必ずしも好ましくない」ものである。

  • 葛湯

    ドイツの土地ケーニヒスベルクがソ連の土地カリーニングラードになるまでの記録。 故郷を追われ、ドイツに強制移住させられたドイツ人。新たな生活を始め、故郷を手に入れたロシア人。その両方の立場が描かれている。 スターリン時代に徹底的に隠そうとしていたこの土地の過去は年々掘り出されていくのだが、それにはこの土地の歴史を知りたいと望むロシア人の強い思いが不可欠だったように思う。

  • かしこ

    第二次世界大戦後東プロイセンはソ連に移譲されたが、ソ連から移り住んだ住民たちのコルホーズのいいかげんさに驚いた。コルホーズ員は係の者が家に起こしに来るまで寝てるし、ご飯の時間は長くて3時間ぐらいしか働かないし、担当している作物は盗みまくるし、上手くいくわけのないシステムだ。

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