交響曲第5番『革命』、第9番 クライツベルク&ロシア・ナショナル管弦楽団
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風信子 | 茨城県 | 不明 | 2016年02月19日
静かな森に蠢く無数の意思を汲み上げてショスタコーヴィチの音楽はできている 数多の生命を賭けた闘争の坩堝である森が静謐に覆われているはずもなく その静けさは意思を潜めて命をつながんとする隠遁の一方便に過ぎない 静かさは自ずと緊張の糸を張り森を孤独の影で覆っていく 今はもう亡きクライツベルクが残した唯一のショスタコーヴィチは作曲者の詩と真実を伝えて余りある 誇張と刺激で音楽を装うことをしないクライツベルクの演奏こそショスタコーヴィチを語りだすに相応しい 「第5」は三つめの楽章までまるで室内楽だ フィナーレに入って強烈な足音が大地を闊歩するが poco animato から静寂と悲哀の気が再び訪れる この終楽章は終始 accel. を重ねていく曲だが クライツベルクは最強音へ戻った最速の掉尾を冒頭のテンポより遅く振っている 「第5」の解釈を云々する時は過ぎ去った こうあらねばならないことはスコア上に明らかに示されている なんと苦渋に満ちた音楽だろう それにひきかえ「第9」にはラプソディックなショスタコーヴィチの心境が映し出されている 息を潜めているばかりではない諧謔と皮肉を武器にして体制をおちょくる気概が溢れる クライツベルクもより自由で自然な表情で音楽を構築していく 音楽が微笑んでいる このディスクを聞き逃していた愚を恥じる 衷心より推薦する3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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