スタニスワフ イグナツィ ヴィトキェーヴィチ

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ヴィトカツィの戯曲四篇 ポーランド文学古典叢書

スタニスワフ イグナツィ ヴィトキェーヴィチ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784896427066
ISBN 10 : 4896427068
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2015
Japan

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Book Meter Reviews

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  • 三柴ゆよし

    ゴンブローヴィッチ、ブルーノ・シュルツと並ぶ、ポーランド文学前衛三銃士のひとりなのだとか。絶望の狂人だか溺れる狂人だか知らないが、かなり真ッ当な不条理劇というべきである。生と死、正常と狂気、真実と虚構の意図的な錯乱が試みられた四篇は、ある箇所では、ほとんど全盛期の筒井康隆にも似たスラップスティックが繰り広げられている。いまとなってはあざといが、読むべきものはある。個人的には、登場人物全員がラリラリする様子が楽しい「母」と、故人の不倫疑惑に当人の幽霊が参加してすったもんだする「小さいお屋敷で」がお気に入り。

  • きゅー

    収録されている4篇とも不条理劇。「小さなお屋敷で」には女性の幽霊が登場するが、彼女は家族と普通に会話をし、散歩までする。彼の作品には、死んだ人間が実は生きていた、死んだ人間が普通に生活しているというモチーフが何度も使われている。しかし「死」そのものに対して焦点が当てられているようには見えない。むしろ「死」は、反復可能などうでもいいことのように描かれている。普通の作品ではどこかに支点があって、それを頼りに読み進めていけるが、ここには支点や中心点がない。不安定なまま放り出されるような印象を抱いた。

  • 法水

    サイマル演劇団+コニエレニによる『狂人と尼僧』で知ったスタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェーヴィチ、通称ヴィトカツィの戯曲集。「狂人と尼僧」の他、「小さなお屋敷で」「水鶏(くいな)」「母」の4本を収録。いずれも1920年代初頭に書かれたものだけど、なかなかの不条理劇。中では唯一著者の生前に上演されなかった「母」は、登場人物がコカインをキメまくっていてかなりぶっ飛んでいた。是非これも上演して欲しいなぁ(日本では岸田今日子さん主演で演劇集団円が上演している)。

  • 刳森伸一

    写真家や哲学者などの顔も持つポーランドの多才ヴィトカツィ(スタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェーヴィチ)の戯曲を4篇所収。幽霊が登場して遺族と当たり前のように会話したり、一度死んだ人間が当たり前のように生きて再登場したりと、錯乱と不条理に満ちた戯曲が並んでいる。世界は人を苦しめるシステムであり、世界に順応するためには、自らを苦しめなければならないというような倒錯や、グロテスクな人間関係がエグくていい。

  • 保山ひャン

    タデウシュ・カントル経由で読みたいと思ってたヴィトカツィの戯曲。日本でも上演されているが、どれも未見。「小さなお屋敷で」は死んだはずの母が幽霊として普通に家族の前にあらわれる。怖がっているのは母の愛人だった男ひとりだけ。「水鶏」も殺したはずの女が何事もなかったかのように出てくる。死というものに対するハードルが低すぎるのだ。「狂人と尼僧」では狂気と正気がごっちゃになり、聖のハードルも低い。「母」では親子でコカインやったりして、悪に対するハードルも低い。笑って読んでいたのに、どんどん不気味になってきた。

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