アマチュアのジャズマンとしてスタートし、のちに映画プロデューサーの仕事をしていたのですが、資金繰りに困り、作曲家を雇うよりは自ら作曲を...ということで、フィルム・コンポーザーの道が始まったそうです。無名時代にTVやCMなど、膨大な音楽を作り続けました。その当時に制作された曲がどれも粒揃いで、再評価の熱は高まっています。

映画音楽においては、ロベール・アンリコ監督との出逢いをきっかけに頭角を現してゆきました。アンリコ監督作品の中でも彼の最高傑作と賞されているのが、1966年に制作した”冒険者”という作品です。イントロ部分のホイッスル・ソングは永遠に語り継がれる名曲で、恐らく耳にしたことがある方も多いでしょう。そのほかアンリコ監督とは、”オー！”（1968年）、”若草の萌えるころ”（1968年）、”ラムの大通り”（1970年）、”追想”（1975年・セザール賞受賞作品）の５作品を担当しており、そのどれに至っても、フェリーニ＝ニーノ・ロータ、トリュフォー＝ドルリューに劣らない素晴らしいコラボレイトをみせてくれました。

また、アンリコ監督同様にジョゼ・ジョヴァンニ監督とも”ラ・スクムーン”（1972年）、”ブーメランのように”（1976年）など素晴らしい作品を残しており、ド・ルーベと離れたあとのジョヴァンニ監督作品は、どれもド・ルーベとの作品を超えられなかったとも言われています。

フランス的なリリカルで風格のあるシャンソンから、多重録音を施した凝った作品、心に染みるような美しすぎるものまで、どんな作風のものであっても、映像とコラボレイトする音楽を作る...という、ド・ルーベは数少ない完璧な職人肌のうちの一人であり、映画音楽に初めてシンセサイザーを取り入れた第一人者でもある偉大なる人物なのです。アンリコ監督とも”追想”の後の作品が期待されていたものの、1975年、ド・ルーベは事故に遭遇（スペインでダイビング中に不慮の事故で水死してしまったそうです。）、惜しくもこの世を去ってしまったのです。偉大な人は長生きしないものだ...などと改めて感じてしまったりもします。

現在CDで発売されているサウンドトラックは”ラムの大通り”と”L'Homme Orchestres”の２作品のみ。後者の方は、ド・ルーベのファンから30年間もの間再発売が待たれていた、これまで最もレアだった作品で、素晴らしいシャンソンと、これぞド・ルーベ節と言うべき最高にクールで、最高にカワイイ！インスト曲に感涙できる内容です。そのほかには、”冒険者たち”や”ラ・スクムーン”、”シャピシャポ”など、今では入手しにくい当時のTV＆映画からの音源をコンパイルした”アンソロジー１”と、世界発音盤化となった”黒豹は死なず”やブルジット・バルドーの未発表デモ音源などを収録した”アンソロジー２”が発売されており、この２枚に至っては、おいしい部分だけを収録しているだけあって、ド・ルーベの才能に圧巻させられてしまいます。

簡単にプロフィールを紹介しましたがいかがでしたでしょうか？これを機に少しでも多くの方にフランソワ・ド・ルーベの素晴らしさを知っていただければ幸いです。”アンソロジー１””/　”アンソロジー２”は本当にお薦めです。

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