『オテロ』全曲 デッカー演出、ロス=マルバ&リセウ大歌劇場、クーラ、ストヤノヴァ、他(2006 ステレオ)
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天然芝 | 秋田県 | 不明 | 2010年03月31日
クーラ自身が「デル・モナコやドミンゴのようなヒロイックなオテロ像」とは異質なものと 語っている通り「こんな男なら猜疑心にかられて妻を殺してしまうかもしれないね」と 思わせる役作りに成功していると思う。(歌唱でも芝居でも) 第3幕のフィナーレで激しく痙攣しながら卒倒し、挙句に妻を面罵する場面など寒気が するほどの大芝居で魅せてくれる。 どことなくクーラと背格好や顔立ちが似ていなくも無いアタネッリは粘りのある美声で 若くて美男子なだけが取り得で何の手柄もなさそうなグリゴーロのキャシオーともども 嫉妬とコンプレックスが引き起こす悲劇にいかにも似つかわしい。 そんな愚かな男たちのおかげで、みすみす命を落とすデスデモーナのストヤノヴァも 清楚で美しい(些か姉さん女房に見えるのが惜しい) デッカーの演出はやたらと斜めで窮屈な壁と、恐ろしく傾斜のついた床だけのセットと 主要人物以外は顔の白塗りも含めてほとんど白の衣装で覆いつくし、主役達の演技に まかせた心理劇として秀逸。 ロス=マルバのやや速いテンポでドラマティックに進められる音楽は、ちょっとドライな 感じもあるが決して悪くない。Blu-rayの画質・音質とも美しい。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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