オラシオ・カステジャーノス・モヤ

人物・団体ページへ

吐き気 フィクションのエル・ドラード

オラシオ・カステジャーノス・モヤ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784801005037
ISBN 10 : 4801005039
フォーマット
出版社
発行年月
2020年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
192p;20

内容詳細

祖国エルサルバドルへの圧倒的な罵詈雑言と呪詛ゆえに作者の亡命さえ招いた問題作『吐き気―サンサルバドルのトーマス・ベルンハルト』に加え、ひとつの事件をめぐって無数の異説や幻覚をもてあそぶ虚無的な生を描き出す「フランシスコ・オルメド殺害をめぐる変奏」、歴史の淀みにはまり込んだ罪なき市民が暴力の渦に巻き込まれる「過ぎし嵐の苦痛ゆえに」計3篇の「暴力小説」を収めた、現代ラテンアメリカ文学の鬼才カステジャーノス・モヤの広大な物語世界を凝縮した作品集。

【著者紹介】
オラシオ・カステジャーノス・モヤ : 1957年、ホンジュラスのテグシガルパに生まれる。父はエルサルバドル人、母はホンジュラス人。1979年、内戦前夜のエルサルバドルを離れトロントに亡命。以後中米諸国を転々とするも最終的にメキシコに落ち着き、ジャーナリストとして働きながら最初の長篇『ディアスポラ』(1988)を発表。1991年、内戦終結直前のエルサルバドルに帰還し、やはりジャーナリズムと創作に従事するが、『吐き気―サンサルバドルのトーマス・ベルンハルト』(1997)により死の脅迫を受け亡命を余儀なくされる。ラテンアメリカやヨーロッパ諸国を転々としたのちフランクフルト、ピッツバーグ、東京での滞在を経て、現在、アイオワ大学教授

浜田和範 : 1980年、東京都に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、慶應義塾大学ほか非常勤講師。専攻は現代ラテンアメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • HANA さん

    表題作を含む短編三篇を収録。著者の作品は初読だけど、冒頭の「フランシスコ・オルメド殺害をめぐる変奏」でやられる。一人の男の死を巡る話だが、これ芥川の「藪の中」だよね。真実は霧の中で証言だけがその周りを飛び交う形の。次いで「過ぎし嵐の苦痛ゆえに」はディストピアホラー。最後の表題作だが、これ祖国を延々ディスってる形だけど、自分には語りの中から語り手の俗物性、小市民性が見えてくるのが興味深い。アイデンティティをパスポートに委ねる箇所とか。総じて南米の暗い湿気を感じさせる話ばかりで、読んでいて息詰まる様でした。

  • 三柴ゆよし さん

    「サンサルバドルのトーマス・ベルンハルト」というサブタイトルが示すとおり、ベルンハルトの忠実な文体模写というか丸パクリで、祖国エルサルバドルをこきおろしまくる表題作では、言語の経済学を完全無視した苛烈な罵詈雑言が、怒涛の間接話法で延々と綴られる。地球の裏側に住まう私たちにとっては、はっきり言って抱腹絶倒の内容ではあるが、モヤはこの小説を発表したせいで、殺害予告(!)まで受けたらしい。一部の読者にとっては、たとえば深沢七郎「風流夢譚」事件のような反応を惹き起こしかねない、時限爆弾だったのかもしれない。

  • vaudou さん

    語り手の安全をも脅かす雑多な声。暴力と憎悪と思いこみに満ちたその断片は、積み重なることで物語に何ら明瞭な答えをもたらしはせず、むしろ真逆の混沌を呼び込んでいる。隣あわせた死の気配が人々の口の端から濃密に漂う「フランシスコ・オルメド殺害をめぐる変奏」軍事国家の暴力装置に巻き込まれた男の流転を描いた「過ぎし嵐の苦痛ゆえに」どちらも暴力が突発的に発生し処理されていく。それに関する伝聞や事実は尾鰭でしかない様が恐ろしい。そして万言を尽くして自国をこき下ろした表題作。これだけ攻撃力のある小説もあるまいて。

  • rinakko さん

    文体練習として書いたという表題作、ベルンハルトそっくりなくどくどしい呪詛節が堪らない。辛辣激烈な内容なのに嗤ってしまった。“途轍もない規模の吐き気だ” “モヤ、もう一秒たりとも耐えがたい、吐き気のあまり、重度の突発性精神的敗血症で死んじまうかもだ” 

  • ハルト さん

    読了:◎ オーストリアの作家、トーマス・ベルンハルトの文体練習として書かれた「吐き気」。流れるよえに躍るように祖国をひたすらに罵倒し、怒りや軽蔑や憤懣をぶつける。なぜ、そこまで祖国に憎しみを滾らせられるのか。読んでて、酔うように頭がくらくらとして吐き気がした。「フランシスコ〜」と「過ぎし嵐の〜」は、どちらも死が呼び水となり、騒動に巻き込む/巻き込まれる。特に「フランシスコ〜」は騙し/騙されあいがおもしろかった。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品