基本情報
内容詳細
アンデンティティと差異をめぐる「承認」は富を還元する「再配分」との関係において論争が絶えない。「規範的な一元論」によって承認は決定的な道徳論となるのか。「パースペクティヴ的二元論」によって再配分は承認に包摂されず相互に還元不可能な次元として理解されるべきなのか。資本主義に対する批判理論において道徳哲学・社会理論・政治分析の統合を目指した画期的な論争。
目次 : 第1章 アイデンティティ・ポリティクスの時代の社会正義―再配分・承認・参加(再配分か承認か―切り詰められた正義の批判/ 再配分と承認の統合―道徳哲学の問題/ 社会理論の問題―資本主義社会における階級と社会的地位/ 政治的理論の課題―民主的正義を制度化する/ 危機的状況についての結論敵省察―ポストフォード主義・ポスト共産主義・グローバリゼーション)/ 第2章 承認としての再配分―ナンシー・フレイザーに対する反論(社会的不正の経験の現象学について/ 資本主義的な承認の秩序と配分をめぐる闘争/ 承認と社会正義)/ 第3章 承認できぬほどゆがめられた承認―アクセル・ホネットへの応答(批判理論における経験の位置について―政治社会学を道徳心理学に還元することに対する反論/ 社会理論における文化論的転回について―資本主義社会を承認秩序に還元することに対する反論/ リベラルな平等について―正義を健全なアイディンティティの倫理に還元することに対する反論)/ 第4章 承認ということの核心―返答に対する再返答(批判的社会理論と内在的超越/ 資本主義と文化―社会統合・システム統合・パースペクティヴ的二元論/ 歴史と規範性―義務論の限界について)
【著者紹介】
ナンシー・フレイザー : 1947年アメリカのボルティモアで生まれる。1980年にニューヨーク市立大学大学院で哲学の博士号を取得。現在はニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学科で政治学および社会科学講座の教授を務める。フェミニズの理論家としても著名で、アメリカ批判理論の代表者の一人である
アクセル・ホネット : 1949年ドイツのエッセンで生まれる。1983年にベルリン自由大学で哲学の博士号を取得。現在はフランクフルト大学社会哲学講座正教授、フランクフルト大学社会研究所所長、コロンビア大学哲学科教授を務める。フランクフルト学派第三世代の代表的存在
加藤泰史 : 1956年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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