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Der Rosenkavalier: Reiner / Met Opera, Steber, Stevens, Berger, Di Stefano

Strauss, Richard (1864-1949)

Item Details

Genre
:
Catalogue Number
:
8110277
Number of Discs
:
1
Label
:
:
International
Format
:
CD-R

Product Description

はんぶる・ドットこらむ 山崎浩太郎
第36回 今月のナクソス・ヒストリカル
「オペラは初日に」

 今月は、ライナー指揮の《ばらの騎士》をとりあげる。1949年のライヴ録音だ。

 ライナーとメトロポリタン歌劇場のライヴ録音というと、ナクソスではすでに50年の《さまよえるオランダ人》が発売されている。ちょうど1年程前の発売で、この「はんぶる・ドットこらむ」でも取りあげた。指揮の推進力に、主役のホッターとヴァルナイ、スヴァンホルムなどの名唱があいまって、音質はともかく演奏自体は理想的な《オランダ人》といっていいものだった。

 この《ばらの騎士》は《オランダ人》の約1年前の演奏で、49/50年シーズンの開幕公演である。ライナーは49年2月、つまり48/49年シーズンの終わりにメトロポリタン歌劇場に《サロメ》(ヴェリッチュ主役)で衝撃的なデビューを飾り、ヴェリッチュとともに大喝采を浴びた(この公演も他社からCD化している)。そのすぐ次のシーズンの開幕公演を任されたわけだから、歌劇場内外での評判がいかに高かったかが想像できるだろう。

 ところで、メトロポリタン歌劇場のシーズン開幕公演というのは、歌劇場に行ける人以外、実は印象に残らないものである。なぜかというと、ラジオ中継がないからだ。この《ばらの騎士》は11月21日、その後の開幕日はもっと早くなっているが、メトロポリタン歌劇場のラジオ中継は12月第1週の土曜日からと決まっていて、その前の開幕公演は中継されないのである。

 ウィーン国立歌劇場のように、ザルツブルク音楽祭で疲れたままウィーンに帰ってきて、なんとなく9月1日からシーズンを始める(演目も出演者も通常のレパートリー公演)という歌劇場もあるが、スカラ座などは12月7日の開幕日を格別の扱いとして、演目、出演者すべてに力を入れている。

 メトロポリタンも20世紀初頭には開幕日にかならずカルーソーが出演するなど、開幕公演に力を入れている。しかし中継がないと印象が薄れてしまうのは、20世紀後半の大衆社会では避けられない現象だろう。

 ところが、この《ばらの騎士》はシーズン開幕公演の録音なのである。なぜかといえば、ラジオ中継ではなくABCテレビによるテレビ放送の音声部分だからなのだ。草創期のテレビは、メトの開幕公演の実況をやっていたのである。

 残念ながら映像の方はほとんど残っていないらしいが、録音の方は問題ない。古いが、聴きやすい音質である。そして演奏は、ライナーの指揮がすばらしい。この人はかなりムラがあったようで、同じメトのライヴでも《カルメン》などはただ鳴らしているだけのようなつまらない演奏だったが、この《ばらの騎士》では、引き締まってはいるけれど肉やせしない、逞しさとうねりのある進行がいい。

 実はラジオ中継の方も録音が残っていて、12月3日の中継開始日の演奏がDANTEなどで発売されている。ききくらべてみたが、今回のナクソス盤の方が演奏がいい。音楽のうねりが豊かなのだ。ラジオ盤はもっと単純な、直線的な動き(悪い意味で、ライナーらしい)になっている。

 オペラの批評は初日の公演でという不文律がある。が、客の方は完成度に不安があるから、後の公演を見た方がいいと言われる。しかしこの《ばらの騎士》に限っては、初日がよかったらしい。




マーストンによる制作後記

1940年代の後半には、商業テレビ放送は実用の域に達し、ほとんど無限の可能性を持つ新メディアだと思われていました。1948年11月29日には、METの最初のテレビ中継が実施されました。1948-49年のシーズン開幕公演である「オテロ」です。この公演は、テレビ視聴者のみに放送され、ラジオ放送はありませんでした。
 翌年、METの開幕公演であるR.シュトラウスの「ばらの騎士」も同様にテレビ放送されました。今回のCDはその夜の公演収録の音声部分を基にしています。1949年12月3日、土曜日午後に公演が行われた同じオペラのラジオ放送のものとは混同しないで下さい。
 今回の録音は、オリジナルとしては78回転のラッカー・コーティングされたアルミ盤に、二台のターンテーブルを使って音楽が途切れないように収録されたものです。この録音の唯一の欠点は、各盤面の開始時と終了時に厄介なピッチのばらつきがあることです。スコアに合わせ、ピッチを正確に保つために回転速度の調整を行う必要がありました。
 ディスク固有のパチパチノイズはある程度除去しましたが、ノイズ・リダクション技術の過剰使用は、オリジナルのソースの本来の姿を損ねることになるので施していません。
 また、このテレビ放送中、第三幕の冒頭で、アナウンサーのミルトン・クロスが誤ってしゃべってしまいました。このミスは、数分後の同じ音楽を合成することで訂正しておきました。
 今回のCDには、存在が知られているこのテレビ番組の全編が収められています。残念ことに、最初の幕間の様子とミルトン・クロスによる結びのアナウンスという短い断片のみが(テレビ映像として)視聴可能です。

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

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