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とっさん さんのレビュー一覧 

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     2011/06/03

    トム・ジョビンとヴィニシウス・ジ・モラエスの作品というので「ワールド」にジャンル分けされているようだが、これはむしろ「クラシック」の作品として捉えるべきものかと思う。タイトル曲は新首都ブラジリアのために委嘱された作品で、それだけに公的な場でも演奏されることを想定されたシリアスなものだ。だからここにジョビン/モラエスの数多の佳曲を期待すると当てが外れる。むしろ、機会音楽として彼らが祖国のため全力で取り組んだ背景を思い浮かべつつ「クラシック」音楽として聴く方が理解しやすいだろう。砂漠の台地から建設に至るまでのドラマが交響的に描かれており、もともとクラシック音楽の基礎があるジョビンの力量が示されたよい作品だ。
    私はこの作品も気に入ったが、圧巻はむしろヴィラ=ロボスの最晩年の作品「アマゾンの森」の自作自演だろう。録音も作曲者の死の年である1959年とある。もともとは映画のために作られた作品だそうだが、ジョビンがリオでヴィラ=ロボスに会った時、彼は映画の筋書きに沿ってまとめようとはせず、曲のムードや雰囲気を生かしつつ、曲を通じて喜びや不安を表現しようと考えていたそうだ。クラシックのジャンルではネシュリングとサンパウロ交響楽団による最新録音が話題になっているが、自作自演バージョンが「ワールド」のジャンルで扱われていると「クラシック」のファンは見過ごしてしまうのではないだろうか。多少話が逸れるが、どちらのジャンルからでも検索できるようにしておいた方がHMVさんにとっても、消費者にとってもいいことだと思うのだが。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/22

    南米は世界的なピアニストを輩出しており、それぞれお国ものというべき南米の作曲家の作品を取り上げているが、彼女はとりわけ南米の作曲家に対する敬愛の念が強いようだ。また、即興演奏にも長じており、以前出たバロック作品をモティーフにしたアルバムも大変楽しめた。
    今回のアルバムはそうした彼女の南米への愛と即興演奏を中心に構成されており、期待を裏切らない素晴らしい出来だった。特にレクォーナの作品が数多く取り上げられており、ラテン音楽として聴くのとはまた違った良さ、美しさを見いだすことが出来る。
    少し不満なのはレクォーナのスペイン(アンダルシア)組曲が全曲収録されていないこと。特にアンダルーサ(そよ風と私)がはいっていないのは残念。これで星ひとつ減じた。とはいえ難曲ヒナステラのソナタをはじめ、ほかの曲も佳曲ぞろいであり、即興演奏も相変わらず多彩で、彼女の特色が存分に発揮されたアルバムに仕上がっている。

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     2010/09/01

    長らくセルの新世界を聴いていなかったが、今回久しぶりに聴いてみたところ、録音はオリジナルテープのヒスノイズが昔の記憶を思い起こさせるものの、セルらしい精緻なアンサンブルはもちろん、その(意外な)熱さに改めて感動した。また8番は録音も古くEMIの新録音に隠れて存在感がいまひとつと思っていたが、そんな先入観は見事に粉砕された。溌剌としたリズム、ぐいぐい前に進んでいく音楽、さらにDSDマスタリングのおかげか音質が大変良く、以前のLPとは比べるべくもない。セルとクリーブランドの良さが全て出ている。今年は没後40年にあたるのにセルのメモリアル企画がない寂しさを少しではあるが解消してくれた。

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     2010/03/27

    ジャジーなカプースチンのソナタの後にラフマニノフの歌曲をパラフレーズした作品とヴォカリーズ、その後今度はカプースチンの小品と続き、最後はラフマニノフのソナタで締めるという入れ子構造になっているのがまず面白い。ジャケットも凝っており思わずニンマリとしてしまう。まさかと思うが本当に駅のホームにピアノを持ち込んだのだろうか?
    さて中味の方だが、カプースチンの新作ソナタはチェロが変幻自在。ピアノのアドリブ風な動きに呼応してウォーキングベース的な動きをするかと思えば今度は思いっきり歌う。聴き手はあれよあれよという間にカプースチンの世界にはまり込む。この快感が心地よい。ラフマニノフの小品とソナタ、これがまた良い。ルンゲのチェロは骨太の音でよく鳴る上に思う存分歌っており爽快のひとこと。小生このチームの演奏を聴くのは初めてであるが、演奏、曲、企画といい申し分のないアルバムだと思う。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/06

    ジャケット写真がこのアルバムのコンセプトを端的に表現しています。選曲のコンセプトは情熱よりもむしろ透明で乾いた空気、明るさ、くつろぎでしょうか。もともとカサド作曲の無伴奏チェロ組曲がプロジェクトのスタートのようですが、アルバム作りのイメージが膨らむにつれファリャとグラナドスという最もスペインらしい作曲家に行き着き、さらにはスペインをイメージするのにギターは欠かせないということでパブロ・マルケスという逸材に出会うことになります。ガスティネルのチェロはもちろん、マルケスのギターもまた素晴らしく、両者の強い共感が感じられます。まさに彼女の言う「私たちの”チェロギター”が生まれた」という表現がぴったり。愛聴盤になりそうです。

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