トーマス・ベルンハルト

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原因 一つの示唆

トーマス・ベルンハルト

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784879843609
ISBN 10 : 4879843601
フォーマット
出版社
発行年月
2017年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
155p;19

内容詳細

ベルンハルトによる自伝的五部作の出発点―ザルツブルクでの学校時代は、作家自身にとってどのようなものだったのか。日々暮らした寄宿舎を統べていたナチズム、そしてカトリシズムの抑圧的機構を弾劾し、故郷ザルツブルクへの悪罵を書き連ねながら、「人生のもっとも凄まじい時代」の回想のなかに、自らを形成した「原因」を探っていく問題作。

【著者紹介】
トーマス・ベルンハルト : 1931‐1989。20世紀オーストリアを代表する作家のひとり。少年時代に、無名の作家であった祖父から決定的感化を受ける。音楽と演劇学を修めつつ創作をはじめ、1963年に発表した『凍え』によってオーストリア国家賞を受賞。一躍文名を高める一方で、オーストリアへの挑発的言辞ゆえに衆目を集めた。以後、小説・劇作を数多く発表。1988年に初演された劇作『英雄広場(ヘルデンプラッツ)』でオーストリアのナチス性を弾劾するなど、その攻撃的姿勢は晩年までゆるがなかった。1089年、58歳で病死

今井敦 : 1965年生まれ。中央大学文学部卒業、中央大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。1996年から2000年にかけてオーストリアのインスブルック大学に留学、同大学にて哲学博士(Dr.Phil.)取得。龍谷大学教授。専攻は現代ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ケイ さん

    こんなに美しい少年の写真を表紙に持つ作品の内容は、酷く鬱屈している。オーストリアのザルツブルクは、群を抜いて自殺率が高いらしい。特にギナジウムに通う少年たちはよく自殺をした。作者は飛び降りた若者の死体まで街で何度か目にしている。彼らのお葬式は簡素で、お墓もひどかったカトリックにおいて自殺は厳禁だからだ。ナチスの台頭がもたらす雰囲気もその一因であったようだ。作者も何度も試みたらしい。助かったのは、15歳で学校をやめて、職業訓練所に向かったからだ。自伝的五作品の第一番目。『寮生が自殺すると、寮長はその度に

  • NAO さん

    【月イチテーマ⠀学校・会社・組織】ザルツブルクでの学校生活を描いた、ヘッセの『車輪の下』を思い出させる自伝的小説。作者は自分という人間形成の原因が、祖父による教育とザルツブルクでの学校生活だと考えている。祖父はギムナジウムに入れなかったためにドイツの教育制度を徹底的に嫌い、それを孫に言い続けたのに、ある日突然前言を百八十度翻して孫をギムナジウムに行かせる。だが、祖父からギムナジウムの悪口、教育制度への批判を聞かされて育った少年が、学校生活に馴染めるわけがない。祖父は、そんなことも考えなかったのだろうか。

  • 渡邊利道 さん

    自伝五部作の一。作者が十三歳から十六歳になるまでのザルツブルグでの寄宿舎時代のメモワール。徹底して人間を破壊し、時には自殺に追い詰める中等教育への呪詛に満ちた極めて濃密で美しい文章。空襲が激化し、大規模な破壊と死で全てがむき出しになった街の爽やかな美しさはただ事ではなく、戦前のナチスが戦後カトリックに入れ替わっただけの学校生活の陰惨さはひたすら抑圧的。

  • hasegawa noboru さん

    カトリック的でナチス的なものに支配された共同体社会を敵として糾弾する作者の筆は苛烈を極める。〈教育牢獄に教育囚人として捕らえられていた〉とザルツブルグでの十代のギムナジウム生活を回顧する〈私〉を描く作者は、描く年齢に達しただけの成熟した大人として何もそこまでという風になるのか。それはない。今もどこにでも、マジョリティのいじめによって死に追い込まれていく人間は後を絶たない。彼らは言葉を持つか。ベルンハルトはそっちの側に立つ。まれなことだ。〈共同体社会はいつも、もっとも弱い者を見つけ出しは〉〈軽蔑と嘲笑の拷問

  • いつき さん

    『ある子供』が面白く続き(本来はこの作品が第一作目)を手に取ったが、延々と続くザルツブルクと中等教育への怒りに飲み込まれて私自身も何だか学校での共同体を糾弾せねばならないという激しい欲求に駆られそうになってしまった。実際、トーマス・ベルンハルトほどの感受性と頭脳は持っていないが、共感する箇所が多くあった。個人的にはスポーツに関する部分と共同体の生贄に関する部分が特に共感できた。このまま残る二作品も読んで、"Die Kälte" が出版されるのを楽しみに待ちたい。

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