喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

トム バージェス

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087816136
ISBN 10 : 4087816133
フォーマット
出版社
発行年月
2016年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
383p;20

内容詳細

『フィナンシャル・タイムズ』紙の特派員として、2006年からアフリカに滞在し取材を行ってきた著者が直面したのは、
石油、鉱物などの資源に恵まれるアフリカの国々が貧困と内戦に苦しむ過酷な現実だった。
現地の住民、有力者、政治家へのインタビューを続けた著者は、かつて植民地時代に欧米諸国が築いた略奪のしくみが、
グローバル企業によって現代版にアップデートされ、さらに中国が参戦したことによって熾烈な争奪戦が繰り広げられている実態をつきとめる。
謎にみちた中国人実業家、通称“徐京華”と彼が率いる“クイーンズウェイ・グループ”にも迫る。

【目次】

序章 富の呪い

第1章 フトゥンゴ
石油の輸出量ではナイジェリアとアフリカ1位を争うアンゴラ。石油の利権システムを牛耳るのは、“フトゥンゴ”と呼ばれる大統領の取り巻きと家族だが、最近はある中国企業とタッグを組んでいる。

第2章 貧困の温床
ナイジェリアでは石油が乱暴に略奪されたため、発電所の整備に資金が回らず、電気代が高騰。主要産業であった繊維産業が衰退し、市場は中国産の模造繊維製品が席捲した。

第3章 “関係(グワンシー)”
個人的なつながり、という意味の“関係”がビジネスでも大切にされる中国。その独自のスタイルを持って、アフリカの経済界に入り込んでいった中国人実業家の存在を明らかにする。

第4章  ゾウが喧嘩をすると草地が荒れる
ギニアで大量の鉱物資源を有すると見られた山脈の採掘権をめぐり、イギリスとオーストラリアを拠点とする資源・鉱業グループ「リオ・ティント」とイスラエルの富豪ベニー・スタインメッツ率いるBSGの鉱業部門が熾烈な争い繰り広げる。

第5章  北京への懸け橋
独裁を続けるニジェールのタンジャ大統領(当時)は、旧植民地時代から続くフランスのアフリカ支配システムに不満を持っていたが、フランスと縁を切るには、代わりとなるパートナーが必要だった。そこに現れたのが中国だった。

第6章  融資とシアン化物
2009年、ガーナのアハフォ鉱山で、アメリカ最大の金採掘企業ニューモントが採掘を行っていたところ、作業で用いたシアン化ナトリウムが漏れるという事故が起きた。
この採掘事業には、世界銀行の一部門である国際金融公社も出資をしていた。

第7章  信仰は関係ない
ナイジェリアのニジェール・デルタは世界有数の産油地帯だが、富を独占しようとする政権に対し、不満を持つ武装勢力が誕生し、石油を盗んで密売したりゲリラ戦をしかけていた。
また、ナイジェリア北部のジョスでは、元々住んでいたキリスト教住民と移民であるイスラム系住民のあいだに経済格差が生まれ、やがて民族紛争が始まった。

第8章  新たな富裕層
30年近く、ジンバブエ大統領の座に居続けるロバート・ムガベだったが、2008年の選挙で、支持基盤に揺らぎが見えると、資金面の強化のために、国内のダイヤモンド産地マランゲを軍事制圧する。
2013年、マランゲで操業していたのは中国の“クイーンズウェイ・グループ”だった。

エピローグ 共犯

【著者紹介】

『フィナンシャル・タイムズ』の調査報道特派員。2006年より南アフリカのヨハネスブルグとナイジェリアのラゴスを拠点に特派員として取材活動を続けてきた。
2013年、王立文学協会のジャーウッド賞ノンフィクション部門も受賞し、本書の取材のための資金を得る。
2016年、本書で第77回アメリカ海外記者クラブ賞の国際報道ノンフィクション図書部門最優秀賞を受賞。現在はロンドン在住。

【著者紹介】
トム バージェス : 『フィナンシャル・タイムズ』の調査報道特派員。2006年より南アフリカのヨハネスブルグとナイジェリアのラゴスを拠点に特派員として取材活動を続けてきた。2013年、鉱物資源国、アンゴラとギニアの汚職の実態を暴いた報道でフィナンシャル・タイムズ・ジョーンズ・モースナー記念賞を受賞。同年、王立文学協会のジャーウッド賞ノンフィクション部門も受賞し、『喰い尽くされるアフリカ―欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』の取材のための資金を得る

山田美明 : 翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

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読書メーターレビュー

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  • starbro さん

    中国や日本のアフリカ進出のニュースが多く流れる昨今本書に興味を持って読みました。アフリカ諸国は、第二次大戦以前植民地として略奪され、大戦後は資源の略奪と大量殺戮兵器を売りつけられています。独裁者、権力者は私腹を肥やすが、国民は飢餓に陥り、難民が溢れています。正に現代のホロコーストです。略奪システムの主体が欧米から中国に変わって少しはマシになっているんでしょうが、問題の解決にはなっていません。国連やIMFも機能していません。本書の内容が現実に近いんだと思いますが、氣分が悪くなるのと同時に無力感に苛まれました

  • AICHAN さん

    図書館本。綿密な取材と平明でわかりやすい文章で、問題点を見事にえぐる。ただ、あまりに分厚い本なので半分で挫折。以降は各章のサマリーを読み本文は斜め読みして読了。アフリカは天然資源王国だが中東のサウジアラビアなどと違って民衆は貧しい。植民地時代に入り込んでいた欧米の石油・鉱業会社が、独立後も居座り、権力者と結びついて権力者たちだけが利益を貪っているからだ。そのシステムを今は中国までが使い、また中国は新手を使ってアフリカの天然資源を略奪している。今や世界は中国を中心に回ろうとしていると痛切に感じた。

  • さきん さん

    なぜ、アフリカのほとんどの地域はいつまでも貧困と紛争から逃れられないのか?西欧による植民地政策の名残として、西欧の資本、企業がアフリカの市場を支配し、そこに政治に興味のない中国がからんできてくる。アフリカの支配層は、庶民であった時には、理念がないわけではないが、一旦豊かになってしまうと貧しいころの心がけを失う。多くの人々は理に聡く、これが逆に長期的な利益を逸する状況となっている。中国や西欧の企業や政府系組織がおこなっている人倫に悖るやり口の数々に閉口をせざるを得ない。

  • BLACK無糖好き さん

    フィナンシャル・タイムズ特派員の著者が、ナイジェリアの村で起きた殺戮現場に直面し、重度のうつ病を発症しながらもPTSDの治療を経て、アフリカの豊富な資源を巡る富の略奪システムの実態解明に挑んだ渾身の作品。国の権力者とそこに群がる人々、欧米の石油メジャー、多国籍企業、中国国有企業、腐敗とタックスヘイブン。資源に恵まれているのに国民が貧困から抜け出せない構図が見えてくる。本書には出てこないが、アフリカの紛争を煽り大量の武器を売りつけて大儲けしている欧米の武器製造会社の存在も見逃してはならないのだろう。

  • はまななゆみ さん

    アフリカは資源が豊かであるがゆえに汚職と略奪がはびこり、貧困からぬけだせない。日本はいろいろと課題がありつつも、資源が乏しいことが幸いだったかもしれないなと感じました。

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『フィナンシャル・タイムズ』の調査報道特派員。2006年より南アフリカのヨハネスブルグとナイジェリアのラゴスを拠点に特派員として取材活動を続けてきた。2013年、鉱物資源国、アンゴラとギニアの汚職の実態を暴いた報道でフィナンシャル・タイムズ・ジョーンズ・モースナー記念賞を受賞。同年、王立文学協会のジ

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