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CD 『Le Grand Tango』 櫃本瑠音(チェロ)

『Le Grand Tango』 櫃本瑠音(チェロ)

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    今本 秀爾  |  大阪府  |  不明  |  2023年05月06日

    若きチェリストが、さまざまなチェロの奏法を駆使した現代音楽の難曲に挑んだ、燦然と輝く演奏を収めた秀逸な一枚である。 本CDに収録された曲はどれもピツィカートやダブルストップ、グリッサンドなどの奏法が多く登場するが、奏者はそれらをものとも労せず、終始濁りや詰まりのない精緻で柔らかいほどの滑らかな音色でリズミカルに弾き切っている。 ピアソラのグランタンゴから、歯切れよい重音の刻み、グリッサンドに低弦の分厚い音色が心地よく耳に響く。 奏者は全体に慌てずゆったりとしたテンポを貫き、聴き手にこの曲の醍醐味を伝えることに成功している。 ピアノの伴奏も見事にチェロの跳躍に対抗し、スリリングなコントラストを醸しだしている。 ソッリマのラメンタチオは、ハーディーガーディーのような撥弦楽器のもつ独特の響きを、あえてチェロの無伴奏ソロで再現させたかのような民俗音楽風の幻想的で神秘的な曲である。 ときおり奏者の鼻歌を交えながら、重音のトレモロ、ピツィカート、グリッサンドが繰り返し現れ、曲の躍動感を高めている。 ここでもチェリストの終始濁りのない澄み切った音色が素晴らしく前面に出て活かされている。 黛敏郎のBUNRAKUは、三味線、琵琶や筝の演奏を真似たかのようなモチーフが多用される和風の音楽であるが、チェロの無伴奏ソロはフレーズ間に絶妙な間の取り方を貫きながら、これらの多様な奏法を駆使しつつ精緻に奏でる。ときおり朗々と響く息の長い低音のメロディーが浮かび上がる様も見事である。 Julie-O はアメリカのカントリー音楽を彷彿とさせる、どこか哀愁を誘うリズミカルなソロ曲である。 最後のラヴィアンローズは、チェロがテンポを自在に揺らしながら滔々と歌い、ピアノ伴奏がそれに美しく寄り添っている。 収録曲全体を通じて、この若きチェリストの歌い方や間の取り方の絶妙さ、さまざまな奏法を駆使する奏者の極めて高い技術力が驚くほど精緻に録音に反映され、ここにそれぞれの現代音楽が生き生きと美しく再現されている。

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