イスマイル・カダレ

人物・団体ページへ

夢宮殿

イスマイル・カダレ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784488016005
ISBN 10 : 4488016006
フォーマット
出版社
発行年月
1994年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
238p;20

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 内島菫 さん

    どことなくぎこちない訳文は、フランス語の翻訳からの翻訳だからか、元のアルバニア語がそうなのか。夢の選別や解釈という仕事は、国家を揺るがすほどの重要事項に関わるものでありながら、どうにでも操作できる恣意性の高さ故、その地に足がつかない宙ぶらりんのストレスには出口がない。眠りと死の間に架かる橋のような存在である夢が集まる夢宮殿のブラックホール的な不安に、夢に橋として現れるキョプリュリュ家の一員である主人公が絡め取られていくのも自然な流れなのだろう。本質などないという点で私達と夢宮殿の職員の仕事はよく似ている。

  • ネムル さん

    国民の見る夢を管理し、国の行く末を先読みしようとする《夢宮殿》と、そこで働く男の悪夢的な日常を描いた作品。アルバニアの血生臭い歴史と、国民がそこに奇妙な形で介入する迷宮的な機関が、作品にアイロニカルな凄みを与えている。東欧文学とかが好きなら必読。

  • きりぱい さん

    これは面白い。夢宮殿なのに甘美でもきらびやかでもない。そこでなされるのは、集めた夢から国家の安危に関わる予兆を読みとるという、まるで夢判断のような仕事。迷路のような構造の管理組織なのに、かき集められる夢は申告制であるところが可笑しく、正直に申告してもねつ造しても、どの道引っ立てられたらアウトなのが怖い。働く側も国家に関わることだけに、見落とさず通じすぎず、解釈のさじ加減に注意しないと危険。これは怖いわ〜と笑えるところもありながら、現実ではあながち皮肉ではすまない社会主義の体現だとも思うと何とも怖ろしい。

  • 夜 さん

    国家が夢を管理し政策を決定する不安定さと、夢というそのもの自体が不安定なうえに恣意的な解釈を加えることだって可能という夢の解釈。この不安定な世界観のなかで起こった事件の当事者でありながらも事件の全貌をみることもできず、出世を重ねる主人公がなんとも皮肉でした。アルバニアという国の特異性が作品に反映されています。アルバニア自体について知識が皆無だった私には、アルバニアについて垣間見られる良い機会でもありました。社会反映した東欧の作品としてミラン・クンデラ『存在の絶えられない軽さ』にちょっと似てるかな。

  • オオトリちゃん さん

    国民が見た夢の内容を分類し、解釈し吟味して国の存亡に関わる夢を選別する謎の機関。無意識領域下の世界を支配する構造か。オーウェルの管理社会の様な、徹底して人間性を剥奪する暴力こそないが、カフカ的な寓意性や不条理が紡ぐ夢現の世界に出口を見失ってしまう。徐々に現実認識を狂わされていくようで、その奇妙な酩酊感がたまらない。まぁ後半のアルバニアの風土や土着性を描くには、夢の収集や保管といった夢幻的な怪異が必要だったのだろうと思う。オスマン帝国の侵攻から続く血塗られた歴史、民族の宿命性は決して<夢>の話ではないのだ。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品