Sym.1, String Symphony.8(Orch), 13: Fey / Heidelberg So

トマス・ファイ／メンデルスゾーン交響曲全集シリーズ第1弾

アーノンクールの薫陶を受けたドイツの指揮者、トーマス・ファイ[1960-　]によるメンデルスゾーンのシリーズがスタートします。このヘンスラー・レーベルの企画では、通常の5曲の交響曲のほか、若い頃の作品である弦楽のための交響曲も全曲含まれるのが注目されるところです。
　トーマス・ファイといえば、これまでにハイドンやベートーヴェン、モーツァルトなどのアルバムをリリースし、その過激な演奏によって一部古典派ファンを大喜びさせてきたことでも知られていますが、知名度の高さは残念ながらいまひとつでした。
　しかし、自ら創設したハイデルベルク交響楽団やシュリーアバッハ室内管弦楽団を率いた演奏はどれもたいへん見事なものであり、彼らのＣＤには、かつて当サイトでも古典派中毒の音楽学者で音楽評論家の安田和信氏が、それこそ強烈に賛辞を捧げていたものです。
　今回登場するメンデルスゾーンも期待通りの仕上がりで交響曲第1番では第1楽章から圧倒される激烈な響き、音を割った金管がじつに効果的です。変わってノン・ヴィブラートのフレッシュなアンダンテ。こうした見事なコントラストの音楽を聴いてしまうと、かのノリントンの手法でさえもなまぬるく聞こえてしまうほど。
　弦楽のための交響曲第8番のフィナーレでは、ハイデルベルク交響楽団の鍛え抜かれたアンサンブルが痛快な刺激をもたらしてくれます。

メンデルスゾーン：
・交響曲第1番ハ短調 Op.11
・弦楽のための交響曲第8番ニ長調（管弦楽版）
・弦楽のための交響曲第13番ハ短調（交響的断章）
　ハイデルベルク交響楽団
　トーマス・ファイ（指揮）
　録音時期：2005年9月28,29日、2006年7月4,5,7日、2002年1月30日
　録音場所：プファッフェングルント、ハイデルベルク・ゲゼルシャフトハウス