ダーウィン『種の起源』を漫画で読む

マイケル・ケラー

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784900963894
ISBN 10 : 4900963895
フォーマット
出版社
発行年月
2020年06月
日本
追加情報
:
191p;21

内容詳細

誰もが知る名著『種の起源』。本書はオールカラーでそのマンガ化に挑んだ作品である。特筆すべきは、ダーウィンの原文を忠実に引用しながら、原典に登場するハトやキリン、鳥、ミツバチなどの生物にまるで「図鑑」を見るような繊細なタッチのイラストをつけていること。それによって難解で読みにくいと言われる『種の起源』がエッセイを読むような味わいに成功している。



それに加え、原典の出版の前後に何が起きたのかを、ダーウィンと当時の科学者たちとの書簡を引用しながら解説。さらに『種の起源』の刊行をきっかけにして、その後、進化生物学がどのように発展してきたかを年表とマンガ形式で簡単にわかるような工夫も凝らしている。今に続く進化生物学の起点に『種の起源』が立っているからこそ、この本は現在にいたるまで世界に大きな影響を与え続けているのだとわかる仕組みだ。



監修に当たった佐倉統さんの解説文はこのように締められている。



 本編第2部の終わりに、『種の起源』の最後の一節を書き終えたダーウィンが、大きく伸びをして屋外に出て自然を満喫する場面がある。この一節は、人類がものした文章のうちでも最も美しいもののひとつだとぼくは思うのだが、このコマにはその雰囲気がとても良く、しかし控えめに描かれている。すばらしい絵だと思う。

「この生命観は壮大なものである。(中略)重力の普遍の法則に従ってこの惑星が回転している間に単純なものから始まり、極めて美しく素晴らしい生物が際限なく生まれ、進化してきたが、今もなおそれは続いているのである」

 そう、それは、ダーウィンが『種の起源』を出版してから161年経った今でも、そしてこれからも続いていく。そしてみなさんひとりひとりも、このプロセスの中の一員なのである。

目次
第1部 進化論の誕生 

第2部 種の起源 
 
 第1章 飼育栽培種における変異 
 第2章 自然界での変異 
 第3章 生存競争 
 第4章 自然選択、あるいは適者生存 
 第5章 変異の法則 
 第6、7章 学説の問題と様々な異論  
 第8章 本能 
 第9章 雑種形成 
 第10章 地質学的記録の不完全さについて 
 第11章 生物の地理的分布について 
 第12、13章 地理的分布 
 第14章 生物相互の類縁性、形態、発生、痕跡器官 
 第15章 要約と結論 

第3部 おわりに 

解説『種の起源』とは何か/佐倉統

【著者紹介】
チャールズ・ダーウィン : 1809‐1882。イングランド西部のシュルーズベリー生まれ。エディンバラ大学で医学を学んだのち、ケンブリッジ大学に転学。卒業後、英国海軍の帆船ビーグル号に乗り込み、4年半にわたって世界各地をめぐり、ガラパゴス諸島での調査などに従事。帰国後は在野の自然史学者として研究を重ね、1859年に『種の起源』を出版

マイケル・ケラー : ジャーナリスト、ライター。フロリダ大学で野生生物生態学の理学士号を取得、コロンビア大学ジャーナリズム大学院で修士号を取得

ニコル・レージャー・フラー : イラストレーター。ルイス&クラーク大学で生化学の学士号を取得。カリフォルニア大学サンタクルーズ校で、サイエンス・イラストレーションの準修士号を取得

夏目大 : 1966年大阪府生まれ。同志社大学文学部卒業

佐倉統 : 1960年東京生まれ。東京大学大学院情報学環教授、理化学研究所革新知能統合研究センター・チームリーダー。もともとの専門は進化生態学・霊長類学だが、最近は科学技術と社会の関係についての言及も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 真香@ゆるゆるペース さん

    図書館本。本書は、イギリスの自然科学者のチャールズ・ダーウィンが発見した様々な生物の不思議を、「種の起源」の原文から引用した文章を交え、オールカラーで漫画化した作品になる。漫画だからサクッと読めるんじゃないかと高を括っていたけど、とんでもなかった。難解でした… イラストは動物は良いとして、ダーウィンはじめ人の描写のタッチがあまり好みじゃなかったのもあり、読むのに時間がかかってしまった。生物学に全く素養のない自分は深い部分までは理解できなかったけど、概要は何となく分かったから、それだけでも良しとする。

  • KEI さん

    19世紀中頃にダーウィンが発表した「種の起源」をカラーのイラストで分かりやすくしようと試みたもの。しかしどの年齢を対象として書かれたものなのか?解説ではイラストが素晴らしいと書かれていたが、この本を開いた途端、暗いイラストだと思った。しかしあの時代に膨大な資料を集めて、宗教家の反対にもあいながら説を唱えたのは素晴らしい事だと思う。「気候が変わればその土地の生物種の構成比はすぐに変化し、一部の生物は絶滅するだろう」これは今の現状にも当てはまり、予言の様な感じがした。その後の知見も加わり参考になった。

  • koji さん

    私の社会人生活で最も鼓舞された言葉は「生き残るのは、強いものでなく、変化しうるものだ。」です。唯元ネタのダーウィン「種の起源」は難解そうで読書を躊躇ってました。最近偶々、垣添先生の日経新聞「私の読書遍歴」を読み、先生が本書で漸く種の起源を理解し、「ひたすら生き物を観察し、その背後にあるものを探る姿勢には学ぶところが多い」と書かれていたことから本書を読みました。漫画と言い乍ら難しいですが、絵でイメージは触発され、ダーウィンが思考に思考を重ね人類史に残る大発見に至る道筋が味わえ勇気と知識を貰いました。良作です

  • ツキノ さん

    【美しい良書!】「ダーウィン」「進化論」を聞いたことがないという人の方が少ないだろうけれど、文章として読もうとは思わない。でもこの美しい絵で描かれているものなら読める。しかも興味を持って。原文からの引用も多数だけれど、翻訳がいいのか読みやすく、該当する動物、昆虫、植物などの詳細でとにかく美しい絵が理解を助けてくれる。ダーウィンという人物も浮かび上がって来るし、近年までの進化についての研究結果なども巻末に描かれている。1600円は安い!

  • PAO さん

    「重力の法則に従ってこの惑星が回転してる間に、単純なものから始まり、極めて美しく素晴らしい生物が際限なく生まれ、進化してきたが、今もなおそれは続いているのである」…最近も「唯一生き残るのは変化できるもの」という「進化論」の誤用が話題となりましたが、この本を読んでダーウィンは「弱肉強食」という強者の理屈には触れず、ただただ全ての生物への深い敬意を謙虚に述べていることがわかります。変異は偶然の産物であり、生物ではなく自然の選択の結果がこの世界であり、その大いなる営みはこれからも続いていくことを再認識しました。

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