基本情報
内容詳細
2007年に『東京都足立区』からスタートした地域批評シリーズ。
その最新刊である本書は、2014年に刊行された『日本の特別地域特別編集58 これでいいのか山梨県』を文庫化したものですが、
ただ単に既刊の内容そのままで文庫化したわけではありません! 地域の歴史や特徴、県民性の他、社会問題なども扱う
地域批評シリーズでは、既刊を文庫化するにあたり、古くなった情報は削除し、現在も継続しているテーマについては加筆や訂正を加えています。
さらに最新問題の書き下ろしも追加していますので、本書を旧知している読者にも新鮮な感覚を持って読んでいただけると思います。
日本のどの都道府県も、どの地域も様々な問題を抱えています。そして、それはここ山梨県も同じです!
山梨県は「地味な県」のイメージを持たれていますが、本書ではそれを否定しています。山梨県はいろいろな意味ですごい県です。
とくに重視しているのは、明治以降の日本全国に絶大な影響を及ぼした「甲州財閥」の存在です。かの有名な阪急や東武といった巨大鉄道会社は、
実は山梨県の出身なのです。また、海外との玄関口となった横浜を作ったのも山梨の人々です。「〜じゃん」という言葉は「東京弁」として
広まっていますが、これは横浜で活動した甲州商人が使った甲州弁が広まったもの。こうした「山梨県の絶大な影響力」を本書ではこれでもか! と紹介していきます。
あわせて、現在でも山梨県内では普通の感覚で行われる「無尽」など多くの地域特性が、甲州財閥と同じく全国に大きな影響を及ぼしたことも取り上げます。
もうひとつ重視しているのは、県内の二大地域である「国中」と「郡内」の関係性と違いです。国中は、甲府を中心とする甲州盆地、郡内は富士山麓から
大月にかけての地域ですが、このふたつの地域は、歴史も住民性も現在の経済状況も大違い。現状では「旧中心地」の国中はイマイチ、
郡内は富士山の世界遺産登録以降イケイケと明暗がくっきり出ています。これらの地域の実態もくわしく解説していきます。
本書を読めば、山梨県民は地元がもっと好きになり、他地域の人は、今まで知らなかった山梨県の魅力を、いい意味でも悪い意味でも知ることができるでしょう。
地元がどんなところか改めて見つめ直すきっかけになる本だと思います。山梨県は猛暑で有名です。暑い夏の日、お家のなかでじっくりとお読みいただきたい。
そんな一冊です。
【著者紹介】
鈴木士郎 : 1975年東京都生まれ。編集者・ライター。2003年頃には山梨県の地方誌で編集長を務めていた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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