劇音楽『スカラムーシュ』全曲　セーゲルスタム＆トゥルク・フィル

シベリウス：『スカラムーシュ』
セーゲルスタム＆トゥルク・フィル

1912年に作曲が始められ、その翌年12月に完成されるも、実際に上演されたのは９年後の1922年という、いわばシベリウスの不遇の作品ともいえる劇音楽『スカラムーシュ』です。クヌーセンの台本は、対話を含むパントマイム形式のもので、レイロンという男の妻をせむしのヴィオラ弾きスカラムーシュが誘惑、怒ったレイロンに殺されてしまうという悲劇ですが、当時のウィーンの劇作家アーサー・シュニッツラーが書いた「ピエロのヴェール」（エルンストフォン・ドホナーニが音楽をつけた）の模倣とされてしまったのです。もちろんクヌーセンは、シュニッツラーよりも前にこの物語を計画していたと主張しましたが、シベリウス自身は「この仕事を引き受けたために神経がぼろぼろになった」と日記に記すほど消耗していたようです。
　しかし、この音楽は見事なもので、弦楽器中心のオーケストラをバックに独奏ヴィオラが活躍、そこにチェロが絡みながら、明快な情景を描き出していくのです。しきりに現れる舞曲が印象的で、時にはスペイン風のボレロのリズムを刻んでみたり、幻想的なゆったりとした音楽になったりと、変幻自在です。そして、その響きは常にシベリウスのもの。まるでオペラのように物語と音楽が融合した壮大な作品となっています。（NAXOS）

【収録情報】
● シベリウス：劇音楽『スカラムーシュ』 Op.71 (1913)

第1幕
　第1場：Lento assai
　第2場：Lento assai
　第3場：Lento assai- Andante con moto
　第4場：Tempo di bolero
　第5場：Lento -Tempo di bolero - Lento assai
　第6場：Tempo di valse
　第7場：Poco moderato
　第8場：Poco moderato
　第9場：Tempo di valse
　第10場：Adagio - Allegro - Adagio

第2幕
　第1場：Meno tranquillo
　第2場：Allegretto
　第3場：Andantino
　第4場：Allegretto
　第5場：Allegretto‐Andantino
　第6場：Tranquillo assai
　第7場：Andantino - Meno tranquillo - Lento - Moderato - Allegro moderato
　第8場：Allegretto - Allegro
　第9場：Allegro
　第10場：Andante -Lento assai - Andantino
　第11場：Grave assai

　ベンディク・ゴルドステイン（ヴィオラ）
　ロイ・リュオッティネン（チェロ）
　トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
　レイフ・セーゲルスタム（指揮）

　録音時期：2014年9月8-12日
　録音場所：フィンランド、トゥルク・コンサート・ホール
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）