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4人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/01/10
これぞ秦基博。 聴き終えたとき、それを強く感じた。 歌詞カードを見てみると、秦基博さんが全楽曲の作詞・作曲・アレンジ・プロデュースまでも手がけていることに気づく。 まさに秦基博さんの今表現したいものが全て出たアルバムと言える。 秦基博さんというと大ヒット曲「ひまわりの約束」を思い出す人も多いだろう。 これは間違いなく名曲で、何度聴いてもそのメロディと歌声に酔いしれてしまう。 でもこの曲をアルバムの中で聴くと、これは秦基博さんの一部でしかないことにも気づく。 こういう柔らかな曲だけが秦さんの魅力ではないと。 そんなアルバムは「嘘」から始まる。 深い海の底を彷彿とさせるような重厚で広がりのあるサウンド。 繰り返される”永遠”という言葉。 その重さと深さ、そして尊さは、聴く人を一気にこのアルバムの世界へ惹きこんでいく。 そのインパクトに続く「デイドリーマー」も印象的で、タイトルの通り夢と現実の狭間を表現したような絶妙な音世界は今までの秦さんにはあまり無かったもの。 でもその音の中を行く秦さんの歌声は両方の世界を引き連れて届けてくれるようで、何とも愛おしく心地よく聴かせてくれる。 そしてアルバムの中盤。 「美しい穢れ」、「Q&A」、「ディープブルー」とダークな世界観の楽曲が次々に流れてくるに驚かされる。 このダークさは愛するが故の妬み。 そういう人間の奥底に潜む感情への問いかけは、胸に突き刺さる。 驚きという意味では「Fast Life」も面白い。 オーガニックなサウンドで畳み掛けてくる言葉が印象的なこの曲で表現されているのは、日常と混沌。 ファストライフとスローライフという全く正反対なものがそれぞれに存在感を放つ世界で、自分の場所を見失いそうになっている姿には、色々と考えさせられてしまう。 ここまでで見せた深い海の青や水の青、悲しみの青。 そんな青の光景は最後の「Sally」で”青空”を見せることで、完結する。 ここまで歌った全ての感情まとって空へと飛び立つようなこの曲を聴くことで、晴れやかな気持ちでアルバムを聴き終えることができる。 その余韻に浸っていると、このアルバムの良さをより深く感じることができるだろう。 一曲一曲はもちろん素晴らしいが、アルバムを通して見せた”青の光景”はそれ以上に素晴らしい。 このアルバムで秦基博さんの本来の魅力と違った魅力を感じてみて欲しい。
4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/12/22
シティポップの良さ。 それを話そうとしたとき、この一枚ほど必要十分な作品はないかもしれない。 この作品の話をする上で絶対に外せないのが「6月の夢」。 メロディや音の構成の巧みさだけでも唸ってしまう一曲だが、そこにゲストボーカルとして佐々木詩織さんを起用していることで、音楽としての魅力の中に柔らかな広がりという音空間としての魅力が加わり、聴き手の耳に最高の心地よさを残してくれる。 楽曲の魅力と歌声の魅力というそれぞれの良さをここまで引き上げるというセンスには驚かずにはいられない。 そして、こんな素晴らしい楽曲が一曲目から出てくるのだから、聴き進めないわけにはいかない。 彼ら自身が歌う「面影」、「汗は甘い口づけ」、「星空と孤独のマスカレード」では、歌声が音楽に溶け込むように響いてくるの印象的。 「6月の夢」の広がりとは違い、これらの楽曲では音楽としての魅力そのものが感じられる。 やはりここでも彼らのメロディと音の使い方は素晴らしく、こう来て欲しいときにこういう音が来る展開は、ずっと聴いていても飽きが来ない。 最後にはもう一曲ゲストボーカルを迎えた「Calling」が待ち構える。 佐柳太一さんの歌声は深みのあるもので、彼らの楽曲の魅力がまた違うほうから感じられるのが面白い。 最初の作品でゲストボーカル曲が2曲というのは珍しい気もするが、それにより楽曲の良さはもちろんのこと、ボーカルが持つ広がりや深みという魅力が加わることで、また違う良さが出ることまでも印象付けてくれる名盤。 これだけの完成度を誇る作品を作った彼らが、今後どんな作品を聴かせてくれるのか楽しみだ。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/12/22
「LIFE SIZE」。 そのタイトルの下には、色んな形の日常の姿が描かれている。 始まりを告げる「イキル」は、夢へと向かう人の日常。 時に挫けそうになりながらも、周りの人がいることで諦めずに歩むことが出来る。 ゆっくりなテンポの曲だが、重厚感のあるサウンドと歌声の力強さも相まって、そのメッセージに心が鼓舞されるよう。 そこに続く「南風」は、春の爽やかな風を運んでくるように恋の煌きを感じる一曲。 こういうふとした煌きと出会う日常には懐かしい温かさを感じさせてくれる。 この辺りはまさに岡野さんの真骨頂で、「船出」や「コトノハ」でも感じさせてくれる気持ちだ。 「田園」もまた温かさを感じさせてくれるが、こちらは慣れ親しんだ街を想う温かさ。 田園風景という日本ならではのものを、季節を絡めて描く姿には自然と懐かしさを感じずにはいられない。 とてもシンプルな楽曲だが、シンプルだからこそ際立つ温かさがなんとも心地よい。 また、こういう温かさとは違う角度を描いた楽曲も印象強い。 「迷いの森」で歌う情報が溢れた社会への不安と楽しみ、「モノクローム」では沈んだ感情が見せるモノクロの世界に色をつけようともがく姿も描いている。 これもまた一つの日常の姿で、その想いに感じるとことがある。 アルバムの最後を飾る「トワイライト」では夕暮れを描いた哀愁を漂わせる。 その哀愁は一日の終わりという切なさを連れてくるが、同時に明日への希望も連れてくる。 この曲が最後にあることで、聴き終えたときの満足感だけでなく、余韻まで楽しませてくれるのが素晴らしい。 もし日常に疲れているのであれば、このアルバムを聴いてみて欲しい。 日常の素晴らしさと明日への希望を感じることができるはずだから。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。
一度聴けば頭から離れない。 久々にこんな強烈なインパクトの曲を聴いた気がする。 ただ何かが特別にぶっ飛んでいるわけではない。 昭和歌謡を彷彿とさせる懐かしいメロディ。 このクセになるメロディラインだけでも十分聴き応えがあるが、そこに乗る歌詞の意味深さがこの曲を更なる名曲に押し上げている。 歌詞の本当の意味は不明だが、昨日、今日、明日と進む時間を生きる中で起きている何かに対して、答えの出ない問いかけをされている気がして、色々と考えてしまう。 だからこそ、一度聴けば頭から離れなくなるのだろう。 まずは一度聴いてみて欲しい。 それだけでこの曲の魅力は伝わるはずだから。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/11/30
日常はドアを叩く。 そのインパクトのあるタイトルに引かれるように聴き進めた先には、キイロヒトとstunning under dogが生み出す深みのある世界が広がっている。 まずはキイロヒト。 サウンドの中に光と影、そして歌詞の内容にシンクロするような感情を込めているのが印象的。 「或る部屋の、」はその魅力が詰まっていて、流れるようでありながらどこか靄がかかったようなサウンドは、過ぎていく日々とその中を生きる感情の陰の部分が示されている様で、聴いているだけで不思議と惹きこまれてしまう。 どことなく後ろ向きな歌詞が耳に残る「symphobia」は、サウンドでは反対に日が昇るような温かさ、新しい日々の始まりのようなものを感じさせてくれる。 これは詩の中で回顧しつつも、どこかそれを納得していて、次へ踏み出そうとしている姿を見せようとしているのだろう。 「migraine」のように静かな始まりに広がるように響く美しいギターの音色、徐々に音が力強さを増しながら感情も高めていく展開も聴き逃せない。 続いてstunning under dog。 彼らの音楽は聴いた瞬間から今までに無い不思議な感覚を覚える。 「TD」がまさにそれで、歌声やコーラスに魅せる繊細さや素朴さと、シンプルそうに見えて奥深いサウンドが作り出す素晴らしい世界に、感動に近いものが得られる。 最後の「♪傍観の空」の部分は特に素晴らしい。 一転してアップテンポに駆け抜けていく「愚か者」も奥深いサウンドは変わらないが、声をからしながら歌う姿に熱い想いを感じる。 熱い思いという点では「雨宿り」の言葉も外せない。 葛藤の中に見える涙と、命の尊さ。 吐き出した感情が畳み掛けるように響いてきて、聴き手の感情を揺さぶってくる。 3曲ともタイプは違えど、感情が反応してしまうという点では同じ。 それが彼らの魅力なのかもしれない。 それぞれに個性的で存在感のある2組。 その2組が組んだアルバムが良いものにならないはずがない。 彼らの魅力を知るという意味でも1枚のアルバムという意味でも、素晴らしい一枚。
「吹雪」でデビューした西沢幸奏さんの2ndシングル。 「Brand-new World」は、デジタルなサウンドが生み出す近未来感の中を駆け抜けていく力強い歌声が印象的な一曲。 歌声は「吹雪」のときよりも更に力強さを増しただけでなく、自身が手がけた葛藤の中に前へ進もうとする希望を映し出す歌詞の想いを纏って歌い上げていることで、より聴き手に響くようになっていることが素晴らしい。 両A面のもう一曲「ピアチェーレ」は打って変わって柔らかな時間が流れる一曲。 繊細なピアノの音色、流れるような美しいメロディ。 そして西沢さんが優しく歌い上げる言葉によって生まれる空気に、愛おしさを感じずにはいられない。 「ARIA」シリーズの楽曲というと牧野由依さんの「ウンディーネ」、「ユーフォリア」、「スピラーレ」が思い出されるが、その流れを汲みながらも歌い手を代えていることで、帰ってきた安心感と新しい息吹を感じることができることが何とも素敵だ。 両A面で全くタイプの違う楽曲が堪能できる一枚。 カップリングの「Cross」も含めて西沢さんの更なる魅力を感じてみてほしい。
歌い手KKとしても活躍する上北健さんがシンガーソングライターとしてリリースするアルバム。 ”KK”としてリリースした「心音」は音楽への想いが溢れる一枚だった。 それに対して今回の”上北健”としてリリースした「SCOOP」は、自分の内面へ迫り、それを独自の世界観で表現している印象が強く残る。 リード曲「DIARY」。 季節の移り変わりと僕の感情の移り変わりを見せるこの曲。 始めは後ろ向きだった感情が、季節の移り変わりと重なるように少しずつ、でも確かに前向きに変化していく。 曲の中に流れる時間を感じていると、その感情の移り変わりをとても身近に感じることができるのが興味深い。 それは詩の内容だけでなく、上北さんの感情の奥深いところまで表現する歌声があるからこそできることだろう。 アルバムにはこういった優しい楽曲だけでなく、「Phototaxis」のように軽快でありながら何かを振り払おうともがいているような疾走感を感じる曲に、「アイニイキル」のように攻撃的でありながら陰を見せる歌もあり、最初から最後までその詩の世界観と上北さんの歌声が堪能できる一枚になっている。 KKではなく上北健だからできたアルバム。 その意味を感じてみて欲しい。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/11/11
リード曲「ふれたい光」。 この曲がとにかく素晴らしい。 前半の張り詰めた空気感の愛しさと優しさ。 それだけでも素晴らしいのだが、最後の「You say ”Hello!”〜」からの繊細で魂のこもった歌声が畳み掛ける展開が鳥肌が立つほど素晴らしい。 それはサウンドが作る空気感、メロディの展開だけでなく、やはり歌詞の力が大きく働いている。 一文で読めば意味はわかるものの、どこか途切れ途切れの言葉たち。 その言葉を一つずつ感じながら歩き出し、その過程で僕一人だったものが、僕らへと変わり、その意味に少しずつ気づいていく。 そして、そこに光があることに気づく。 これは自分の歩んできた道をもう一度見つめ直してみて、本当に歩む道、光のさす道はどこかを見つけて欲しいという願いなのかもしれない。 だからこそ、聴くことでこんなにも心を動かされる楽曲になっているのだろう。 そして、この「ふれたい光」の入った「2011ep」という作品もまた素晴らしい。 同様の良さを持ちつつ、軽快に聴かせたり、しっとりと聴かせたりと、楽曲ごとにそのイメージが変わる。 その内容はEPとは思えないほど濃いものになっている。 Emeraldの素晴らしさを知るには、申し分ない一枚だろう。
いつでも傍にいるような安心感。 それがLILYの音楽にはある。 きれいなメロディ、演奏力の高いサウンド。 どれも安心感を構成する要素ではあるが、一番芯にあるのは歌詞。 聴く人への応援を込めてはいるが、弱さや葛藤も同時に描いていて、その状況から進もうとする光が明確に感じられる説得力がある。 そして、それを響かせる福島さんの歌声の存在。 どことなく儚さを感じさせつつ力強くも響く歌声は、まさに歌詞の想いそのものを表している様で、とても真っ直ぐに、でも自然に聴く人に想いの情景を映す。 そこに色と深みを与えるサウンドが加わり、色鮮やかにその情景が動き出す。 それを聴いたら、LILYの音楽に惹きこまれないわけにはいかない。 中でも「遠く」は、哀愁漂うメロディと切なくも先へと歩んで行こうとする歌詞が、上述の魅力を纏って響いてくる素晴らしい名曲。 これだけでも一聴の価値はあるが、そこから始まるアルバムの内容にも、次々と惹き込まれていってしまう。 それぞれの曲にはそれぞれのドラマ。 でも何故か共感できる想いと安心感が、ここにはある。 アルバムタイトルの「Cocoon」はサナギのこと。 これから羽化をしていく彼らの素晴らしい今を、聴いて感じてみてほしい。
押し寄せる感情の渦。 妬みや願いを曝け出すように歌いあげる言葉に、その感情を描き出すように鳴らす緊迫感漂うエモーショナルなサウンドが響いてきたら、耳を傾けないわけにはいかない。 始まりを告げる「ゴウハイド」の届かない想いへの自問自答からただならぬ情念を感じたかと思えば、「空の淵」の生きていることへの葛藤と流れていく時間に取り残されているような焦燥感漂うサウンドに心奪われてしまう。 タイトルが印象的な「呪い」では、その言葉に込めた妬みの感情が畳み掛けるメロディと歌声の渦に乗って痛いほど突き刺さる。 その感情がただの妬みではなく、そう思ってしまう自分が嫌いだとわかってしまっていることまで綴っていることで、こんなにも心が揺さぶられるのだろう。 最後の「だいじょうぶ」では一転してこれらの感情を優しく包んでくれる。 ここまで感情を揺さぶり続けてきただけに、最後に見せた優しさは想像以上に温かく届く。 全8曲。 その中にあらゆる感情を詰め込んだ渾身の一枚。 これは本当に聴いてみて欲しい。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/10/21
旅で出会った音たち。 それは「ワールドツアー」という華やかな楽曲に始まり、様々な形で聴かせてくれる。 「囁きは”Crescendo”」のような柔らかさに、「88秒フライト」の飛び立つワクワク感を演出する疾走感で楽しませてくれたかと思えば、「グッバイ・マイ・フレンド」の跳ねるようなリズムに乗るメロディの軽快さで心を弾ませてくれつつ、「secret melody」のような少し陰のあるメロディでも惹き込んでいく。 これだけ色んな楽曲があるとバラバラな印象となってしまいそうだが、アルバムを通して聴いても芯が全くぶれていないと感じるのは、サウンドプロデューサーとして矢野博康さんが入っていることが大きい。 そしてもう一つ、表現力を増した歌声の存在もアルバムの魅力を増す要因だ。 例えばシングルにもなっている「きみの選ぶみち」。 壮大な音色と繊細なメロディの印象が強いが、その壮大さを何倍にも広げる牧野さんの感情を揺さぶる歌声が響き渡ることで、楽曲の持つ神秘的な魅力を何倍にも増している。 この表現力はアルバム全体の楽曲で感じることができ、それにより一つ一つの楽曲の色をはっきり出すことができている。 アルバムとしての統一感と表現力。 それが合わさることで、素晴らしいアルバムとなっている。 そして、これだけのアルバムを作りながら、最後の「まわる まわる」で新たな旅へ想いを歌っていることで、これからの楽曲が更に楽しみになってくる一枚。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/10/15
オリジナルアルバムとしては前作「シンガーソングライター」から2年半ぶり。 その間にリリースされたシングルが多数入っているため、既出曲の内容だけでも濃いことがわかる。 しかもそれらがどれも素晴らしい楽曲であると同時に個性が強い楽曲でもあり、聴き進めるとあっちへこっちへ行ったりと忙しい印象は確かにある。 だがよく聴くと、その印象の変化は1曲ごとではなく、3曲毎に訪れていることに気づく。 1〜3曲目は新鮮さ。 「FOLLOW ME」の独特な展開、「Be mine!」の圧倒的な疾走感がとにかく素晴らしい。 「さなぎ」も北川勝利さん作曲と感じないほどメロディで、間奏の唸るようなギターの音色も含めてとにかく新鮮さを感じさせてくれる。 4〜6曲目は重厚な世界観。 最後まで息をつかせないほど洗練された音を聴かせてくれる「SAVED.」、小山田圭吾さん(Cornelius)作曲の「東京寒い」は独特な世界観に、「アルコ」の菅野よう子さんらしいメロディと音世界と歌声の融合には、どことなく安心感も覚える。 7〜9曲目は優しさ。 「幸せについて私が知っている5つの方法」のキラキラした幸福感、「はじまりの海」の香りや空気感まで含んだ情景が浮かぶような音楽に、本人作詞作曲の「これから」の未来を不安に思いながらも、その未来へ向かって歩んでいこうとす姿に、自然と感情が揺さぶられる。 10〜12曲目は優雅さ。 「Waiting for the rain」の浮遊感と広がりのある音楽に、「ロードムービー」の繊細なメロディだけど詩の内容を表すように力強く聴かせるアレンジの妙、「That is To Say」のジャジーな音楽はいつまでも聴いていたい思わせてくれる。 13〜15曲は哲学的な深さ。 「レプリカ」の煌びやかなした疾走感に乗せた見えない愛や絆の存在の尊さ、さかいゆうさん作曲の「かすかなメロディ」は歌詞もメロディもシンプルでありながら、心の奥深くに響く力があり、「アイリス」で描く様々な景色はこのアルバムを象徴しているようで、バラバラに見えながらも全てには意味があるということがしみじみと伝わる。 シングル曲に関わらず全曲が濃い内容。 バラバラに見える楽曲も、それぞれが意味を成し、アルバムという形の中で新たな価値を生み出すように構成されている点も面白い。 その濃さと同時に新鮮さを感じることになる一枚のアルバム。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/10/04
音という空気の振動の中に、どうしてここまで感情と空気感を込められるのだろう。 アルバムの始まりを告げる「morining haze」。 そこにはタイトルにもある朝靄とともに湿度を感じた。 それは朝靄そのものであり、僕の涙でもある。 多くを語らずとも音の中でその感情を聴かせることで、綴られた言葉がより鮮明に、でも溶け込むように響いてくる。 最後の”痛いな”は胸が締め付けられそうになるくらいの深みがある。 そこから「decide」、「yours」と終わりを感じさせるミディアムテンポのナンバーで、最後のコーラスまで息をつかせない展開を聴かせてくれたかと思えば、中盤の楽曲では心の奥に抱えきれなくなった感情の吐露が切なく響く。 沈みかけた心に「madder」のリズムと言葉が微かな光を灯し、最後の「before light」で色んな感情が込み上げてきて涙を見せるが、全てを受け止めることができて前を見ようとしている姿がどことなく感じられ、切なくも温かい気持ちを持った余韻に浸らせてくれる。 メロディや言葉の良さだけでなく、それを響かせる音としての素晴らしさ。 それが十二分に感じられる一つの名盤。 自然な気持ちで聴いてみて欲しい。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/09/28
ふと耳にした「ロマンス」という名曲。 メロの柔らかなポップさからサビでパーッと開ける爽快なポップさへの最高の展開。 アウトロでキメるバンドサウンドのインパクトも強く、聴き終えてもしばらく頭から離れない。 時間にして3分ちょっとの曲だが、その間に与えた衝撃は半端なかった。 その名曲に誘われるようにアルバム「SAD COMMMUNICATION」を聴いたら、更に衝撃を受けた。 一曲目「遠くへ行きたい」のポップさと歌謡曲テイストが絶妙に絡み合う名曲に魅了され、「みそじれーしょん」の独特な言葉が印象に残りつつも自然と伝わる詩の内容に惹かれたかと思えば、上述の「ロマンス」がポップな方向に一気に弾けさせる。 「すみっこがかり」、「宇宙」、「ギルティ」と心の奥の感情を自然なポップさで聴かせてくれつつ、「ステマステル」という驚異的なポップナンバーでまだまだ聴き手を惹きこんでいく。 「キラーサンセット」の駆け抜ける疾走感にわずかな感情の抑揚を詰め込み、少し違った印象を持たせてくれたかと思えば、「30」というリアリティのある言葉で感情を揺さぶり、「新世界」の少なくも大きな意味を持たせた言葉が全てを包み込む。 ここまで本当に一瞬に感じる内容。 それは一曲一曲が短いということもあるが、それ以上に次々に来る感情とポップさの波に自然と浸ってしまっていることのほうが大きい。 それくらい充実した内容の一枚。 良いアルバムだ。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/09/22
心をくすぐるような楽曲。 基本は懐かしさを感じる歌謡ロックだが、それが王道で真っ直ぐだけど程よく暑苦しく、どことなくダサいけれど格好良いという絶妙なバランスの上に成り立っている。 だから、一聴すれば楽曲の良さに気づくだけでなく、その不思議な感覚が何なのか確かめようと何度でも聴いてしまう力を持っている。 綴られた言葉が映す情景、そして同じ言葉を繰り返さず少しずつメロディと音を変えながら聴かせる展開も興素晴らしく、中毒性だけでなく強いメッセージも感じることができる名曲。 メジャーという舞台でミソッカスの始まりを告げるには最高の一曲だ。
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