復活 上 岩波文庫

トルストイ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784003570050
ISBN 10 : 4003570057
フォーマット
出版社
発行年月
2014年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
475p;15

内容詳細

愛の理念のもと、人間の復活とは何かを問う後期の大作。老トルストイは世の中にはびこる虚偽と悪に鋭く厳しい眼差しを向ける。殺人事件の陪審員として法廷に出たネフリュードフは、容疑者の娼婦が、かつて自分が誘惑して捨て去った叔母の家の小間使いカチューシャであることに気づき、良心の呵責にさいなまれる。

(「BOOK」データベースより)

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トルストイの『復活』には『戦争と平和』の...

投稿日:2019/12/14 (土)

トルストイの『復活』には『戦争と平和』のように、トルストイが物語の進行から離れて自分の思想を長々と繰り広げる部分が少なく、それでいて、物語に沿って様々な問題を投げ掛け、読者を納得させる回答を示してくれる。 特に犯罪とは何かについての考察は現代においても説得力のある意見だ。 この作品で語られている宗教の問題、農奴問題、革命思想に関してのトルストイの発言は当時のロシアに大きなショックを与えたのではと思われる。 特に宗教に関しての部分はとても過激なものに感じらた。(実際この作品が発表された数年後、ロシア正教から破門されることになる。) しかし、一番心に残ったのは果たして人を裁く事が出来るのかという裁判が持つ根本の問題、冤罪、刑務所は人を更正することが出来るのかという所だ。 裁判員裁判が行われている現代の日本で、この作品が持つ価値はとても高いと思う。

ユローヂィヴィ さん | 大阪府 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 藤月はな(灯れ松明の火) さん

    『幻の女』にも匹敵する序文の素晴らしさに陶然。自分が始めて愛し、だが、時間とともに堕落したがために弄んで捨てた女が、身を持ち崩してしまい、挙句は殺人容疑を掛けられたことに苦悩するネフリュードフ。己の罪深さを知った彼は全てを投げ捨て、彼女への贖罪に捧げようとする。でも最初に面会に行った時、カチューシャが罵倒したようにあの時の彼はまだ、「不幸な女を助けようとする自分」に酔っている節があるのは確かなのだ。そして問題は解決してないのに「土地は君達のものだ」と伝えた時のネフリュードフへの農民の不信にも共感してしまう

  • シュラフ さん

    上下巻の作品であり、感想は下巻にて書きたい。本論からはずれるのであるが、主人公で地主のネフリュードフが自由精神により土地所有を放棄するため領地の農民と交渉するくだりが興味深い。貧しい農民らのためを思って格別に有利な条件で農民と交渉するのだが、あにはからんや農民らの表情は暗い。はなから地主に騙されると疑ってかかっているのだ。後のロシア革命に至る背景がぼんやりと見えてくると同時に、農民らの思考停止の愚かさを思う。いや農民らを笑ってはいけない。甘言に騙されたり、はなから否定したり、我々にもあてはまることだろう。

  • いちろく さん

    課題本、第1編まで。陪審員として参加した裁判に容疑者として現れたのが、かって自分が捨てた女性だった。という中々無い様な唖然とする展開から動く物語。現代と過去が描かれる中で、ダメ男っぷりが目立つ主人公のネフリュードフと、自業自得の面もあるとは言え持ち前の美貌も悪い方向に働いているヒロイン兼もう一人の主人公であるカチューシャ。現時点では、タイトル「復活」の意味は解らないが、続きが気になる。余談ですが、ロシアの古典文学と身構えていたけれど、訳者の妙もあるのか岩波版の本書は凄く読みやすい。

  • たかしくん。 さん

    トルストイ最後の長編小説。前の2作より随分と内省的な話ですが、まずは、その広がりのある風景のような写実主義はしっかりと残ってます。話は、公爵のお坊っちゃまらしい優柔不断というか「みぞみぞした」雰囲気をもつネフリュードフと、恵まれた生活からずるずると転落し心も屈折してしまった女囚マースロアを軸に、特に第一編は当時の司法制度・官僚組織の、無機能や腐敗ぶりを痛烈に描いています。巻頭の「神聖であり大切なのは、たがいに他人を支配するために人間たちは勝手に考えたこと」、きっとこれがこの作品の通奏低音なのでしよう。

  • くみ さん

    春分の日に合わせて読もうと思ってた「復活」冒頭は春の始まり土の香りのする情景描写と対象的な女囚カチェリーナの出廷シーンから。主人公ネフリュードフはかつて関係のあったカチェリーナと法廷で再開する。彼は陪審員として、女性は容疑者として。現在と過去がゆるやかに行ったりきたりする。他の周りの人々と同じように享楽に耽るネフリュードフを「自分を信じずに人を信じた結果」(p102)と作者は表現する。変化を起こそうとする気持ちに従うのかやめるのか。トルストイなら突き進むんだろうな。

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トルストイ

1828〜1910。ロシアの小説家・思想家。19世紀を代表する文学者のひとり。クリミア戦争に従軍した経験から平和主義を貫き、人間の良心や愛を原点に道徳的人道主義を説く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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