ピアノ・ソナタ第21番、第13番 ルプー
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 2010年06月06日
リリシストとして知られるルプーとシューベルトの相性は抜群のものがあるのではないかと思う。シューベルトのピアノソナタは、最後の3つのソナタについては内容の深さにおいて尋常ならざるものがあるが、それ以外のソナタについては、ベートーヴェンのそれとは異なり、人生における闘争だとか重厚な力強さではなく、むしろ、抒情的な美しさを基調とした作品が多く、そうした作品の特徴とルプーの芸風が見事に符合していると言えるからである。このような点にかんがみれば、ルプーならではの名演は第13番ということになるのではないだろうか。中期のピアノソナタの中では、最も愛らしい旋律に満ち溢れたこの傑作を、ルプーは、あたかも満点の星のきらめきのような美しさでニュアンス豊かに描き出していく。特に、第1楽章の美麗さは、筆舌には尽くしがたいものがある。これに対して、第21番は、シューベルトの最後のソナタだけあって、あの冬の旅や弦楽五重奏曲にも匹敵する深みを有する作品であるだけに、さすがのルプーも、ニュアンス豊かな美しさで曲想を描いて行くものの、今一歩、精神的な踏み込みが足りないように思われる。しかしながら、それも高い次元での比較の問題(例えば、内田光子など)であり、全体としてみれば、名演と評価するのにやぶさかではない。SHM−CD化によって、音質はかなり鮮明になったように思われる。4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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