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モンテヴェルディ(1567-1643)

CD 聖母マリアの夕べの祈り ジュゼッペ・マレット&ラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレ、カンティカ・シンフォニア、ラ・ピファレスカ(2CD)

聖母マリアの夕べの祈り ジュゼッペ・マレット&ラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレ、カンティカ・シンフォニア、ラ・ピファレスカ(2CD)

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    マスター・ヘルシー  |  岡山県  |  不明  |  2018年10月20日

     聖母マリアの夕べの祈りで正確な演奏方法が分からないため、演奏者の作品に対する分析、解釈によって決まるため非常に個性豊かな演奏が綺羅星の如く出てくる。この名盤はモンテヴェルディ生誕450周年記念のためにグロッサが威信をかけて出したことからかなりの気合いが入っている。まずは母体であるラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレ。ジュゼッペ・マレット指揮者も歌手として所属しており、ルネサンス時代の声楽曲を取り上げ、賞を取るほどの名盤を出している新進気鋭の精鋭音楽集団。次にマレットの子飼いであるカンティカ・シンフォニア。声楽と器楽の両刀遣いの古楽団体であり、デュファイ等の古の作曲家を知らしめることに貢献したこと等と精力的に活動している。最後に古楽系管打楽器アンサンブルのラ・ピファレスカ。モンテヴェルディのマドリガーレ全巻収録し、名を知らしめたラ・ヴェネクシアーナとカンティカ・シンフォニア両者の最精鋭により結成され、ロベルト・ジーニ盤でも共演を果たしたこともある。そして、それら3組の超精鋭古楽団体と密接な関係を持っている歌手兼指揮者であるジュゼッペ・マレット。まさにグロッサの看板音楽家によるオールスターだ。  演奏形態として、グレゴリオ聖歌等と典礼に関係する曲の挿入は一切無しのモンテヴェルディ作曲したものだけの構成だ。また、2種類のマニフィカトも収録されている。紹介文で書かれていたようにマレットはとにかく使用楽器、ピッチ、テンポには細心の注意を払っているようだ。それは冒頭の曲からその成果が表れている。とにかく耳障りにならないような柔らかい響き、祈るようなゆったりとしたテンポ。随所に盛り込まれたオルガンの煌びやかな響き、ハープや弦楽の甘い音色等の通奏低音。精鋭歌手陣による透明感溢れる静かな声色。それら全てが融合され、典礼曲に頼らずとも教会音楽の如く静謐な響きを生み出している。同じくロベルト・ジーニ盤もゆったりとしたテンポで演奏されていたが、些か暑苦しい響き(悪い意味ではない)があった。ジーニ盤が筋肉質な修行僧が力強くマリアを讃えているのに対し、マレット盤は清楚な修道女がマリアに静かに祈りを捧げているような趣だ。  とにかくマレット盤は数々の名盤で「このパートはゆっくりとしたテンポにして欲しかった」と言った不満を見事に解消してくれている。音程やテンポ、楽器配置等の演奏バランスの点で言えば、歴代名盤の中でも随一とも言える。教会音楽としての理想的な響きとも言えるだろう。その代わり、ガーディナー新盤やガリード盤のような迫力には欠けているし、アレッサンドリーニ盤のような突き抜けたような華やかさには一歩劣ってしまう。けれど歴代名盤とは同等かそれ以上の決定盤であることは確かだ。

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    mimi  |  兵庫県  |  不明  |  2018年02月16日

    古くから、バロック以前の古楽で、これほどに録音の多い作品もないでしょうし、当然、自分はその数分の一くらいしか聴けてないですが、自分の乏しい聴体験から思うに、これまでのどのVesproとも異なる演奏ではないでしょうか。実は過去の演奏とあまりに印象が違うので、未だこの演奏の真価は正直、測りかねている部分もあるのですが、印象としてS.Kuijken/La Petite Bandeの徹底的に少人数に拘った盤(それはこの曲においては必ずしも成功とは言えなかったかもしれません)以来の、個性的な演奏と感じます。不勉強にしてLa Compagnia del Madrigaleの演奏を聴くのは初めてですが、実質のMusical directorを務めるGiuseppe Malettoは、言うまでもなくCantica Symphonia(この録音にも参加)のリーダーとして、あの驚嘆すべきMotet全集を始めとする、Guillaume Dufayの名演奏の数々(Cantica Symphoniaが無ければ実際に聴けない名作・傑作も多い!)を我々に送り届け続けてくれた名歌手・音楽学者であり、おそらく過去にVesproを手がけたどの指揮者よりも、中世以来の西洋多声音楽の歴史と演奏実践に深い知識と経験を有しているのは想像に難くない。そのようなG.Malettoがリーダーとなって再現するMonteverdi/Vesproが、これまでのどの演奏とも異なる独自の存在感を放つのはあまりにも当然と言えるかも知れません。輸入盤解説(英語で読みました)でMalettoが述べているように、おそらくこの決して演奏史も浅くはない、演奏者も聴きてもある意味慣れきった名作を、隅々まで光を当て直して行った演奏であり、その特徴はとても簡単に説明できないのは言うまでもありませんが、自分の印象としてこの演奏の過去の演奏の数々と決定的に異なる点の第一は、解説の最後でMalettoが述べている”legato”の重視ーテンポの問題ではないかと思います。誰しも印象的な冒頭合唱からすでに、これだけゆったりしたテンポでじっくりと歌い進めた演奏は前代未聞で、その差異は特に過去多くの演奏で劇的に急速なテンポ変動を強調されることが多かった詩編各曲で顕著で、第2曲Dixit Dominusで2分30秒、第4曲Laudate pueriで2分15秒も、あの決定盤と名高いGardiner新盤より長い演奏時間を要しており、正直まるで違う作品に接するようです。Monteverdi/Vesproが500年以上前の古楽であるにもかかわらず、これだけ現代の我々に人気があり演奏されてきたのは、この作品に内蔵された現代性の故であると思われ、その重要な一要素が、詩編各曲における現代的なテンポと目まぐるしいリズム変動にあったと思うのですが、ここでの演奏者が採用している、あくまでlegatoを重視したゆったりしたテンポでは、そういった現代的にきびきびしたテンポやリズム変化の妙味はあまり感じることは出来ず、それよりも声部声部の絡みと縦の線における多声性の正確さが重視され、聴き手によってはVesproにこれまで感じていた魅力が減じる印象を持つ可能性があるかも知れません。しかしながら、G.Malettoは解説で、これまでの多くの演奏者は”many experts in 17th- and 18th century music tend to have a positive bias towards setting a rapid pace, and often, a hasty one”と述べ、このような再現が16〜17世紀のMonteverdiの音楽に本当に相応しいのか?と問題提起しています。過去のこのような多くの演奏が、現代的な急速なテンポとアクセント(イタリア的よりは北ヨーロッパ的である、とも)を強調する結果、この時代の音楽のそもそもの精緻な構造と魅力が曖昧にされることを、Malettoは最も懸念しており、Monteverdi自身の手紙も引用して、この演奏解釈にいたった経緯を詳細に述べています。個人的には、正直これまでの多くのVesproとあまりに印象が違うので、G.Maletto/La Compagnia del Madrigaleのこの解釈が、本当に正しいのか、まだ確信が持てない部分はありますが、少なくともこれまで数多の演奏者が気付いてこなかった多くの部分に新たに光を当てて再考を迫る重要な演奏であるのは確かで、それを行っているのがあの複雑きわまりないDufayの作品から、見事な音楽を引き出し続けたG.Malettoならば、その見解と主張に十二分な歴史的裏付けがない訳はありません。30〜40年以上前に、まだ大規模合唱と管弦楽による威圧的なBach再現が主であった時代にOVPPを初めて聴いた時は、感動よりも違和感と当惑の方が誰しも大きかったものですが、今では何の違和感もなくなったことを考えれば、今回のVesproに接した時の自分の違和感もこれから乗り越えていくべきものなのかも知れません。過去の華々しい多くのVesproに比較して、決してより華やかでもより刺激的でもありませんが(Gardiner盤はじめ、Vesproの名盤とされるものはたいていそういう演奏でした!)、間違いなく深い学識と経験をもった一流の演奏者達が、過去にとらわれずに一から音楽を考察し直して世に問うた重要盤と考えます。万人にお薦めするのはあまりに渋いかも知れませんが、少なくともバロック以前の音楽に興味をお持ちの方は、一度お聴きになられることをお薦めしたいですね。

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    TSUSAN  |  栃木県  |  不明  |  2017年05月04日

    教会の長い残響と解像度が両立した優秀録音。歌手本位の演奏。 ソリスト:ラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレ(ソプラノ2名、アルト(女声)1名、テノール2名、バス1名) ヴォーカル・アンサンブル(主に合唱):カンティカ・シンフォニア(曲によってメンバーの出入りがあるが17名前後) 合奏:カンティカ・シンフォニアおよびラ・ピファレスカ(22名) ジュゼッペ・マレット(指揮およびラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレのテノール) 録音時期:2016年9月、10月 録音場所:イタリア、ピネローロ、サン・マウリツィオ教会  輸入元の情報によればジュゼッペ・マレット指揮とあるが、上記のようにマレットは歌手兼任である。ただ、ブックレットを詳細に見るとマレットが歌手として参加と明記してあるのは「われは黒し」(テノール独唱とハープ)、「二人のセラピムが」(テノール3声とオルガン)の2曲のみなので合奏、合唱を伴う曲は指揮に専念していると思われる。ブックレットには指揮棒がわりの鉛筆?を「左手に」持ったマレットの指揮の写真が掲載されている。  輸入元の資料では「ジュゼッペ・マレットが長い演奏経験を活かし、使用楽器、ピッチやテンポの選択など細部までこだわり」とある。長い演奏経験の中に指揮者の部分がどれくらいあるかわからないが、終始堅実な指揮で、マニフィカトの終盤などはガーディナー、コルボといった過去の名盤の高揚感に及ばない部分はある。  マニフィカト冒頭部分のピッチを既出盤と比べると、ガーディナー盤、コルボ盤よりは低く、マクリーシュ盤、アレッサンドリーニ盤よりは高くて、テンポは一番ゆっくりなアレッサンドリーニ盤に近い。ところが1曲目[Deus〜」はアレッサンドリーニ盤より低い。ピッチについてはブックレット(英・伊・独語)に解説があるようだがなにやら難しくて自分にはお手上げである。鈴木雅明盤でもあったようにこの曲集のピッチの問題は奥が深いらしい。    当盤のマニフィカトは、通常収録される「7声と6楽器」の他に、収録される機会の少ない「6声と通奏低音」が収められているのが大きなポイント。6声は伴奏が簡素な分、声楽は華やかに作られており、特に終盤の3曲「Sicut locutus,Gloria Patri,Sicut erat」でダイナミックなクライマックスを築き上げる。  ラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレはアンサンブルには絶対の自信を持っているらしく、歌唱は自発的で美しさに溢れている。また、新録音にふさわしく音質は大変良く、特に声は肉声を聞くように瑞々しい。過去の名盤との比較に囚われなければ十分に魅力的な新盤の誕生と思う。

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