音楽史譚からロマン派交響曲まで、ヴィオラ・ダ・ガンバから指揮まで、さらには難民のミュージシャンたちとの素晴らしい共演など、「多彩な」などという言葉ひとつでは表しきれない活動を展開しているジョルディ・サヴァール。このたびシューマンとブルックナーを初めて録音で世に出します。サヴァールの演奏ということで誰もが期待するように、不当に忘れ去られてきたレパートリーにまったく新しい光をあてています。
このプログラムが生まれたきかっけは、2024年のブルックナーフェストで、シューベルトとシューマンの未完の交響曲(それぞれ1822年と1832年に作曲)、そしてブルックナーの交響曲ニ短調を演奏するよう招かれたことでした。2021年末にはベートーヴェンの全集、そして2022年にはシューベルトの『グレート』と『未完成』、さらにメンデルスゾーンの『イタリア』や『真夏の夜の夢』、『ミサ・ソレムニス』を録音するなど、ロマン派作品へのリードアップは完璧な順序で行われておりました。
2024年9月3日から9日まで、第1回「YOCPA(Young Orchestra and Choir Professional Academy)」をカタルーニャ州で開催。9月10日のコンサートに続き、9月12日にはリンツ・ブルックナーフェストで「プレゼンテーション・コンサート」を行いました。そして、9月23日から29日までナミュール・コンサート・ホールで開催された第2回「YOCPA」アカデミーで、シューマンとブルックナーの交響曲を録音したのです。ル・コンセール・デ・ナシオンのメンバーのほか、「YOCPA」のメンバーも録音に参加しています。
サヴァールが譜面から細やかに読み取ったブルックナーのスピリチュアルな面や、シューマン独特の衝迫的な緊張感のあるリズムとうねるような旋律、そしてあふれるロマンを、オーケストラのメンバー全員が機敏に感じとって、大きなうねりとなって表出しています。
【収録情報】
● シューマン:交響曲ト短調 WoO.29『ツヴィッカウ交響曲』(1832-33)〜ツヴィッカウ版に基づく。ライプツィヒ版の加筆も一部採用(19:20)
I. Adagio - Allegro molto - Un poco Andante - Piu mosso (11:47)
II. Andantino quasi allegretto - Intermezzo quasi Scherzo. Allegro assai (7:34)
● ブルックナー:交響曲(第0番)ニ短調 WAB.100(1869年版)(1869年1月24日〜1869年6月23日)(43:38)
I. Allegro (15:13)
II. Andante (11:55)
III. Scherzo: Presto - Trio: Langsamer und ruhiger - Presto (6:19)
IV. Finale: Moderato - Allegro vivace - Andante - Allegro vivace (10:10)