『トリスタンとイゾルデ』全曲 レーンホフ演出、ビエロフラーヴェク&ロンドン・フィル、ステンメ、ギャンビル、他(2007 ステレオ)(2枚組)
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みんなのまーちゃん | 東京都 | 不明 | 2019年09月08日
現代最高のステンメのイゾルデ。オケに寄った音量バランスは残念。 ステンメは1963年生まれのスウェーデンのソプラノ。イゾルデはステンメが2003年にグラインドボーンで歌い大成功を収めた十八番。このBDは2007年の再演時に収録された映像だ。2004年にはEMIのCDでも共演のドミンゴの影が薄くなる堂々とした歌を聴かせ、2005年にはバイロイトでもイゾルデを歌い(指揮は大植英次)世界的に有名になった。ステンメは当初はリリックソプラノだったがバイロイトデビューは1994年のラインの黄金(フライア)と早く、ドラマティックな役への憧れは若い頃からあったのかもしれない。 評判に違わない素晴らしいイゾルデだ。往年のヴァルナイやメードルとは比較できないにしても、近年のイゾルデとしてはベーレンス以来だと言って良いと思う。ただ惜しむべきは、この映像の録音はオケの音を大きく入れていて、歌手の声を楽しむには音量を上げなければいけない点だ(バーンスタインのCDのような感じだ)。パーベのマルケ、スコウフスのクルヴェナールも好演。ギャンビルというテノールのトリスタンはまあまあだが、イゾルデが良いだけに少々見劣りがする。 ステンメの声はその後さらに重くなり、2008年にはついにウィーンでブリュンヒルデを歌う(その後マリンスキー劇場やスカラ座、ミュンヘンでも)。今では世界最高のワーグナーソプラノと評されているようだが、録音や映像で聞く限り彼女のブリュンヒルデは少しヴィブラートが粗っぽいような気もする(無理している感じ?)。2016年にウィーンの来日公演でブリュンヒルデを歌ったが私はパスしてしまった。生ではどうだったのだろう? ステンメのイゾルデは2012年のヤノフスキ盤も聞いたがやっぱりイゾルデが合っている。METでも2016年に歌ったライブビューイングの映像があるので見てみたい。近年METではシェロー演出のエレクトラやゼフィレッリ演出のトゥーランドットまで歌っている(これもライブビューイング映像あり)。 さてレーンホフの演出は例によって暗くて抽象的だが、近年良くある現代への読み替えはないので安心して見られる。レーンホフのワーグナーはバーデンバーデンでのローエングリンとパルジファル、ミュンヘンでの指輪の映像もDVDやBDになっている。同時代のクプファー演出のワーグナーの映像はバイロイトのオランダ人と指輪以外はベルリンでのパルジファルがあるぐらいのようだ。世評の高かったゲッツ・フリードリヒは2000年に亡くなってしまったという事情があるにせよ、バイロイトのローエングリンとタンホイザー、ベルリンでのトリスタンとマイスタージンガーの映像はあるが、指輪とパルジファルの映像が残っていないようなのは残念。レーンホフの映像が多いのは偶然なのか、テレビ映えのする演出なのだろうか? もっともミュンヘンの指輪は長らく廃盤なのでぜひオリジナルテープからリマスターしてBD化してほしい。 このBDはNHKが制作に加わっているが日本語字幕はない。1時間のドキュメンタリーがおまけでついているせいか、BD2枚組になっている。トリスタン全曲だけをBD1枚に収めて欲しかった。先に書いたオケ偏重の音量バランスに若干の不満があるが画質・音質は良好。若干の不満はあるが現代最高のイゾルデが観られるので5点とした。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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はしかつ | 千葉県 | 不明 | 2009年07月16日
以前、NHKのBS放送で、放映されたが、まず驚くのがビエロフラーヴェクの繊細な指揮による序曲で、圧倒された。序曲とともに、漆黒の画面に光の点が現れ、徐々に拡大し、やがてTRISTAN UND ISOLDE ACT1とはっきり認識できるようになり、舞台に移行する。それが何ともかっこよい演出であり、なんてよい曲だろうと思わせる。確かに単調な舞台設定など賛否はあろうが、自分は引き込まれ、最後まで目が釘付けになった。歌はうまいし、言うことなしである。まさに新時代のトリスタン・・と言っても過言ではない。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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