ガラスの蜂

エルンスト・ユンガー

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784803803679
ISBN 10 : 4803803676
フォーマット
出版社
発行年月
2019年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
320p;20

内容詳細

ドローンが赤く光った。
殺意か警告か――不気味な羽音とともに無数に湧きだす透明な〈幽体〉の軍団。
大戦敗北の屈辱に、ドイツ軍の精鋭が幻視した黙示録は、現代の恐怖となる。
2つの世界大戦を通して地獄を見たドイツ最高峰の知性「20世紀のゲーテ」が、およそ半世紀以上も前に《現代のディストピア》を幻視していた!

ユンガーは第一次大戦に出征、死屍累々の惨状からナチス台頭を予見し、第三帝国では森に隠遁して昆虫採集に明け暮れ、戦時はヒトラー暗殺計画の国防軍幹部に宛て極秘回覧文書を起草した。見るべきほどのことは見つ。戦後に洞察したのは恐るべきオートマトン(自動機械)の未来だった。

本書は「ガラスの蜂」全訳に、詳細な訳注(全269項目90ページ)、物語の背景や現代的意義を説く解説「ドローンはSeyn(存在)の羽音を鳴らす」を付す。

目次
ガラスの蜂 3
 *
【訳注】 209
〈訳者解説〉ドローンはSeyn(存在)の羽音を鳴らす 299

前書きなど
【本書帯文より】
ユンガーのものを読むのははじめてです。大戦間期のドイツで「敗戦と近代化によってドイツが失ったもの=もう一度蘇らせるべきもの」に固執するユンガーの喪失感に力−ル・シュミットやマルチン・ハイデガーに通じるものを感じました。
 モンテロン、ヴィットグレーヴエ、フィルモア、ローレンツといった軍人たちについて、わずかな行数で彼らの相貌をありありと現前させる「ポルトレ」の技にも驚かされました。
 僕自身はこれまで大戦間期のフランス知識人のものを多く読んできましたけれど、ここまで濃密な身体性を持った同時代の書き手はフランス人作家には見出し難いと思います。ドイツ・ファシズムの感性的な淵源について、学ぶことが多かったです。
 ぜひ多くの読者に送り届けて欲しいと思いました。
訳文もみごとでした。内田樹

著者プロフィール
エルンスト・ユンガー (エルンスト ユンガー) (著/文)
ドイツの思想家、小説家、ナチュラリスト、軍人。1895年、ハイデルベルクのプロテスタント家庭に長男として生まれる。1914年、第一次世界大戦に志願兵として出征。西部戦線で戦い、1918年プロイセンの最高勲章プール・ル・メリットを最年少で受賞した。1920年、戦記の傑作『鋼鉄の嵐』を出版。その後、賠償に喘ぐ敗戦国ドイツの復興をめざす〈保守革命派〉に身を投じ、マルティン・ハイデガーやカール・シュミットらの共感を得た。ナチス政権誕生を予見する『労働者』を書いたが、ヒトラーが独裁を確立するや距離を置き、森に隠棲して昆虫採集などに没頭する。1939年に書いた小説『大理石の断崖の上で』が後に〈抵抗文学〉として評価される。同年、国防軍に復帰してパリに進駐。戦後の欧州再生ビジョンを記した秘密文書「平和」は反ナチスの軍幹部に回覧され、1944年7月のヒトラー暗殺計画の支柱となった。戦後は「20世紀のゲーテ」と呼ばれ、日記、エッセイ、小説、往復書簡など旺盛な執筆活動で1982年にゲーテ賞を受賞した。1985年、ユンガーの名を冠した昆虫学賞が創設された。1998年、102歳で死去。

阿部 重夫 (アベ シゲオ) (訳)
1948年、東京生まれ。1973年、東京大学文学部社会学科卒、日本経済新聞入社。社会部、整理部、金融部、証券部、論説委員を経てロンドン駐在。1998年退社、2006年に月刊誌FACTAを創刊、病を得て19年8月退社。日本新聞協会賞を1992年と94年に受賞。著書に『イラク建国』(中公新書)など。訳書にP・K・ディック『市に虎声あらん』(平凡社)、『ジャック・イジドアの告白』(早川書房)、D・F・ウォレス『これは水です』(田畑書店)など。

谷本 愼介 (タニモト シンスケ) (訳)
1950年大阪生まれ。1977年、東京大学大学院博士課程中退(独文学専攻)。神戸大学名誉教授。主な業績に『ニーチェ全集』〈第1期第5巻〉(共訳、白水社)、『ワーグナー事典』(共編著、東京書籍)がある。

【著者紹介】
エルンスト・ユンガー : ドイツの思想家、小説家、ナチュラリスト、軍人。1895年、ハイデルベルクのプロテスタント家庭に長男として生まれる。1914年、第一次世界大戦に志願兵として出征、西部戦線で戦い、1918年、プロイセンの最高勲章プール・ル・メリットを最年少で受賞した。1920年、戦記の傑作『鋼鉄の嵐』を出版。その後、賠償に喘ぐ敗戦国ドイツの復興をめざす“保守革命派”に身を投じ、マルティン・ハイデガーやカール・シュミットらの共感を得た。ナチス政権誕生を予見する『労働者』を書いたが、ヒトラーが独裁を確立するやベルリンを去り、森に隠棲して昆虫採集などに没頭する。1939年に書いた小説『大理石の断崖の上で』が後に“抵抗文学”として評価される。同年、国防軍に復帰してパリに進駐。戦後の欧州再生ビジョンを記した秘密文書「平和」は反ナチスの軍幹部に回覧され、1944年7月のヒトラー暗殺計画の支柱となった。戦後は「20世紀のゲーテ」と呼ばれ、日記、エッセイ、小説、往復書簡など旺盛な執筆活動で1982年にゲーテ賞を受賞した。1985年、ユンガーの名を冠した昆虫学賞が創設された。1998年、102歳で死去

阿部重夫 : 1948年、東京生まれ。1973年、東京大学文学部社会学科卒、日本経済新聞入社。社会部、整理部、金融部、証券部、論説委員を経てロンドン駐在。1998年、退社。2006年に月刊誌FACTAを創刊。病を得て19年8月に身を引く。日本新聞協会賞を1992年と94年に受賞

谷本愼介 : 1950年、大阪生まれ。1977年、東京大学大学院博士課程中退(独文学専攻)。神戸大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 毒モナカジャンボ さん

    ユンガーは根本的にエッセイストであり、この妙な小説もストーリーより個々のアフォリズム的思索が光る。チャーチルが言うところの「燦きが失われた戦争」からうまく生活を立て直せない主人公リヒャルト。ツァッパローニが築き上げた企業帝国は、『労働者』で幻視された労働国家を彷彿とさせる。創造的服従を行う芸術労働家の兵士と大衆の超えられない溝。どれだけ思索をしても浮かぶのは貧しい妻の顔である。異様に脱線の多い注釈が気になるが、おそらくこれがユンガー初読の読者に向けて間口を広げようということなのかと思う。

  • Mark.jr さん

    機械仕掛けのガラスの蜂、すなわちドローンを予言したとされる本です。全編に漂う黙示録的雰囲気が濃密。

  • monado さん

    ドローンというSF的ガジェットを背景にして、回想シーンを巧みに使いながら、ある種の思想をあぶりだしてゆく。 いささかやりすぎな訳注も、硬質な翻訳とあいまって、不思議な読書体験を味わえる。

  • warimachi さん

    上手すぎて入ってこないぐらい。

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