スティーヴン・コワセヴィチ フィリップス録音全集(25CD)
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フォアグラ | 愛知県 | 不明 | 2016年02月06日
コヴァセヴィチのスティーヴン・ビショップ時代の集成。オリジナル・ジャケットの復刻は嬉しいが、裏ジャケとディスク面の復刻はなし。このあたりがソニーのこだわりとの差だが、音質はフィリップスの暖色系の音が再現され極めて良好であり、良しとしよう。ベートーヴェンとブラームスが中心で、デビューが「ディアベリ変奏曲」というのはまさに超本格派だが、フィリップスにはアラウとブレンデルというこれまた超本格派がおり、レパートリーが完全に被っていたためコヴァセヴィチは常に3番手扱いであった。アメリカ人で「スティーヴン・ビショップ」という名前なのも特に日本ではベートーヴェン弾きとして不利だっただろう。私もEMI時代以降に聴きこんでおり、フィリップス時代はアルゲリッチとのデュオとバルトークくらいしか聴いたことがなかった。このセットで驚いたのは、ピアノの音の美しさ。実に芯があって輝かしく、EMI時代よりはるかに良い。フィリップス録音のほうがEMIより優秀なのも一因なのだが、そのおかげでどれも大変な聴きごたえだ。ベートーヴェンはコンチェルトと初期、中期ソナタが素晴らしい。後期3大ソナタは作品110の第2楽章のようにテンポが速すぎるところもあり、もう一息。一方で、バガテルやバルトークのミクロコスモスがとてもいい出来で、こうした小品を味わい深く聴かせる腕はたいしたものだ。コリン・デイヴィスもベスト・パートナーであり、ベートーヴェンが特に優れた演奏。ブラームスの2番はオケともども一味欠けるか。ともあれ、コヴァセヴィチの実力を再認識させる出色のセットであり、お勧めしたい。6人の方が、このレビューに「共感」しています。
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