『ルサルカ』全曲 クシェイ演出、ハヌス&バイエルン国立歌劇場、オポライス、フォークト、他(2010 ステレオ)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2011年11月15日
『本当は怖いグリム童話』じゃないけど、メルヒェンの深層に潜む残酷さを余すところなく明るみに出してしまうクシェイの凄い演出。パリでのカーセン演出がほのめかしにとどめていたところを、すべて露骨に見せてしまうので、やりすぎという声もあろうが、方向としては全く徹底的で、迷いがない。もちろん舞台は現代で、水の精と魔女は監禁した少女たちに売春で稼がせているヒモ夫婦という設定。元の物語では、なぜルサルカが「湖の底」から人間世界に出ようとするのか、いまいち説得力がないが、この読み替えなら了解できるし、自らも夫の暴力の犠牲者である魔女が彼女を助けようとするのも当然。赤いハイヒールをはかされたルサルカのおぼつかない足どりは、まるで纏足された女性のようにエロティックだ。しかし、彼女を待っていたのは、女を狩りの獲物か人形ぐらいにしか思っていない恐ろしい人間の世界。花嫁衣装の女+男(!)達が皮をはがれた鹿を相手に踊る第2幕のポロネーズは強烈だ。フレミングのような意味では「美女」ではないかもしれないが、ドラマティックな力のある歌唱と迫真の演技でオポライスは存在感抜群。ここまで見せるかというセックス・シーンまでやらされている(だから全裸が出ないにも関わらず12禁だ)フォークト、クラステヴァも適役だし、とんでもない悪役でありながら優しい二面性も見せるクロイスベックもうまい。唯一のチェコ人であるハヌスの指揮は、もう少し劇的な起伏をつけても良いと思うが、細やかで綿密だ。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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