Piano Concerto.9, 27: Ashkenazy(P)/ Nhk So

NHK交響楽団音楽監督として日本を大きな拠点とするアシュケナージ。前作パドヴァ管弦楽団との第17＆20番（OVCL00170）に続く、弾き振りモーツァルト・シリーズ待望の第2弾は、手兵NHK交響楽団との共演で、モーツァルトの初期と後期の代表作、第9番『ジュノム』と第27番のカップリングです。
　いまや指揮者として多忙な毎日を送っているアシュケナージ、ピアノを演奏する機会は年々減りつつあるとはいえ、その手腕に衰えのつけ入る隙などまったくないことをこの1枚は教えてくれるばかりか、第9番での青年のような初々しさを感じさせる音色を聴けば、むしろ若返っているのではないかとさえ思えるほど。
　ですが、現在のアシュケナージの円熟ぶりを強く印象付けるのは、やはり第27番でしょう。とりわけ第2楽章、簡素をきわめたとも言える音型から密やかな祈りにも似たニュアンスを引き出すあたりは絶品で、こればかりは腕自慢の若手には容易に近づき難い至芸と言うべきでしょう。N響トップ・メンバーによるサポートも、特にこの部分ではニュアンス豊かにピアノを支え、録音の良さもあって素晴らしい聴き応えです。
　通常のCDプレーヤーでも再生可能なSACDハイブリッドでのリリースです。

モーツァルト：
・ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271『ジュノム』
・ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595

　ウラディーミル・アシュケナージ（p,指揮）
　NHK交響楽団

　録音：2004年10月26-27日、東京音楽大学J館スタジオ［デジタル］
　DSD Recording
　SACD HYBRID
　CD 2.0 ch. / SACD 2.0 ch. / SACD 5.0 ch.