フェルディナント・フォン・シーラッハ

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刑罰 創元推理文庫

フェルディナント・フォン・シーラッハ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784488186067
ISBN 10 : 4488186068
フォーマット
出版社
発行年月
2022年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
236p;15

内容詳細

赤ん坊を死なせた夫の罪を肩代わりし、3年後に出所の日を迎えた母親。静寂の中で余生を暮らし、夏の終わりに小銃に弾を込めた湖畔の住人―唐突に訪れる犯罪の瞬間には、彼ら彼女らの人生が異様な迫力をもってあふれだす。刑事専門の弁護士であり、デビュー作『犯罪』で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた当代随一の短篇の名手が、罪と罰の在り方を鮮烈に問う12の物語。

【著者紹介】
フェルディナント・フォン・シーラッハ : 1964年ドイツ、ミュンヘン生まれ。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。1994年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍する。デビュー作である『犯罪』(2009)が本国でクライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞した

酒寄進一 : ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • yukaring さん

    罪と罰をテーマにした短編集。ごく普通の人々が罪を犯すに至った理由をリアルに描き出し、読み手の感情に揺さぶりをかけて楽しんでいるような心に突き刺さる尖った12の物語。夫の罪を被り刑務所に入った女性、被告人の人生に共感し公平な判断ができなくなった参審員、自分の静かな暮らしを守るために銃に弾を込める男など彼らの人生が異様な迫力と共に迫ってくる。発覚する罪から隠し通す罪まで様々だが、果たして人は本当に罪から逃げおおせられるのか?ある登場人物の『罪は犯していないが罰は受けるしかない』という台詞がとても印象的だった。

  • Shun さん

    弁護士でもある著者シーラッハの描く犯罪小説には、事件の謎を解く魅力的な探偵や驚きのトリック等は登場しない。喩えるなら謎解きの無いハードボイルドなミステリで文学作品のようでもある。そして本作はデビュー作「犯罪」から続く作風の短編集となっていて、作品はいずれも独立しており犯罪を起こしてしまった人物を中心として描くスタイルが基本となっている。人が人を殺すような魔が差す瞬間というのは常識や合理性から逸脱した精神の働きなのだろう。とても他人が推し量れないその胸中に少しだが近づける、そんな儚さが感じられる稀有な作品。

  • Ayah Book さん

    「犯罪」から続く法廷ミステリ?第三作。今作では、法が必ずしも正しく罪を裁くとは限らない、という例が多く示されます。「小男」は比較的コミカルな話だが、他はほとんど重くやるせない話だ。被告人は誰しも弁護をされる権利がある、それは正しいのだが「奉仕活動」のようなケースを扱うことになった弁護士は、「想像していたのと違う」と言うしかないだろう。そんな経験ばかりしていたら、「友人」のシーラッハさんらしい主人公が、疎外感や孤独を感じるのも当然だ。裁判の皮肉な側面や、悲哀を描き出した短編集と言えるだろう。

  • 山ろく さん

    犯罪行為があって、そこには加害者と被害者がいる。警察があって裁判があって刑の執行がある。基本の構図はただそれだけなのに、そこに感情や思惑や偶然も重なって人の手では収拾がつかなくなる、というわけで犯罪は有史以来の文学の題材だ。掌編12編の第3短編集。基本的に犯人中心に描かれた第1短編集「犯罪」の枠から踏み出し、被害者の絶望や新人弁護士のやるせなさ、裁判員の鬱屈などにも視線は注がれる。その分、刑事弁護士の「私」は脇役に退き、登場しないまま終わる話も。人間の本性がどうのとかいう以前に法制度の無情がやりきれない。

  • kibita さん

    楷書で行間内にきっちり書かれているイメージ。内面描写が抑えられているから逆に登場人物の苦悩などを想像させられる。罪を犯していなくても、罰を受けるという哀しき「友人」が印象的。読んでいきたい作家さん。

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フェルディナント・フォン・シーラッハ

1964年ドイツ、ミュンヘン生まれ。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。1994年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍する。デビュー作である『犯罪』(2009)が本国でクライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞した

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