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シューベルト(1797-1828)

CD 『白鳥の歌』 イアン・ボストリッジ、ラルス・フォークト

『白鳥の歌』 イアン・ボストリッジ、ラルス・フォークト

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    うーつん  |  東京都  |  不明  |  2022年11月17日

    極めて意志的な、歌と伴奏のぶつかり合い。ぶつかり合いといっても対立してのものではない。互いの持てる力を出し合い、掛け合いながら歌に想いを込めていく。そこから生まれてきたものは、はからずも伴奏者の「白鳥の歌」になってしまった…。  ボストリッジによるシューベルト・3大歌曲集の掉尾を飾るはこの「白鳥の歌」。前作たちと異なりライヴと銘打ってないのは伴奏者L.フォークトの体調等によるものだろうか。もし、そこに聴衆がいたならこのぶつかり合いをどう聴くのだろう。おそらく壮絶な舞台として記憶に刻まれることになったのではないだろうか。それほどにこのディスクは激しく、いたたまれず、切なく、哀しく、だからこそ美しい。  ボストリッジによる憑りつかれたような歌唱は言わずもがな。前二作に負けない憑依ぶり。それでも曲が台無しになるような下品さはなく、真摯に曲にのめり込んでいるように感じた。そしてフォークトのピアノ…。録音当時の体調は判らないが彼の脳裏には「これが最期の」という意識はあったと思う。それ故なのか、それとも歌い手の憑依に応えた結果なのか。多分その両方だったのでは、と思う。時おりピアノによって強い意志を以って刻み込まれる音の刻印。この刻印に彼が託した想いについて私(と、この後に聴かれる皆さん)はいろいろ考え続けることになるだろう。  この盤の後にM.パドモア&内田光子による「白鳥の歌」(2022年録音、DECCAよりリリース。当盤と同じウィグモアホールで録音)も出て、代わる代わる聴いている。作品の性格や作曲当時の状況への想いも含み、それぞれのコンビがそれぞれの演り方で私たちに訴えかけてくる。これらの壮絶な表現について、「どちらが良い」「どちらが上手い」という比較はもはや意味がないと思う。簡単に比較してお終いというレベルを遥かに超越しているからだ。私なら次のようにお薦めしたい。「両方手許に置き、聴き続けるべき」と。 最後に一言…。ラルス・フォークト氏の早すぎる死を悼み、フォークト氏のご冥福をお祈りします。彼の遺したディスクによって彼の「生きた証」が多くの人々の心に届きますように…

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