ウィンナ・ワルツ集 ロヴロ・フォン・マタチッチ&ベルリン放送交響楽団(1958年モノラル・セッション)
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slave | 東京都 | 不明 | 2019年01月31日
マタチッチのウィンナ・ワルツと聞くと、とりあえず「重厚で豪快な云々」とか「ブルックナー風の味付け」などという評言をしたくなるものだろうと思う。しかし、この演奏は極めて、ウィーン風である。全く正統的なウィーン風の伝統にしたがった演奏だと断言できる。最初にこの演奏を聴いていたときには、演奏者の名前を意識していなかったので、この重い重心のオーケストラ、ワルツもポルカも音はウィーン風ではないのに、歌いまわしがいかにもウィーン風なのに、かなり戸惑った。ウィーン少年合唱団の謳いまわしとそっくりなのである!「いい演奏なのだけれど、どうしてこうなのかな」と。その後、これがマタチッチの指揮するベルリンのオケと分かり納得した。マタチッチは元ウィーン少年合唱団員で、ウィーンで教育を受けているオーストリア=ハンガリー帝国の貴族の家系なので、こうした正統な演奏に仕上がる。この演奏には、マタチッチの個性、ベルリンのオケの個性は確かに聴きとれるのであるが、全体を明瞭に貫いているのは、ウィーンの伝統だ。マタチッチとウィーンの音楽の関係を、私はこれほど明瞭に意識したことは今までなかったので、大変に良い経験になった。尚、マタチッチの重心の低い、ドライヴの効いた演奏は、クロアチアの音楽性なのであって、マタチッチ個人の個性ではないことは、知っておくと良いと思う。ポゴレリチやゲキチも非常に通底した音楽をやるからだ。平たく言ってしまえば、マタチッチを「豪快な指揮者」とか、ストコフスキーを「怪人」とか、そういうある種のステロタイプなレッテルを張り付ける商売はもうやめにしたらどうかと思う。彼らのやっている音楽をもう少し真剣に捉えることができる時代になっていると思う、日本の聴衆の成長ぶりは。追いついていないのは「評論家」の先生なのではないだろうか?マタチッチが少年の頃にアウガルテン宮殿で身に着けた歌が、ここに聴こえる。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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