ジャン・マルティノンは、カラヤンやショルティなどと違って、ヴァイオリン畑の指揮者なので、演奏家としては、弦に特徴のある音作りをします。したがって、作曲家としての仕事も、ヴァイオリンが主体となる作品が多いようです。この弦楽四重奏曲も、ヴァイオリンをはじめとする弦楽器の魅力が様々に堪能出来る楽しい作品です。逝去して、既に３５年ですが、マルティノンの作曲家としての評価は、まだまだ定着していません。作風を後期印象派とする研究が主流のようですが、私は時折、Alexandre Scriabine に代表されるロシア象徴主義の神秘的なシナスタジアに導かれます。最近、マルティノンの作品を好んで演奏するヴァイオリニストが増えていますが、もし、彼らの演奏活動によって、未来の作曲家や鑑賞家たちにも歓ばれる音楽の偉大さが、ジャン・マルティノンの作品に見い出せるならば、フランス新象徴主義の音楽とでも名付けましょうか。いかがでしょう？

These are major additions to string quartet literature; the First Quartet is so immediately appealing that if a sufficient number of prominent string quartets were to take it up, it could easily become part of the standard 20th century repertoire. Performance and recording are perfection. Judging from this one release, the Quatuor Ravel deserves to make many more recordings.