ピアノ・ソナタ、『愛の夢』第3番、メフィスト・ワルツ第1番、他 ブニアティシヴィリ
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marco | 東京都 | 不明 | 2011年09月03日
冒頭の「愛の夢」が効いている。手垢にまみれた名曲ピースから、これ程までに「果たせない」愛の姿を浮き彫りにした演奏があっただろうか? 期待をもって次の難攻不落のソナタに聴き進む。猛烈なスピードが、それ自体愉悦を持っているのだが、表現がやや表層的。そして前半部の最も破滅的で暗く混沌としたピークが至極あっさりと終了した時に、私はああこんなものかと少し落胆した。しかし後半部のフーガが開始され、スピードの愉悦に追い打ちをかけるように亀裂と軋轢が重層的に加わり、それがどんどんと加速され、とんでもないストーム状の高揚を呈示した後に主題再現部へと到達した時、彼女のソナタの真骨頂はここにあったのだとわかった。後は野となれ山となれではあるが、この曲に関しては巨匠の演奏でもどこか不備があるのだから、たとえ部分的ではあってもオリジナルな表現を呈示し得ただけでも価値があると思う。メフィスト以降は、弱音でスローな部分の叙情性が素晴らしかった。蛇足だが、ヴィジュアルの売り方やDVD付USA盤の値付け等のプロモーションのあざとさが残念。6人の方が、このレビューに「共感」しています。
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