オーボエの名手であったプラッテイの12のチェロソナタ集であるが、なかなか良い曲が多い。中でも第1番ト短調、ゆっくりとした第1楽章ではもの悲しそうな旋律をチェロがしみじみと歌い上げ、第2楽章は、初め小さな音でややゆっくりとチェロが奏したかと思いきや、突然階段を駆け下りるかのようにチェロが激しく下降音を奏でて驚かされる。他のソナタも情感たっぷりな緩徐楽章と、生き生きとした急速楽章の対比が素晴らしい。また、1番〜6番のソナタでは通奏低音としてオルガンとチェンバロが同時に用いられているのが珍しい。（ただ、ソロのチェロが単旋律楽器として扱われているのが少し物足りない気がする。）ガリジオーニはプラッティの緩急楽章の特徴をきちんととらえて技巧的にも申し分のない演奏をしており、ラルテデラルコのメンバーがそれを下支えしている。12曲一気に聞くのではなく、気分に応じて1、2曲ピックアップして聞くのが良い。

特に目立った曲はあるわけではないが、一つ一つの内容については実に深く魅力的なメロディがちりばめられている。非常に楽しめたと思う。

ロシアの団体と言うと、技巧を強調して風格は犠牲にされがちだが、本CDではゆったりとした心地よい演奏が聴く事が出来る。古楽演奏だが、やがて到来する古典派時代を予感させる。各協奏曲でのオーケストラの提示部（トッティ部分）がバロック時代とは比べ物にならない長いのが特徴となっている。但し、音楽自体はバロック風のメロディーを響かせているところが興味深い。前古典派では、お決まりのチェンバロ協奏曲を書いているのも納得できる。録音面ではトリオソナタと協奏曲のバランスが、もう一工夫あると最良のディスクとなっていた思う。 バロックから古典派への移行期に興味がある方は必見。

発売前に前回レビューの通りに期待した。しかし、期待し過ぎたか？音の広がりは少なく、演奏もやや平凡。私はイノセンティ演奏の3枚(作品1,4,他)を所有している（価格も合わせて4千円少々だった）。むしろそちらの方が音楽の流れが自然でスケールも大きい。また、かつてのルチアーノ・スグリッツィのように軽快に突き進む快楽はもう期待できないのか？確かに洒落た節回しも多く、全体に綺麗な演奏ではある。続編も予定（海外では既発売）されているので全体で評価したい。

プラッティの鍵盤音楽は奏者によって印象が異なる。ギャラントなイタリアの佳品であるが、大人し過ぎると素っ気無い幼稚な作品に聴こえる。かつてのルチアーノ・スグリッツィのように(ERATO廃盤他)、やや速目のテンポで爽快に弾きこんで欲しい。パラディーシのソナタ集がまずまずの出来だったラヴィッツァの本盤に期待してみたい。録音自体が少ないプラッティの新盤を心から歓迎する。