交響曲第3番、第4番 パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送交響楽団
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2015年04月04日
3番はともかく、まさか4番までエーベルバッハ修道院で収録するとは思わなかったが、すこぶる世俗的な「愛が私に語るもの」(作曲者自身は「神の愛」とか何とか言っているが、カムフラージュに過ぎないと思う)や(ヤルヴィ自身も言う通り、子供が語るという設定によって隠蔽されているが)キリスト教に対する悪意ありありの「天上の生活」が聖堂内で奏でられるというアイロニーはなかなか捨てがたい。ただし、指揮者はポリフォニックな線の絡み合いを克明に表出しようというアプローチをとっているので、残響の長い響きは逆効果ではある。3番はヤルヴィ自身「好きな作品」と言う通り、全曲録画最初の収録作品。そんなにきわだった特徴のある演奏ではないにもかかわらず、非常に聴き応えがあるのは、個々の楽想が和声の変転も含めて、適切なテンポで明晰に描かれているせいだろうか。やや速めの終楽章は、この指揮者らしからぬ「熱い」演奏。私はこの楽章、第4楽章のニーチェの歌詞の内容を純粋器楽で描いたものだと思うが、「苦痛」と「快楽」の永遠の繰り返しがまことに迫真的だ。4番はその次の収録作品。コンサートホールでの収録でないために、精妙さではインバル/都響に及ばないし、弦のグリッサンドもそれほど律儀にはやらないが、やはり勘どころは外さない。第3楽章は逆に遅めのテンポで「冷たい」音楽だが、終盤のクライマックスの作り方は実にうまい。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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