遠い山なみの光 ハヤカワepi文庫

カズオ・イシグロ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784151200106
ISBN 10 : 415120010X
フォーマット
出版社
発行年月
2001年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,275p

商品説明

幻想と叙情に満ちた、現代文学の旗手のデビュー作。王立文学協会賞受賞!

イギリスに暮らす悦子は、娘を自殺で失った。喪失感に苛まれる中、戦後混乱期の長崎で微かな希望を胸に懸命に生きぬいた若き日々を振り返る。新たな人生を求め、犠牲にしたものに想いを馳せる。『女たちの遠い夏』改題。解説/池澤夏樹

内容詳細

故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。戦後まもない長崎で、悦子はある母娘に出会った。あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あの頃は誰もが傷つき、何とか立ち上がろうと懸命だったのだ。淡く微かな光を求めて生きる人々の姿を端正に描くデビュー作。王立文学協会賞受賞作。

【著者紹介】
カズオ・イシグロ : 1954年11月8日長崎生まれ。1960年、5歳のとき、家族と共に渡英。以降、日本とイギリスの2つの文化を背景にして育つ。ケント大学で英文学を、イースト・アングリア大学大学院で創作を学ぶ。本書『遠い山なみの光』で長篇デビューし、1982年の王立文学協会賞を受賞した。長篇第二作『浮世の画家』でウィットブレッド賞を、1989年には『日の名残り』でブッカー賞を受賞した。1995年の第四作『充たされざる者』につづき、五年ぶりに発表した『わたしたちが孤児だったころ』は、英米でひじょうに高く評価され、発売以来たちまちベストセラーとなった

小野寺健 : 東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、横浜市立大学名誉教授、日本大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    カズオ・イシグロの最初の長編小説。主人公、悦子の回想のスタイルで語られる。ただし、その構造はやや複雑で、イギリスに暮らす現在と、長崎にいた過去とが、その中間部を欠いたままで語られている。この点にこそ、この作品の一番の特質があるのだが、その一方で読者の側には幾分かのフラストレーションが残されることになる。佐知子と万里子のその後も、景子に関わる経緯も不明なままなのだ。

  • のっち♬ さん

    敗戦という価値のパラダイムの変化で訪れる過渡期の混乱の中、その犠牲者や微かな希望を棄てない人々の生き方を綴っている。精妙な会話を中心に据えながら、登場人物の心の動きを巧みに表出させ、立場の異なる悦子と佐知子がすれ違う様を見事に描いている。悦子と佐知子、万里子と景子の人生の微妙な重なりも話に奥行きをもたらし、暗い回想の底に流れる悦子の自責の念が独特の色彩を添える。記憶は「思い出すときの事情しだいで、ひどく彩りが変わってしまう」—誰しもが自己の内に物語を創造して心のバランスをとっている。著者らしい薄明な質感。

  • HIRO1970 さん

    ⭐️⭐️⭐️⭐️図書館本。カズオイシグロさんは7冊目。既読「女たちの遠い夏」の改題版でした。イシグロさんの本は私的には難解な部類に入る為、敢えて再読しました。結果的に予習して受けた不得意科目の講義の様に、前回よりもかなり明確にシンプルに伝わって来たのは驚きでした。今の時代もグローバリズムによるパラダイムシフトが世界の果てまで広がっており、一握りの勝者と大勢の敗者を量産する流れが顕著です。かつての繁栄者が自己のアイデンティティーをどうやって保つのかがメインテーマなら英国でのテーマとしてはツボだと思いました。

  • ケイ さん

    随分前に『女たちの遠い夏』として読んだ。改題と知り再読。改めてこの頃のイシグロは良かったなと思う。故郷への回想には、センチメンタリズムよりドライさがぼんやりと感じられ、そのドライさが時代の変遷の不条理さにピタリとはまっている。女の語りにあるのは湿っぽさより諦念だ。「でも、結局、他に大したことがあるわけではないでしょ」結婚し子供を産む女の人生を肯定しない娘への言葉にハッとする。確かに、そういうことかもしれない。日本名が漢字にされていること、女の言葉遣いでイメージが限定されるのが嫌で、原文も読むことにする。

  • エドワード さん

    第二次世界大戦後の日本の価値観の混乱は、生活の隅々まで及び、人々の心の痛みは深かった。この作品で描かれる、長崎に住む二人の女性<悦子と佐知子>の岐路。佐知子ははっきりと新しい生き方を目指す。悦子は後にイギリスへ渡ることがわかるのだが、性急な佐知子が不安で、迷いの中にいるように見える。勇気、哀しみ、自立心。信じるものは自分しか無い、という強い思い。全体のトーンは「浮世の画家」に近く、旧い価値観から離れられない人々。素早く頭を切り替えて新しい道を歩む人々、呆然と何も出来ない人々、それぞれが愛おしい。

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